4月3日 色川武大「黄色い封筒」を読んで
自分と同じものには目がつくからか、
駅の改札ですれ違うぴかぴかのスーツ達をよく見かけた。
ちょっと前までは大学生だったんだろうな…とどことなく感じる。昨日もおとといも帰りに研修か何かで固まって歩く集団を見た。
去年は震える就活生ばかり目についていたのに、不思議だ。
さて、
色川武大 「黄色い封筒」 について
寝る前に何か読みたくて、高校の現代文のワークを開いた。その中の一つ、色川武大さんの小説、「黄色い封筒」を一部抜粋部分だけだが読んだ。
どうやらこの話の舞台は敗戦直後の混乱期、主人公は中学生。父は退職していて定収入がなく、主人公は学校をやめ働こうとする。年が若いからか大量の履歴書に対する返事はない。
まあそうだろうなと読み進むと、
「勤めるって、…どこに?」
「虎の門の、H商事会社」
…
……え?
お、決まったの?しかもちゃんと新橋の駅から出勤している………
そっか、そっか!
火筒が噴き出るように胸の中が熱い。内ポケットの新しい封筒がゴワゴワ揺れた。走りながら金縛りにあったように身体がしびれる気持。不安でギュッと眼をつぶる。
細かな心情描写にはこちらもひしひし伝わるものがある。不安定な感じ。そうだよなあ。偶然読んだ話が自分と重なり驚く。
また、父(洋介)に対しての挨拶はどういう風にしようか迷ったようだ。
「しっかり、やっておいで」
予想外な言動、態度に驚き、無言で外へ飛び出したようだ。
ー出勤ッ!
勤め先につき、心の中で叫ぶ。
さあ、行くのか…。
がんばれがんばれ……!!
しかし、
どうやらそこで働くのは、主人公の嘘だったようだ。
どんなに烈しく走ってみても、もはや凶事のおこる事は確定しているかに思えた。
は、嘘をついているからによるものである。
息子が働いている、と洋介が思っている事で僕の勤めの証拠になる。ーそんな漠然とした念(おも)いがあった。
でこのテキストの中では文章が終わっている。
続きが気になり、探したところあらすじをブログで載せていたものを見つけた。
唖然…切ない。
詳しくはここには書かないが、ぜひ小説で続きを自分でも読もうと思う。
それにしても、、「息子が働いている、と父が思っている事で勤めの証拠になる」なんて…。そんな"フリ"。どうなのだろうか。
そこまで偽ってまで、、どうなのか。でも、でもやっぱり分からなくもない……。
働いてるフリ。私のしてる事は、高卒でもできるような、いわゆる「誰にでもできる仕事」
いや、まだ3日目だからっって突っ込まれてもやっぱり変わらない。スピードが速くなるかどうかくらい。仕事を覚えれば、誰でもできる。
「なんとか毎日行ってるね」
「これからも続けるか本人の気持次第やけどね…」
私以外の家族の中の会話で、思ったよりも家族に心配をかけていたことに気づく。(目指していた仕事に就けなかったことについて、ずっと私は引きずっている)
働いているフリ。
あーあ。
私は誰のために生きているんだろう。
あーうまく文章にならない。
小説については、このnoteを読んだ方にも、ぜひ読んで確かめていただきたい。
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