阪急電車 有川浩


有川浩さんといえば「痛快・爽快」

有川さんの本で最初に読んだのは「三匹のおっさん」、話は痛快、最後は爽快というのが私のイメージ。スカッとする展開は電車の中でもあり。気分がもやもやしているときに読むと効果は抜群。私にとっては、心の清涼剤といったところでしょうか。

今津線で人々が交差し、分岐点になる

阪急線の中で今回の舞台は今津線。宝塚駅と西宮北口の往復。決して長い路線ではないけれど、人生ドラマの濃さは読みごたえがありました。いつも図書館で見かける人との恋の始まり、DV彼氏との関係に苦しむ若い女性、好きでもないグループでの人間関係に悩むマダム。電車が様々な人生を載せて往復を繰り返す。知らないもの同士だけど、誰かの行動が時に他人の人生の分岐点となる。相手からすると決して大きな行動ではないかもしれないけれど、自分にとっては非常に意味がある。これまでの自分の人生を振り返ると、そんな分岐点がいくつもあった気がします。

「お節介ババア」時江さん

前半の「宝塚南口駅」と「逆瀬川駅」は特にお気に入り。自分から婚約者を寝取った同僚に、結婚式で花嫁顔負けの白いドレスで出席という復讐を実行した女性翔子さんが乗車。そして次の「逆瀬川駅」で翔子さんにいきなり「討ち入りは成功したの?」と聞く時江さん。自身を「野次馬ババア」と言ったり、翔子の討ち入りを支持し、最後は今後のアドバイスまで。時江さん、なかなかいい「野次馬ババア」で、私はすっかり入れ込んでしまいました。翔子が時江さんを受け入れたのは、時江さんが翔子さんに話を聴いて共感したのが大きかったのでしょう。仕事でも傾聴を大切にと言われますが、それはプライベートでも同じですね。

西宮北口駅から折り返し

後半になると、前半から時が流れ、西宮北口駅から折り返しになります。ここからおばちゃんグループが新しく登場し、このおばちゃんグループを軸に話が展開していきます。前半のキャラクターのその後も書かれ、みないい方向に話が進んでいるあたりにほっこりします。そしておすすめはここでも時江さん。おばちゃんグループにも毅然とした態度、かっこいいわあ。そしてこの時の時江さんを支持したある男の子の一言「発券機でモラルは売ってへんもんなあ」うん、痛快!なんてうまい一言なの!実生活で使わせていただこう!

次に読むのは 

有川さんの作品のラインナップに「図書館戦争」を発見。私は本を選ぶときは表紙とタイトルを見て直観で選ぶタイプ。タイトルは覚えていても、作家さんまでは記憶していないこともあり、恥ずかしながら今更知った次第。この機会に、有川さんの世界にどっぷり漬かろうかしら。


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