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土竜のひとりごと

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エッセイです。日々考えること、共有したい笑い話、生徒へのメッセージなどを書き綴っています。
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#家族の物語

カミさんの逆襲

カミさんの逆襲

これは若い頃の、まったくの愚話である。
文章中に僕がカミさんを虐待しているように思われる表現があるが、そうではなく、愛情表現と理解していただきたい。

以前に「カミさんのボケ」というのを書いたことがあって、これがカミさんにエラク不評だった。

「私はちょっと言い間違えただけなのに、あれじゃ本当に私がボケているとみんなが思うじゃない。いい加減にして!」という具合である。

僕は近年にない傑作だと思い

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守るべきもの

守るべきもの

僕は何故かぬいぐるみが好きで、かわいいぬいぐるみがあるとすぐに買いたくなってしまう。カミさんには「またこんなものを買って来てどうするの」と言われるのだが、なんだかつい手が伸びてしまいそのたびに顰蹙を買う有り様なのである。

かわいいものを素直にかわいいと思える心というのはとても大切なことだと僕は思い、ロバやウシやオルゴール付きの人形などをそばにおいて眺めては「かわいい」と温かい気持ちになるのだが、

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歯医者さん

歯医者さん

この間、生徒が書いてくれた似顔絵を紹介したが、そう言えば昔、自分の顔を描いたことがあったなあと思い、埋もれていたスケッチブックを引っ張り出したが、見つからなかった。
代わりに、息子の小さい頃を描いたデッサンが出て来た。

くちゃくちゃだし下手くそだが、どうせそのうちなくなってしまうならここに置かせてもらおうかと・・。

それで、今回は息子が小さかった頃の歯医者のお話をなんとなく。

僕は子供のころ

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ガキと主夫生活

ガキと主夫生活

「ゴツモンがモノクロモンに変化した」子は叫びつつ風呂に入り来る

小学校3年のガキである息子と2人暮らしをした時期があった。別にカミさんに逃げられた訳ではないので、結婚を申し込みたいと思う方がいるかもしれないが、ご遠慮願いたい。お気持ちだけはありがたく受け取らせていただくことにする。本当は“お気持ち”だけでは勿体ないのだが、やむを得ない。

実はカミさんのお母さんが肺ガンと診断され(実は手術後の説

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床屋

床屋

自分が30歳を過ぎ、40歳を越えた時にも、それは確かに一つの衝撃でありながら、どこかに「こんなもんか」という思いが胸の中には同居していたのだが、息子が中学生になった時、自分がその親であるという事実には何故か大いなる衝撃を感じたりした。

中学生の親と言えば、それはもう筋金入りのオジサンであり、その僕の中にあるイメージと自分の像とが、僕の頭の中で全く一致しなかった。「十分、オジサン化している」とカミ

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似ている

似ている

カミさんというのは、だいたい亭主のズボラを責めるものと相場が決まっていて、ウチのカミさんも、毎日服を着替えろだの、ヒゲを剃れだの、鼻毛は切ってだの、トイレから出たら手を洗えだの、それなりに些細なことで注文をつけてくる。

徐々にズボラになりつつある息子を眺めながら「全くあなたに似てきて」とため息をついたりもするわけだが、自分の子が自分の描いてきた理想像からずれていくことに落胆しているようでもある。

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助詞と女子に注意したい

助詞と女子に注意したい

日本語の助詞はたった一字であるのにそれこそ微妙なニュアンスを見事に表すものである。例えば俳句をやる人は17音しかない中で助詞ひとつにも相当に気を使うと言う。

先日、嵐の櫻井君と相葉君が結婚というニュースがあって、えっそれって櫻井君と相葉君、二人が結婚したの?と一瞬思った方がいるかもしれない。

部活の練習中に雨が降り出したため、最後に風邪をひかないよう、頭を良く拭くようにと言ったところ、髪を拭く

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射的

射的

プレゼントをしたりもらったりするようになったのは、たぶんカミさんと知り合った頃からだと思う。子供の頃でも、例えば誕生日やクリスマスに親が何かを買ってくれるということもなかったし、逆に、自分が母の日に何かをやるとか、そんなこともなく過ごしてきてしまった。

昔の田舎のことで、そんな習慣も無かった。バレンタインデーなどというものが登場してくるのはずっと後のことだし、仮にあったとしても恐らくそんなものと

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ドラえもん

ドラえもん

随分昔のことになるが、ゴロゴロしている僕の顔の上にカミさんが突然ヌーッと顔を出し、「ねえ、ドラえもんの耳ってなぜないか知ってる?」と聞いてきた。そんなことを聞かれてもドラえもんに耳がないことすら気づいていない僕に答えられようはない。

「はあ?」と首をひねると、端から僕に答えられるとは思っていないのだろう、「あのね、ドラえもんは昼寝していたらねずみに耳をかじられちゃったの。だからねずみが怖いの」と

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紫陽花

紫陽花

息子がまだ小さかった頃の話。

うちのカミさんは花が好きで、居間の花瓶には大概何かしらの花が活けられている。今は紫色のガクアジサイが、三本、ひっよっこりとさされており、可憐な上品な花を咲かせているのだが、花のある空間はやはりいいもので、カミさんに感謝する気持ちが思わずわいて来たりもする。

ただ花が別の新しいものに活け替えられた時が問題で、それに気付かないと彼女が大変機嫌を損ねることになる。このガ

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呼ぶこと・呼ばれること

呼ぶこと・呼ばれること

くだらぬ話だが、僕は結婚当初、カミさんのことを何と呼べば良いのかさんざんに迷った。それまでは知り合ってから6年間、苗字で呼んでいたため、結婚と同時にその呼び方に行き詰まったわけである。

名前で呼べばよいではないかと普通思われるかもしれないが、そう呼ぶのはなんとなく気恥ずかしくもあり、ひとつ年上のカミさんを呼び捨てにするのも気がひける。

そこでカミさんに相談すると「“順ちゃん”て呼べばいいじゃな

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お母さんのオチンチン?

お母さんのオチンチン?

子どもがまだ小さい頃の話。

だいたいの子供はそうではないかと思うが、やたらと疑問を連発する時期があった。
答えるのに随分難しいのもあって、例えば、

「お母さんのお母さんはオバアチャンなんだけどオバアチャンのお母さんは誰なの」などと言う。

「それはオバアチャンを生んだ人だよ」と言うと、
「じゃ、オバアチャンのお母さんのお母さんのずーっとずーっとずーっと前のお母さんは誰なの」と言う。
人類の祖先

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