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【蔵前ものづくりトーク】インド刺繍職人が紡ぐ、和とカシミールのマリアージュ~イトバナシ伊達文香さんを迎えて~

9月19日(土)、刺繍ブランド・イトバナシと共催で、東京・蔵前、広島、インドをつなぎ「つくりてとつかいてをつなぐオンライントーク&販売会」を開催しました。

カシミール地方と刺繍、その魅力と課題

イベントではまず、イトバナシ代表伊達文香さんより、インド北部・カシミール地方の「アリ刺繍」の魅力と課題についてお話いただきました。

アリ刺繍は、「アリ」という太いかぎ針で一刺し一刺し、布に刺し、下から糸をすくって刺繍するカシミール地方伝統の技法。花や果物や鳥など自然をモチーフすることが多いのも特徴です。

カシミールといえば、インドとパキスタンが領有権を争う紛争地域。緊張感の高い地域において、刺繍業界も伝統技術が他の地域に流出しないよう、カシミール出身者以外をものづくりの現場に入れない傾向があるとのこと。一方で、昨今はIT分野など他の産業に就労する若者も増えており、職人のなり手が減っており、アリ刺繍の持続可能性には課題もあるようです。

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なぜ、アリ刺繍の職人は男性が多いのか

この美しい刺繍、どんなひとが、どんな場所で、どんな思いでつくっているのでしょうか。イトバナシの現地パートナーのファヤズさんにお話を伺いました。

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ファヤズさんはビジネスマインドの高い刺繍職人で、地域で200を超える刺繍職人ファミリーを束ねるリーダー的存在。

アリ刺繍は、工房ではなく家庭内で家内工業として作られています。ファヤズさんのお母さんやお姉さんが刺繍をする姿が画面に映りましたが、なんと、アリ刺繍の職人の大半が男性だとか!

ファヤズさんによると、カシミールはイスラム教徒であり、女性は家事・育児を担うため、刺繍に費やせる時間は男性の方が長い。結果として、男性職人の技術力が高くなり、難易度の高い刺繍ワークを担っているとのことでした。

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日本の秋色とインド刺繍のマリアージュ

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この美しいアリ刺繍のストールは、カシミールの伝統的なデザインをベースにイトバナシの伊達さんがプロデュースしたもので、秋桜のような紫色がイトバナシのオリジナル。日本の女性が日常的に身に纏えるように、イトバナシらしい和の彩りとインド刺繍のマリアージュ作品です。

イトバナシは、インド全土の刺繍職人に貢献してくれている!

こちらはイトバナシの定番、琵琶紋様ストール。ため息がでるような精細な刺繍は職人がミシンを使って精細な刺繍を施しています。イトバナシは「てしごと」にこだわるブランドですが、刺繍文化を広めていくために、手刺繍だけでなく、ミシン刺繍のシリーズも展開しています。

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カシミール地方には、ミシン刺繍の工房もあるのですが、働く環境には改善の余地があります。イトバナシは、刺繍職人の働く環境に改善にも今後、取り組んでいきたいと考えています。」と伊達さん。今後の活動から目が離せません…!

また、イトバナシは、カシミール地方だけでなくインド各地で刺繍作品を開発しています。

こちらは、ベンガル地方に伝わるカンタ刺繍のストールで、オールドサリーを組み合わせたオールドサリー&カンタ刺繍 リバーシブルストール

すべてが一点もののストール、そらとひとのサイトに少しずつアップしていきます。

ファヤズさん曰く、「イトバナシはカシミールだけでなく、インド全土の刺繍職人に貢献をしてくれている」と。

コロナ禍で自由にインドと行き来ができない状態ですが、そんなハンデも感じさせないイトバナシの軽やかなチャレンジ、そらとひとはこれからも応援していきます。


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