第9章:それは無限の30秒

「夜の巷を徘徊する」というマツコデラックスさんがひとりで夜中にうろうろと歩き回る深夜番組が大好きなのですが、この番組には余計なテロップや情報、そしてなによりBGMがありません。
それにより、マツコさんの足音やマツコさんの袖の布と布が擦れる音、マツコさんの静かな吐息などが漏れ聞こえてきます。
前回の記事を書いたことで、僕が「夜の巷を徘徊する」を好きな理由がやっとわかりました。うれしい。

こんばんわ、ヒキガネ霜田です。

つまり僕は、番組っぽく番組っぽく作ろうとしている完成度の高いポッドキャストに興味が持てないのだと思う。
番組っぽいオープニングテーマを30秒ほどくっ付けて、番組っぽいBGMをかけて、番組っぽくCMを挟んで、番組っぽく締める番組に。

完成され過ぎていて、これだったらラジコでも聴けばよくないか?とどうしても思ってしまう。
もちろんそれに挑戦してみたい気持ちもめちゃくちゃに理解できるし、そんなのが好きなひともたくさんいるだろうし、自分の番組がカスタムされてどんどん本物のラジオ番組っぽくなっていく気持ち良さはあるのだろう。

そこの部分では到底上回ることができないし意味も無いと思ったので、僕は早々に余計な部品をゴテゴテと付けるのをやめた。

僕がポッドキャストに求めているのはまぎれもなく「素人感」や「見つけた感」であり、なんだったらオチに向かうおしゃべりの途中で宅配便が届いてインターホンの音が聞こえてしまうようなある程度雑に作られたポッドキャストが好きだ。なんだったらのなんだったら止めずに荷物を受け取りに行って何が届いたのか教えてほしい。
どこに出しても恥ずかしくないようにキレイに舗装されたおしゃべりよりも、これってついさっき録り終えたばかりで誰も一回も聴き直してねえんじゃねえのみたいな危うさがぷんぷんただよう等身大の本音のおしゃべりが聴きたいのだ。

ここまで読んでみて、まるでこいつアダルトビデオの趣味趣向を熱く語ってるかのようなテンションだな、一杯やってるんじゃないのと思ったひとがいるかもしれない。
けれどそれはまさしくそうで、ポッドキャストの趣向とアダルトビデオの趣向はほぼ同じと考えていただいて間違いない。
僕が探しているのは言わばビデ倫が噛んでないポッドキャストなのだ。
番組っぽく番組っぽく丁寧に制作されたポッドキャストが好みのひとは、おそらくソフトオンデマンド(以下SOD)などの一流メーカーからリリースされている単体女優モノがお好きなのだろう。紗倉まながお好きなのだろう。
いやちょっと待て!それは違うぞ!というひとは好きなアダルトビデオのシリーズと好きなポッドキャストを三つずつ挙げて理由も添えて名乗り出ていただきたい。

話を戻すと、
「さっ、それでは続いてのコーナーに参りまっしょう!」
「いやいや、ここから聴き始めたひとびっくりしちゃうから!!」
みたいなセミプロ臭のするワードをなるべく耳にしたくないのだ。そもそもポッドキャストにおいて「ここから聴き始めたひと」ってなんなんだよ。おっかないことを言うなよ。

こうして今日も僕は部屋でぽつりと「ついに見つけてしまった。。」とつぶやく瞬間のために新たなポッドキャストを探す旅に出るのであった。

つづく。

以前、Twitterで「あなたはどのタイミングでポッドキャストを聴いていますか?」という質問のアンケートを取ったことがある。
ありがたいことに300名以上の方がこのアンケートに回答してくれて、
結果は「移動中」が48%、「作業中」が33%、「入眠用」が11%、「他に何もせず集中して聴く」が8%という結果だった。

僕も電車などで移動しているときはほぼポッドキャストを聴いているのだが、移動中はズボンのポケットの中にスマホが入っているので簡単には早送りができない。オープニングテーマやエンディングテーマをポンと飛ばせないのだ。じゃあそれがない無添加ポッドキャストだけを探して聴けよと言われればそれまでなのだが。ポッドキャストヴィーガンは肩身が狭い。

例えばオープニングテーマが30秒以上ある番組を毎週聴いたら一年間で僕の寿命を約30分も奪うのか。オープニングテーマとエンディングテーマが足して60秒以上ある番組を一年間聴いたら僕の寿命を約60分も、、とか考えて満員電車の中で苦悩して天井を見上げてしまった僕なんですが、次回も元気に更新できたらいいな。

奪わないで、寿命。

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