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ATR機種移行訓練の総括

昨年の大晦日、私のDHC-8からATR72への機種移行訓練が終わりました。

ちょっと遅くなりましたが、今回のトレーニングを総括して見たいと思います。

2021年5月訓練開始

グラウンドコースからシミュレータでのタイプレーティングまで、2ヶ月かかりました。その模様はこちらの記事に総括されています。

2021年7月路線訓練開始

その後、ライントレーニング(路線訓練)に突入。ATRの操縦資格を持つ「学生」として、スタンダードキャプテンと呼ばれる路線教官資格を持つキャプテンと、通常のオペレーションをする日々が始まりました。

途中、例のあのウイルスの影響で訓練が中断し、長くかかりましたが11月にチェックを受けました。結果は

まさかのフェイル!通常運航を普通にやっていれば受かるのがラインチェックですから、まさか落とされるとは思いませんでした。そこから、修行の日々が続きます。

2021年12月路線審査合格

そして、大晦日に滑り込みで路線審査に合格し、今に至ります。

全ての訓練が終わるまで、実に半年以上かかったことになります。実を言うと、ATRへの移行が決まったのが2020年の12月で、訓練投入が5月でしたから、私のマインドがよっしゃATRだ!となってから1年かかったことになります。何もかもが遅いのが飛行業界のあるあるなのですが、そのおかげでATRに移行する前に、飛び慣れたダッシュ8でATPLが取得できたのは、怪我の功名といえるかもしれません。

このように、長くかかった訓練、最後の最後まで気が抜けませんでした。訓練なので当たり前ですが、特に今回はラインチェックで一旦不合格になったこともあり、いつもより余計にストレスフルなものとなりましたが、そのおかげで2度目にラインチェックを受けた時の自分の技倆は、1度目のときのそれと比べて格段に向上したことも、また事実でした。

フェイルは悔しいものですが、テストの結果とはあくまでスナップショットであり、時の運もあります。それに拘泥してしまうとしたら、それは自分にとっての最優先事項が見えていないのです。

今、この瞬間の、自分自身にとっての最優先事項がわかっていれば、感傷が入り込む余地はありません。最優先事項がわかっていない人は、余計なことを考えてしまいます。普段の生活であればそれでも別にいいかもしれませんが、訓練や本番で結果が求められる場所では、自分の心と技と体がシンクロして「今、ここ」に、同時に存在する必要があります。余計なことを考えていると、これがバラバラになってしまう。だから、今の自分の最優先事項にフォーカスする必要があるのです。

最優先事項にフォーカスして、厳密に作業を行い、終われば次の最優先事項に取り掛かる。本当に、ただそれだけです。

以下の有料パートでは、フェイル後の訓練で顕著に改善した点についてもう少し掘り下げて見ます。

◾️ エラー検知から修正までの時差

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