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[読書のススメ]時計の針が重なるとき(チックタック約束の時計台/にしのあきひろ)

かなり前ですが、アナザースカイにキングコングの西野さんが出ていました。

チックタック 約束の時計台という絵本の話をしていたのですが、心に刺さる言葉がてんこ盛りでした。


時計の針は長針と短針が重なるときが1時間に1回ある
だけど、11時台だけは唯一重ならない
短針が逃げ切ってしまう
長針が短針に追いついたときに12時の大きな大きな鐘の音が鳴る
人生もこれと同じで何かを成し遂げる前には不遇の時期がある


かなり意訳してますが、本当はもっといいこと言ってたのです。
私の時計はいま何時台なんだろうと思ってしまいます。
長針と短針が重なって12時の大きな鐘が鳴るまであとどのくらい時間がかかるのか。
もしかしたら、鐘が鳴る前に寿命が尽きてしまうんじゃないのだろうか…。(笑)

なんで、こんなにやりたくもないことを毎日やってるんだろう。
苦手なことやりたくないことを全部やめてやりたいことをやってみたい。

そんな風に不貞腐れた気持ちになった時でも、自分の時計は少しずつでも動いていて、12時はいつか来るんだと思うと希望が持てます。
12時が来る前に寿命が尽きたとしても、いつか12時が来るんだと思うと長い11時台をコツコツ進んでいく勇気が湧いてきます。

大輪の花を咲かせる人生ではなくて、枝葉や根っこを伸ばす人生なのかもしれないと納得して進んでいけたらいいなーと思います。

不遇の時、西野さんはタモリさんから発破をかけられたそうです。

時代を追うな
時計の針は一周回って必ずお前の所に来るから。ずっとそこにいてコツコツやっとけ。

すごいエールですよね。

ただ、これは西野さんの才能に気がついたタモリさんからの言葉だったんだろうなと思うのです。

YouTubeで近畿大学卒業式の西野さんの祝辞を観ました。

芸人だからと一言で片付けるには恐れ多いくらいの話術の素晴らしさでした。
話の構成や伏線の回収の仕方など、聡明さが滲み出てました。

絵本作家としても活躍していますが、もともと才能がある人なんだなーととても納得しました。

時計の長針と短針の話。
しばらくずっと考えていましたが、とてもわかりやすく腑に落ちるのです。
聞けば聞くほど、色んな解釈ができるんじゃないのかとも思えてきます。

コツコツとやり続けた人は報われるときが来る。
でもそれは必ずしもコツコツやったことで大成功するというような単純な話ではない気がするのです。

コツコツやったけどダメだった。
でも自分には才能がなかったことに何の疑問もなく納得できた。
でも一生懸命やったことは無駄じゃないと腹落ちしてる。とか。

どんなに自分がやりたい、こうなりたいと思っていてもやはり持って生まれた素質は変わらない。
努力して挫折して、でもまた努力し続けて。
それでもダメで、本当の自分に気がつくというのも長針と短針が合うことだと思うのです。

そして、その時には気がつかなかったとしても、一生懸命がむしゃらに頑張ったその過程がとても美しいと思うのです。

アラサーになり、自分のことが本当によく見えてきました。
見たくもない知りたくもないと思うようなことまで。(笑)
だからこそ私にとっては長い11時台が終わり、今が長針と短針があった時期なのかとも思えてくるのです。

むかーーし孔子の言葉が、教科書に載ってました。

三十にして立つ

これを、今なぜか思い出すのです。(笑)
よく覚えてたなー。(笑)

年をとるのはいいことだと祖父母が言ってたことの意味が爪の先っくらいだけど、分かったような。分からないような。


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