マガジンのカバー画像

1万人チャレンジ毎日エッセイ

20
投稿後3日間無料、その後1話100円で販売してます🌻 ①プラハ・ベルリン編(no.1〜no.7)¥500 ②ウィーン・ブラチスラヴァ編(no.8〜no.11)¥300 お得パック… もっと読む
運営しているクリエイター

#旅とわたし

迷子の時間〜番外編〜(イタリア/ヴェネツィア )no.18

 この街は迷路だ。困ったことに「ちょこっと向こうへ行ってくる」なんて言ってしまったら終わり、Wi-Fiも十分に捕らえられず、私は一度離れた人たちとその日の終わりまで本当に会うことができなかった。

もっとみる

天気が悪い(イタリア/ヴェネツィア )no.17

 小学生の頃に読んだ一冊の詩集に強烈なインパクトを与えられた「なんでみんな天気が悪いというのかな。僕は雨が大好きなのに」とかっぱのイラストを添えた1ページがあった。会話の成立として天気が良いは晴れ、悪いは雨、分かりきっているが、確かに、太陽が出ていないことを望む人もいるのだという世界が広がったあの衝撃は忘れられない。それからというもの、天気が良い、は使うけれど「悪い」は意識的に使わないようにしてい

もっとみる

この街の観光地(スロベニア/リュブリャナ)no.16

 この小さな街は、ガイドブックに言わせてみると3時間もあれば周りきれる。実際はその通りなのかもしれないが、その3時間を過ごすと、この街の本当の魅力について、いやもはや観光地と言えるその気づきを語りたくなる。

もっとみる

世界平和の戦士たち(スロベニア/リュブリャナ)no.15

 この街に来られてよかった。橋のど真ん中で円になってリンゴを食べていたり、警察官が記念撮影に笑顔で応じていたり、お店に入ればすぐに大丈夫かと声をかけてくれる。
 いろんな街を少しずつみて回る中で、やっぱり常に比べてしまうのは自分の母国との違い。もちろん私の生まれ育った国にいいところはたくさんあるのだけれど、こうやって他の国、街のいいところを見るとすぐに、日本もこうなればいいのに、と押し付けてしまう

もっとみる

共通言語(クロアチア/ザグレブ)no.14

 きっとこの世界の共通言語は、英語じゃなくて笑顔だと思う。なんて歌を歌う私が好きなシンガーソングライターがいるが、それでも国を一歩出れば、皆が必死に話すのは英語なのが事実。

もっとみる

ファーラ(クロアチア/ザグレブ)no.13

 傘をクイッと上にあげて、つまりはジェスチャーで「どうぞ」と大きな傘に招き入れてくれた。夏なのだから暑いのは当たり前、だから暑いなんていうのはみんながわかっていて、みんなが我慢している。でも時に暑いことが忘れられない出来事の必要な条件になる時もある。
 この街に来て一番はじめにもらった親切が、傘の中へのご招待だった。暑い日差しを避けるために大きな傘をさしたおじいさんとパチリと目が合い「暑いね」と言

もっとみる

灰色の街(ハンガリー/ブダペスト)no.12

 オレンジ色の屋根の街を渡ってきて、突如景色が灰色に変わった。灰色という表現は決して暗いイメージを伝えたいわけではない。本当に、視界に入ってくる景色の色味の変化を忠実に伝えたいと思った時に灰色という色がしっくりくるのだ。

もっとみる

ファインダー越しの世界(スロバキア/ブラチスラヴァ)no.11

 この街が好きだと思った。たった数時間しかいられなかったから、何を知ったかっぶっているのかと言われるかもしれないが、今日見たこの街の姿は決して観光客向けに作られたわけではないだろう。

もっとみる

今宵の多重奏(オーストリア/ウィーン)no.10

 思いどおりにいかないことがあっても、その次にある出来事が、より心を弾ませるものになるかのように。少し思いどおりにいかないくらいの方が、もしかするとこれから始まる素晴らしい何かの序章になるのかもしれない。

もっとみる

1万人チャレンジ毎日エッセイ/プラハ・ベルリン編

1万人チャレンジ毎日エッセイ、チェコ(プラハ)・ドイツ(ベルリン)編のまとめです。1話100円で販売していますが、このまとめは7話入って500円となっております。お得です。この後も続く旅エッセイも楽しんでいただきつつ、この記録もお手元に残していただければ幸いです。

■正座の少年(チェコ/プラハ)no.1

もっとみる

水彩画を描く人(オーストリア/ウィーン)no.9

 音楽の都と言われる街にやってきた。きっとこの街には音楽というジャンルで活躍する人、活躍したい人、夢や希望を持ってやってきた人も多く集まるのだろうが、街のいたるところで音色が聞こえてくるということはなかった。

 そんな街に今日も茣蓙を広げる男がいた。この街の路上パフォーマンスは、規制が厳しい、そんな前情報があろうと恐れることはない。夢を持ったこの男をこの街は、この道は、すんなりと受け入れた。

もっとみる

アイスクリーム(オーストリア/ウィーン)no.8

 新しい街にやってきた。この街にはどんな出会いが待っているのだろう。子供も大人も流行などではなく、みんながアイスクリームを片手に暑い街中を嬉しそうに歩いている。2段のアイスクリームが乗ったコーンを持ち歩いている光景が当たり前のこの街もきっと、素敵な街だと確信を得て、期待を胸に歩みを進める。

もっとみる

このドラマの主人公(ドイツ/ベルリン)no.7

 そもそも、この街にくる予定はなかったのだ。しかし今、この街にいるということは事実であり、目の前には涙を流す女性がいた。「たった1日で、こんなドラマが生まれるとは」そう言っている彼女をファインダー越しに見る私からしたら、そのドラマの主人公は間違いなくあなただった。

もっとみる

刺青問題(ドイツ/ベルリン)no.6

 日本の夏は湿気があって、気温以上にしんどいとは聞くけれど、暑いものは暑い。よっぽど日本の方がコンビニや電車と逃げ場がある。この街は暑くても、冷房がよく効いたところもなければ、水も常温でしか売っていない。
 しかし今日も路上に座れば、ドラマが生まれる。正座の少年どころではない、前のめりの男性がいた。

もっとみる