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掌編、短編小説広場

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此処に集いし「物語」はジャンルの無い「掌編小説」と「短編小説」。広場の主は「いち」時々「黄色いくまと白いくま」。チケットは不要。全席自由席です。あなたに寄り添う物語をお届けしたい… もっと読む
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2021年9月の記事一覧

「文字の休日シリーズ・夢」(不定期連載)

生涯のほとんどの時間を追い掛けられて過ごすらしかった。そして中には捉まえてものにするのも居た。そう云う日は嬉しかった。いつかは自分も追い掛ける側になってみたいと思いながら、やっぱり追いかけられている。そうして殆どは諦めてゆくらしかった。「夢」はいつでもここに居るのにと思うのだった。 ※人に休息が必要なように、言葉にも文字にも休息が必要だと思うのです。一文字ずつ、休ませてあげよう。その間にいちも休もうと云う魂胆の不定期連載スタートです。尚、Twitterにも同時にあげますので

掌編「現場からは以上です」

 黄色い規制線をぐいと押さえ付けて現場入りした。市内の安いアパートの一室で、事件は起こった。110番通報してきたのは被害者と同じ大学の友人。数日無断欠課を続ける友人が気になって訪ねて来たらしいのだが、呼び鈴を幾ら押しても反応が無く、それどころかドアの向こう側、つまり部屋から、何か物凄い圧迫を受ける感じがしたのだそうだ。ドアを叩いてみるがやっぱり応答なく、とうとう管理人を呼んで鍵を開けようとしたと云う。ところが試しにドアノブに手を掛けると、鍵が掛かっていなかった。愈々心配になっ

「文字の休日シリーズ・愛」(不定期連載)

「愛」は苦悩していた。呼ばれて出て行くと殆どの場合が試されているからであった。そんな環境に身を置き続ける事がそろそろ辛いと、「愛」は逃げ出した。生まれて初めての逃避行は永遠に続くかと思われた。だが最後の最後で矜持では無く理性が「愛」を追い掛けた。「愛」は遂に真実を知った。 ※人に休息が必要なように、言葉にも文字にも休息が必要だと思うのです。一文字ずつ、休ませてあげよう。その間にいちも休もうと云う魂胆の不定期連載スタートです。尚、Twitterにも同時にあげますので140文字