短編「サンタクロースの言い分」
十二月がやって来た。年々軋みの酷くなる床板を踏みしめる度、寒さが身に染みる。私の自室には暖房が無い。いや、正確には在るのだけれど、もう何十年も使っていない。妻が、「エアコン使うの止めよう」って言ったから。今はカミツレの並んだ淡いブルーの生地で作った妻お手製のカバーで覆われている。冷え切った室内は、まるで銀製のナイフで空気を滑らかにのばしたようで、そんな朝に身を起こすのが、私には一番億劫な瞬間である。ふかふかの羽毛をいっぱいに詰めて作られた布団の中へ、いつまでも包まれていられ