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箸休め

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連載小説の息抜きに、気ままに文を書き下ろしています。文体もテーマも自由な随筆、エッセイの集まりです。あなた好みが見つかれば嬉しく思います。
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2021年9月の記事一覧

「秋の彼岸、朝霧に姿隠す名月を見た。おはぎ作る」

 春分の日は出遅れた。秋こそはと望みだけ持っていたら、もう秋だった。今度は幸いにして前回作ったあんこが冷凍庫にある。風味は劣るけれど作らないよりは幾分か気が休まる。と云う訳でおはぎを拵えた。  今回は青海苔ときな粉。中にあんこが入っている。箸で割ると顔出す。 はい、美味しい。何と云うか、顔みたいである。青海苔は美容院帰りのパーマ当て過ぎた人みたいで、見ようによってはソバージュ。奥のきな粉はむっつりした子どもみたいだ。じゃあ親子だな。 「母さんなんでそんなパーマかけると?

「|ふりがな《ルビ》、降臨」

ルビを打つ自由が市井へ広く言い渡されるを心待ちにしていた自分であったが、 御触れを眺め早速試みた昨晩の事、どうにも上手く事が運ばぬ。 棒線は何処へ在るか、二重山括弧は何処に在るか、自分は知らん。 馬鹿なのかしらん。 一つ呪文を唱える。「やればできる子、やればできる子、やれば・・・」 ルビを楽しむ人々の中へ、愈々自分も身を投じ得た様である。 小説はWordで打つ自分であるから、改善が更になされると云うのであれば、Wordからのコピーの際にも自動でルビはルビとして表示

「文字の休日シリーズ・夢」(不定期連載)

生涯のほとんどの時間を追い掛けられて過ごすらしかった。そして中には捉まえてものにするのも居た。そう云う日は嬉しかった。いつかは自分も追い掛ける側になってみたいと思いながら、やっぱり追いかけられている。そうして殆どは諦めてゆくらしかった。「夢」はいつでもここに居るのにと思うのだった。 ※人に休息が必要なように、言葉にも文字にも休息が必要だと思うのです。一文字ずつ、休ませてあげよう。その間にいちも休もうと云う魂胆の不定期連載スタートです。尚、Twitterにも同時にあげますので

「奈良の靴下工場から足を優しく包んでくれる靴下を買った話」

Twitterを開いている時、note公式のお薦め記事として、靴下屋さんの記事が紹介されたのです。国産の靴下と聞いて興味を覚えた自分は、早速noteを訪ねました。 奈良県は広陵町にございます靴下工場、株式会社・創喜さまです。先ず下にnoteのページを貼り付けます。 続いて公式ホームページです。 早速伺ったホームページで、一番気になった靴下を注文しました。その靴下はnoteの記事でも紹介されています。 「和紙とシルク」一体どんな肌触りなんだろう。これは是非とも、日頃頑張

「文字の休日シリーズ・愛」(不定期連載)

「愛」は苦悩していた。呼ばれて出て行くと殆どの場合が試されているからであった。そんな環境に身を置き続ける事がそろそろ辛いと、「愛」は逃げ出した。生まれて初めての逃避行は永遠に続くかと思われた。だが最後の最後で矜持では無く理性が「愛」を追い掛けた。「愛」は遂に真実を知った。 ※人に休息が必要なように、言葉にも文字にも休息が必要だと思うのです。一文字ずつ、休ませてあげよう。その間にいちも休もうと云う魂胆の不定期連載スタートです。尚、Twitterにも同時にあげますので140文字