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【小説】空巫女のお話 第1話『巫女さんがやって来た』

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年齢=彼氏いない歴のOL西瓜房子が出逢ったのは 小さな巫女さんだった!? 大阪を舞台に繰り広げられる彼女達の日常の先、 路地裏に潜む超常非日常に触れた時、 西瓜房子の運命は大きく… もっと読む
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第1話 巫女さんがやって来た~① 美人OL西瓜房子のお話~

 二〇XX年一月三日火曜日。二十一世紀の幕開けから早十余年。大阪駅の駅前に二一世紀までの残り日数を刻むでっかい卵のオブジェがあった事なんて当の昔話で、みんな忘れていて、もう記憶の片隅に追いやられてるだろうが、目まぐるしく進化を遂げるここ大阪の街(東の方)で、私は生まれ育ってきたらしい。 私はもう過去を振り返らない。というか昨日でやめた。 何故なら・・・ 今日の私は絶好調だからだ。 というのも、元々私は占いの類を全く信じない=それだけで「君は女性らしくないねぇ」と何度も罵られ

第1話 巫女さんがやって来た~② 双羽輝子という名のおっさん~

「キモいわ。」 新年早々、最初の挨拶がそれか!失礼な奴だな。ここは市内にある喫茶店レイモンド。初老のマスター♂と若い店員さん♀が切り盛りする小洒落た個人経営の喫茶店だ。店員さんは正月休みらしく、マスターがわざわざ三日に店を開いてくれた。そしてこの声の主、いつも座ってる席、今私の目の前にいるちっこい少女、名前を双羽輝子という。まるでウサギの耳のような茶髪のツインテールは、長年の染髪のせいか酷く傷んでいる。日サロで焼いた小麦色の肌。同い年と思えない程いわゆるロリ顔で身長一五〇

第1話 巫女さんがやって来た~③ レディミーツガール~

 輝子に追いついた私は、肩に手を伸ばし引き留める。介入するのはちょっと待て、話がややこしくなる。双羽輝子はお節介である、そしてキレると武力行使に出る。コイツの性格はよく知っているんだが、高校時代の黒歴史を語っていたら、話が先に進まないのでやめておこう。街行く人も振り向いて巫女さんの姿を見て、何事が起きているのか確かめようとチラチラ盗み見しながら歩いている。幸か不幸か、人集りはできていない。私は改めて、巫女さんの姿を眺めた。赤い袴の巫女さんは、一見あどけないロリ顔だが、年齢

第1話 巫女さんがやって来た~④ 愛をまき散らせ~

 大川の川沿いをひたすら走り続けて、どこまでたどり着いたのだろうか。ビルの谷間から遠くに天守閣が見える。おそらく京橋辺りだろうか。真冬のランニングは体に堪える。私達三人は追手が来ない事を確信し、ようやく落ち着き、呼吸を整えた。 輝子「よっしゃ撒いたな。みんな大丈夫やな?」 大丈夫な訳あるか・・・まぁいいや・・・まったくすまなかったな。巫女さんまで悪者扱いされて。一駅分もランニングまでさせて。 巫女「ありがとう。助かったんだよ。でも、私が悪かったのに・・・それに暴力は良く

第1話 巫女さんがやって来た~⑤ 空巫女~

 思ったより時間がかかってしまった。三人が配り終わる頃には、空はすでに朱く染まっていた。巫女さんは自信満々の笑みを浮かべている。どうやら今日はとことんババを引く日らしい・・・と思ったが、結果を聞いて命拾いした。 優勝:輝子217個、二位:私34個、三位:巫女さん5個 結果は、輝子の圧勝。さすがカリスマフリーター、どんな魔法を使ったんだ? 輝子「早出のホストがおって鬱陶しかったわ。でも民族楽器の演奏の人らおって結構楽しんで配れたで。最初はどないしよーか思ったけど。」 まさか京橋

第1話 巫女さんがやって来た~ ⑥ いい加減、話進めてよッ!~

 しーましぇん~、8か月振りの続きです↓ 辺りは真っ暗で何も見えない・・・これがあの世への入り口ってヤツか。結局、財布見つからなかったな・・・どこに落としたのかな?もし落とさなかったら・・・戻る事なかったのかな・・・もし探しに戻らなかったら、あの時、あの交差点で、巫女さんに出会わなかったら・・・昨日、占いなんてしていなければ・・・ どうしてこんな事になってしまったんだろう?どこで選択を間違えてしまったのか? 空巫女・・・ 私は 私は・・・ 私は・・・・・・ 生きてる・・・意