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BMSG FES 2024 「今の時代に必要な音楽」

個人的な話、BMSGフェスに行くのは今年で最後にしようと思ってた。でも終わったら来年も行かなくちゃと思った。もはやBMSGフェスは音楽を楽しむという体験を超えて、人の人生に触れにいっている。自分の人生を力強く歩んでいくには、年に一度このフェスに行き続ける必要があると思った。

去年は「数年前まで一般人だったBE:FIRSTにもこんなにも沢山の後輩ができたんだね。引っ張っていく存在になったんだね」という感慨深さが大きかったけれど、今年のBMSGフェスを見て一番思ったことは「下の世代が事務所のパワーを底上げしてるな」ということ。

去年、デビューしたMAZEELは、それぞれが自分の強みを完璧に発揮していた。KAIRYUの歌の巧さ・深さに磨きがかかっていたし、NAOYAの身振り手振り・表情の作り方は常に100点維持。EIKIもステージングに幅が出ていて、こんな柔軟にパフォーマンスできる人だったっけ?!と見違えるほどだった。HAYATOはしなやかさが増していたし、RYUKIの自信溢れるステージングには惚れ惚れした。RANは貫禄が増していて、TAKUTOは品のあるダンスが見てて飽きなくて、まだまだ見ていてたかった。

そして、そんなMAZEELよりもトレーニー期間が長かったTAIKI、RUI、KANON。彼らは、この日発表された3組目のボーイズグループオーディションに参加することが発表された。

ここは個人的に、ふたつあったハイライトのうちのひとつ。細かい言葉は思い出せないけど、SKY-HIが3人のこれまで歩んできた地道な道のりを称えて、これから行く先を照らすように、3人のことを労りながら背中を押すように言葉をかけたとき、RUIが顔を覆って泣き始めて。TAIKIはずっと眉間に皺を寄せて我慢してたのに、それでも涙が溢れてきて。KANONも泣いてて。そんな3人に「大丈夫?!この後歌える?!(笑)」と、優しい笑顔で声をかけるSKY-HIの大きな存在も相まって、涙腺が崩壊した。

結局3人はその後披露した新曲を涙混じりに歌った。RUIはどんなに歌おうとしても泣いて歌えず、TAIKIは逆に叫ぶように歌っていた。そして、KANONは笑顔で涙を流していた。それぞれ、感情の出し方が三者三様だったけれど、そのどれもが苦労、悔しさ、辛さ、嬉しさ、喜び、覚悟、色んな気持ちを含んでいるようで、こんな歌はもう二度と聴けないだろうなと思った。まだまだ10代の3人が人生かけて歌う涙の数分が、あんまりにもドラマチックすぎて。こんな光景を見てしまうと、やっぱり来年この子たちがどうなっているかも見たくなるし、その時にまた新たに加わってるであろう人達の人生が動く瞬間も見届けたくなる。

こういう下の世代の半端ない覚悟と気概を見せつけられると、やっぱり先輩たちも火がつく。だってBE:FIRSTが今まで以上に、自分のバースを丁寧に丁寧にやり切っているように見えたんだもの。ひたすら会場のボルテージを上げようとする攻撃的なパフォーマンスだけじゃなく、プロとしてのクオリティを意識しているように見えた。しかも「俺たちについてこい」「この事務所を世界に連れていく」と堂々と言う姿に説得力があって、正真正銘、BMSGを引っ張っていく存在であることを感じた。

BE:FIRSTにそう言わせているのは紛れもなく下の世代だと思う。MAZZELが、RUI、TAIKI、KANONが、気合いの入ったパフォーマンスをすればするほど、BE:FIRSTが磨かれていってるように見えた。

でも、そんなBE:FIRSTより遥か遠くを走る現役社長、SKY-HIがさらに圧倒のパフォーマンスでこのフェスを締めたところもまた、感動ポイントだ。これがハイライトのふたつめ。SKY-HIがこのフェスで、自分の曲をひとりで歌ったのはたったの3曲。しかし、その数分で23人が積み上げたパワーをより一層大きなものに昇華させていた。そりゃあもう半端なかった。

最初に披露した新曲「タイトル未定」は、世に出していいのかヒヤヒヤするくらい過去をリアルに書いてる。それでも、このリリックに詰め込んだ残酷な描写はSKY-HIが駆け抜けてきた地獄のほんの一部なんだろう。きっと、腐ってもおかしくなかった。誰かに言葉の刃を向けてもおかしくなかった。憎悪に走ってもおかしくなかった。そんな過去を全て《俺みたいな思いはさせない》に注いで、《一人にしない 任せな》と言ってくれてありがとう。

この曲を生で聴いたのは初めてだ。目も逸らせないような眼光で、圧倒的なリリックムービーを背負って、まくしたてるラップが悲しくて苦しくて強くて眩しくて、涙がまた零れてしまう。でもSKY-HIは、BMSGが成功した理由を「必要だったということ」と言った。すごく納得した。SKY-HIが作った居場所が必要だったから、そこに人が集まった。そして集まった彼らが作った音楽が、世界にとっても必要だった。今、この時代に。だからSKY-HIの《実家から上がった旗》には、こんなにも沢山の人が集ったんだろう。

だから私も、必要だから出会って、今年も足を運んだんだな。必要だから来年も行こうと思うんだ。BMSGが作る、音楽を超えた人生物語が必要なのだ。ものすごい勢いで成長し、事務所を底上げする若い世代と、そのスピードに負けじと舵を切る社長。BMSGが切り開く未来が、ずっとずっと楽しみだ。

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