20220513 新品中古関係なくカメラが好きになった入り口は、間違いなくこの本
久々に、この本を読んだ。
というか、見つけた。
見つけて、読み直した。
久々に読んだのだけど、初っぱなの一文に参った。
「私たちは何故カメラが好きなのだろうか。」
いやはや、もうこれは「名言極まりない」と、勝手に思っている。
この本に出会ったのは、学生時代。
初版が1997年と書かれていて、出版されてすぐに読んでいるはず。
それまで、手元にあったカメラ3台(Canonのオートボーイプリズマとコニカレコーダー、ヤシカエレクトロ35)で、記念写真やどこかに出かけたときの写真しか撮っていなかったのだけれど、俄然カメラに興味が湧いてきた。
それと同時に、この本が日本カメラという雑誌に連載されているものだと知って、そこからカメラ雑誌なるものがあると言うことを知ることになる。
よく行く図書館にはアサヒカメラが置いてあり、大学の図書館には日本カメラが入っていた。
なので、これらの雑誌を図書館で借りては読むことになり、そこからカメラに関する執筆陣、田中長徳さんやら赤城耕一さんなどのカメラに関する記事を書く人に興味が広がるだけでなく、大西みつぐさん、そしてアラーキーなどの写真家の作品にも興味が広がっていき、キャパなどの戦争写真家などといった写真の文化的な側面についても興味が湧いていった。
また、赤瀬川原平さんの文章も、やっぱりものすごく影響を受けた。
この中古カメラウイルスの名付け親でもある赤瀬川さんのエッセイだけでなく、路上観察学会、トマソンなどなど、その赤瀬川さんの活動にも目が行く。
そうした書籍をあさって読んでいるところに、老人力ブームがやってきた。
2000年に読売新聞の朝刊に連載されていた「ゼロ発信」などという小説もまた、毎日読むのが楽しみだった。
この小説の中に、廃品回収で古新聞の折り目が異様に揃えられて束ねているものの話が出てきて、自分も読み終わった新聞を縛るときに、ものすごくきっちりと折り目をつけて重ねて新聞を縛るなんていうことをしたりした。
妙に、影響を受けている。
この本にも、「缶ビールよサヨウナラ」という章があるのだが、この中で出てくるビンビールのなんと美味しそうな事か。
影響を受けて、キリンのラガーをビンでケースで買ってきて、毎日1本ずつ冷蔵庫に入れて夜に飲むのを楽しみにするなんていうことをした。
昭和の頃、ビールと言えばアサヒのスーパードライではなくて、キリンのラガーだった。
自分の父親も、毎晩キリンビールの中瓶を2本くらい飲んでいた。
大人になったら、キリンビールを飲むものだというのをすり込まれていたのだけれど、世の中はアサヒスーパードライの世の中で、しかも缶ビールの時代になっていた。
そんな時代に、ビンのキリンラガーときて、「自分も年齢は大人の仲間入りをしたのだからラガーを飲まなくちゃね」なんて、影響を受ける。
親父くさいと言えば親父くさいのだが、そうした振る舞いをする事で大人になれるなんて思っていた頃だったかもしれない。
まだ、昭和の男の大人のかっこよさに憧れていたのかもしれない。
この本を読みながら、色々な事を思い出す。
しかし、それ以上に、「金属人類学入門」という、なんとも固い題名の本であっても、やっぱり赤瀬川原平さんの文章の柔らかさが心地良い。
この柔らかさの中から、どれだけ硬派のとんがったエネルギーを持ち合わせていたのかはなかなか見えてこないが、それでもやっぱり千円札裁判やらハイレッドセンターやらを経て、たどり着いた境地というのもまた興味深い。
いやぁ、いいものを見つけることが出来た。
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