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私の心ときめく名画上映備忘録

MOMA、ジャパンソサエティなどNY3箇所で日本映画黄金期を駆け抜けた撮影監督、宮川一夫(1908年~1999年)の生誕110周年を記念した『宮川一夫:日本の偉大な撮影監督』シリーズを開催(2018年4月)

【ニューヨーク近代美術館・映画部キュレーターのジョシュア・シーガル氏コメント】
「宮川一夫氏は市川崑監督の『おとうと』(1960)の撮影で、「銀残し」という現像手法の考案者として知られています。この手法により彩度と色調のコントロールをより得ることが出来ました。それから半世紀以上経っても、この様な技術や芸術的革新は、ヴィットリオ・ストラーロや本年度の第90回アカデミー賞撮影賞を獲得したロジャー・ディーキンスを含めて幅広い層の撮影監督に影響を与えています。これらの撮影監督は、銀残し手法を使用し、カラー映像に銀色の光沢を残したり、外の撮影で鏡を使い日光と影のまだらな効果を出したりなど宮川考案の技法を用いています。」

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【宮川一夫プロフィール】 
1908年2月25日、京都市生まれ。1926年18歳で日活京都へ現像部助手として入社。約3年間の現像処理の従事期間を経て、撮影助手を経験。尾崎純監督の『お千代傘』(1935年)にて撮影監督デビュー。稲垣浩監督『無法松の一生』(1943年)での美しい映像で高い評価を得た後、溝口健二、黒澤明、小津安二郎、市川崑などの巨匠監督による作品を撮影。黒澤明監督との初コンビ作品『羅生門』(1950年)では、日本映画初となるヴェネチア国際映画祭金獅子賞とアカデミー賞最優秀外国語映画賞を受賞。溝口健二監督の『雨月物語』(1953年)では、英国エディンバラ国際映画祭で最高賞を受賞。黒澤明監督の『用心棒』(1961年)などでNHK映画賞撮影賞、『おとうと』(1960年)『はなれ瞽女おりん』(1977年)などでは毎日映画コンクール撮影賞など受賞多数。また、『おとうと』の撮影において、物語の時代設定である大正の雰囲気を出す為にフィルムの発色部分の銀を残す独特の技法「銀残し」を生み出した。この技法は現在、世界中の映画で広く用いられている。1978年に紫綬褒章、1983年に勲4等旭日小綬章。1992年には山路ふみ子文化賞、川喜多賞を受賞。「監督と撮影監督は夫婦のような関係」という持論のもと、60年以上にわたり、40人以上の監督とともに映画を撮影。映画136本、テレビ映画8本を撮影し、1999年8月7日に91歳で他界。


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【上映プログラム】

『浮草』 監督:小津安二郎

『羅生門』 監督:黒澤明

『無法松の一生』 監督:稲垣浩

『ある殺し屋』 監督:森一生

『座頭市千両首』 監督:池広一夫

『東京オリンピック』 監督:市川崑

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『雨月物語』 監督:溝口健二

『刺青』 監督:増村保造

『鬼の棲む館』 監督:三隅研次

『赤線地帯』 監督:溝口健二

『鍵』 監督:市川崑

『はなれ瞽女おりん』 監督:篠田正浩

『近松物語』 監督:溝口健二

『越前竹人形』 監督:吉村公三郎

『すべてが狂ってる』 監督:鈴木清順

『おとうと』 監督:市川崑

講演会
『撮影監督・宮川一夫』
Cinematographer, Kazuo Miyagawa

撮影監督宮川一夫の長男・宮川一郎氏と長年に渡り宮川一夫のアシスタント撮影技師を務めていた宮島正弘氏を迎えて、宮川一夫にまつわるスペシャル・トークを開催。司会には大阪芸術大学にて宮川一夫の元で学んだ経験もある、ロチェスター大学・近代言語文化学部 日本文化・映像文化学教授ジョアン・ベルナルディ博士。


日々観た映画の感想を綴っております。お勧めの作品のみ紹介していこうと思っております。