RED(小紅書)、weibo(ウェイボー)とwechat(公衆号)、どれを選ぶか?フォロワー88万人の中国インフルエンサーが徹底解説!

中国のSNSを言えば、昔からweibo(ウェイボー)とwechat(公衆号)が日本でも知られていますが、最近ではRED(小紅書)も耳にする機会が増えていますね。
これらのSNSは、記事や動画のプラットフォームとしてそれぞれどのような違いがあるのでしょうか?また、日本の企業がアカウントを開設する際には、どのプラットフォームを選ぶのが最適なのでしょうか?
本記事では、この3つのSNSプラットフォームについて詳しく解説・分析していきます。

作者紹介 Sophie Chow

2010年に来日し、10年以上ににわたり中国のSNSを通じて日本の観光・文化・留学・就職に関するコンテンツを配信してきました。現在、中国国内で88万人以上のフォロワーを持つインフルエンサーとして活動しています。これまでの運営とコンテンツ制作の経験を活かし、企業や自治体に対してインバウンドPRや海外SNSの運営サポートを提供しています。また、国家キャリアコンサルタントとして在日中国人向けのキャリア相談サービスも行っています。

RED(小紅書)、weibo(ウェイボー)、wechat(公衆号)の違い

①中国での位置づけ

・中国ユーザーの目線から見るプラットフォームの存在
中国のネットユーザーにとって、それぞれのプラットフォームはどんな位置づけなのか。

まず、Wechat公衆号は、毎日使うチャットアプリ「wechat」の一機能として、記事を読む習慣がない人でもプッシュ通知で送られた内容を何となく見ることが多いです。ユーザーによって読む頻度が異なります。

一方、weibo(ウェイボー)は歴史が長く、多くのユーザーがアカウントを持っているため、特に芸能人や有名人が活動しているSNSとして、エンタメ業界や社会ニュースをチェックするために使われることが多いです。

RED(小紅書)は新興のSNSであり、周りの人が使っていると自分も使うという傾向があります。そのため、ユーザー層が特定の属性に集中しやすいです。最近では、さまざまな生活情報が投稿され、「何か困ったら情報を検索する」プラットフォームとしても機能しています。

ただし、中国のSNSのトレンドは時期によって変わりやすいので、現在はREDが主流であるものの、今後は他のプラットフォームに取って代わられる可能性もあります。

・中国企業の目線から見るSNSの利用法
中国の企業にとって、これらのSNSは重要なマーケティングツールです。
まず、企業の公式アカウントとして、wechat公衆号(特に企業用のサービス号)がほぼ定番となっています。これは、WeChatが提供する多様な機能(決済やEC機能、ミニプログラムなど)によって、PRからCRM(顧客関係管理)まで幅広い用途で活用できるためです。

Weibo(ウェイボー)アカウントは、公式情報を発表するためのプラットフォームとしての役割を持ち大企業の多くは広報手段としてWeiboを利用しています。
自社サイトで広報を行う企業もありますが、ユーザーが自社サイトを直接確認することはほとんどなく、主にSNSを通じて情報を収集する傾向にあります。

RED(小紅書)は口コミを利用したPRのプラットフォームとして、中小企業の起業にも向いています。WeChatやWeiboの運営コストが高いため、まずは情報が拡散されやすいREDやDouyin(中国版TikTok)から認知度を高める戦略を取る企業が多いです。
ただし、REDのユーザー層がやや偏っているため、PRしたい商品や情報によっては、最適でない場合もあります。

②ユーザー数と属性

・ユーザー数の比較
RED(小紅書)は「いまどきのSNS」と言われますが、アクティブユーザー数の観点から見ると意外な点があります。

SNSのトップランキングを見てみると、WeChatが圧倒的な1位で、次いで同じくテンセント社が運営するQQが2位となります。3位はWeibo(ウェイボー)、4位にRED(小紅書)が続きます。

具体的な数字で比較すると、もしRED(小紅書)のアクティブユーザー数を10とすると、Weiboは22、WeChatは50ほどになります。

もちろん、WeChat自体はLINEのようなチャットアプリであり、その全てのユーザーが「WeChat公衆号」という機能を使っているわけではありません。
以下の「2023年SNS月間アクティブユーザー」データを見ると、WeChatの全ユーザー数(左から1番目)とWeChat公衆号を利用しているユーザー数(左から2番目)に関する情報が掲載されています。このデータによれば、「WeChat公衆号」を実際に利用しているのは、WeChat全ユーザーの約85%です。

つまり、この85%を考慮しても、「WeChat公衆号」のアクティブユーザー数が圧倒的に多いことがわかります。


・ユーザーの属性の比較

WeChatはアクティブユーザーが10億人以上であり、ほぼ全てのネットユーザーをカバーしています。そのため、ユーザー属性に偏りはあまり見られませんが、公衆号の利用者層は他のSNSに比べて年齢層が高く、主に30代以上のユーザーが多く利用しています。

Weibo(ウェイボー)は、歴史の長いSNSですが、最近の戦略によって若年層のユーザーが大半を占めるようになっています。BALMER社のレポートによると、17〜33歳のユーザーが多く、男女比は53:47で、特に南部地域のユーザーが比較的多いです。

各地域のユーザー比例

RED(小紅書)は、圧倒的に女性と若者の利用が多いSNSです。
Topmarketingの2024年レポートによると、ユーザーの男女比は3:7で、1995年以降に生まれたユーザーが50%、2000年以降に生まれたユーザーが35%を占めています。
また、RED(小紅書)は海外に住む中国人ユーザー(在日中国人を含む)の利用が非常に多いです。他のSNSでは海外の位置情報が細かく活用されていない一方で、RED(小紅書)は海外でも都市ごとに現地情報の推奨を細かく行っており、海外に住む中国人にとって重宝されています。

そのため、REDでのPRは位置情報を活用し、「日本にいる中国人観光客」に情報を届ける可能性が高いという利点があります。

ただし、このことが誤解を生むこともあります。たとえば、在日中国人の社員が、自分や周りの中国人がRED(小紅書)を使っているので、「中国ではREDの使用人数が最も多い」と思い込んでしまうことがあります。実際、在日中国人の間では非常に人気がありますが、中国本土ではまだ主流とは言えず、ユーザーの大半は大都市に住む女性が占めています。

③内容と形式

・テキストと画像の表示
WeChatの公衆号は、長い記事の配信に最も適しています。日本のブログやNote、自社のウェブサイトの記事を転載する場合、ほぼ同じフォーマットで掲載することができます。テキストと画像を交互に配置する形式(テキスト+画像+テキスト+画像など)の校正が可能で、視覚的にバランスの取れた記事を作成できます。


Weibo(ウェイボー)は現在、文字数の制限が5000字までとなっていますが、画像とテキストが混在するような記事には適していません。テキスト部分と画像が別々に表示されてしまいます。


RED(小紅書)は、テキストの文字数制限が1000文字であるため、長い記事の配信には向いていません。画像が主なコンテンツとなっており、テキストと画像が別々に表示されるため、複雑な文章構成には不向きです。

・動画

WeChatの公衆号の記事内には動画や音声を貼り付けることができますが、再生するには一度タップが必要なため、動画の表示にはあまり適していません。このため、WeChat内には動画専用の「動画号」機能が設けられています。Douyin(中国版TikTok)と似た形式ですが、自社運営の公衆号と動画号を連動させることが可能です。

Weiboは動画を直接配信することができ、インプレッション表示の時点で自動再生されます。また、複数の動画を一度に配信することもでき、動画コンテンツとの相性が良く、動画配信機能も非常に強力です。

RED(小紅書)も動画を直接配信することができ、ユーザーが動画を視聴する頻度も高く、動画コンテンツとの相性が非常に良いです。

④運営の難易度

中国のSNSでは、「フォロワーの水増し」や「閲覧数の水増し」が存在しています。インフルエンサー自身が「ロボットフォロワーを購入する」こともありますし、プラットフォーム自体がインフルエンサーに「フォロワーを増やす」こともよく見られます。プラットフォームが提供するフォロワーには、ロボットと本物の両方が混在していることがあります。

そのため、1フォロワーの価値はプラットフォームによって大きく異なります。フォロワー購入行為を厳しく禁止しているSNSや、フォロワーがつきにくいSNSでは、1フォロワーの価値が高いです。

3つのプラットフォームのフォロワーの価値を比較すると、
RED(小紅書)≥ wechat(公衆号) > weibo(ウェイボー)となります。
閲覧数の価値については、
wechat(公衆号) ≥ RED(小紅書)> weibo(ウェイボー)となります。

WeiboとWeChatは、長い歴史を持つプラットフォームのため、「ロボットフォロワー購入」の行為が普及する以前から存在しており、それを厳しく禁止するまでに時間がかかりました。そのため、一部のアカウントにはロボットフォロワーが含まれていることがあります。また、長期間にわたって運営されているため、アクティブユーザーの減少も見られ、かつては活発だったが現在はあまり利用していないユーザーも存在します。

一方、RED(小紅書)は、早い段階から「ロボットフォロワー購入」の行為を厳しく禁止しており、プラットフォーム自体も比較的新しいため、まだアクティブなユーザーが比較的多いです。

ただし、最近ではREDのPR活動が人気を博しているため、コメントやフォロワーの偽造も見られるようになってきました。運営経験が乏しい場合、「偽インフルエンサー」にPRを依頼するリスクがあるため、注意が必要です。

閲覧数についても同様の状況が見られます。WeChatは現在、閲覧数の偽造を厳しく禁止しているため、閲覧数の価値はRED(小紅書)と同等以上と考えられます。特に、WeChatとREDの記事は、一度クリックして内容をある程度読む必要があり、それが閲覧数としてカウントされます。そのため、Weiboの閲覧数(実質インプレッション数)とは大きく異なることに注意が必要です。

フォロワーの価値や閲覧数の価値、またそれらの獲得の難易度もプラットフォームによって異なるため、Weiboの基準でREDやWeChatを運営することはできません。プラットフォーム間での感覚の違いは10倍以上にもなり得るため、同じプラットフォームの競合アカウントを調査し、数字感覚を掴むことをおすすめします。

自社アカウントを開設する際は、RED(小紅書)、weibo(ウェイボー)、wechat(公衆号)のどれが良いか?

結論から言うと、

①2024年には、RED(小紅書)は比較的に結果が出やすい

近年、RED(小紅書)の競争は非常に激化していますが、それでもまだ成長の余地があります。新しいアカウントには優遇措置があるため、既に成熟したプラットフォームの中でも比較的に結果を出しやすいと言えます。

ただし、「何をしてもREDが良い」というわけではありません。重要なのは、ユーザー層との一致、運営の頻度、適切なコンテンツ素材の準備、「RED風」の投稿を作成できるかどうかの確認です。

RED(小紅書)は既に「配信すれば必ずバズる」時代ではなくなったため、間違った方法で運営すると、高いコストをかけても結果が出ない可能性があります。コンテンツの作成や監修はプロに依頼することをおすすめします。

②知名度のあるブランドと企業には、wechat(公衆号)もおすすめ

中国のSNS上である程度知名度のあるブランドや企業には、WeChat(公衆号)をおすすめします。フォロワーが増えるまでには時間がかかるものの、WeChat内の様々な機能を活用することで、CRMやEC販売の可能性が広がります。
また、ジャンルによっては、WeChatの動画号の成長速度が最近ではREDよりも早いとされています。REDのユーザー層と相性が良くないブランドや企業は、WeChatの動画号と公衆号の組み合わせを試す価値があります。

③最終的には3つのプラットフォームを同時に運営するべき

最終的には、WeChat(公衆号)、Weibo(ウェイボー)、RED(小紅書)の3つを組み合わせて運営することが目標となります。中国で影響力のある企業やブランドの多くが、これら3つのプラットフォームを同時に運営しているからです。

ただし、WeChat(公衆号)とWeibo(ウェイボー)がすでに安定した地位を持っているのに対し、RED(小紅書)はまだ若く、将来が不確定です。これまでにも、一時的に流行して後に人気を失ったSNSは多くありました。そのため、短期的な効果(3〜4年以内)を狙ってRED(小紅書)を運営することをおすすめします。

最後に

実際のところ、現在の中国にはRED(小紅書)、Weibo(ウェイボー)、WeChat(公衆号)以外にも、Douyin(抖音)、Zhihu(知乎)、Bilibiliなど、膨大なユーザーを持つSNSがあります。

それぞれのSNSは異なるユーザー層を持っているため、「No.1のSNSがどれか」を一概に言うことはできません。運営・PRの目的やコンテンツの内容によって、適したプラットフォームは変わってきます。

もし、RED(小紅書)、Weibo(ウェイボー)、WeChat(公衆号)以外のSNSについても知りたい場合は、下記のリンクからメールアドレスを登録していただければ、中国の全プラットフォームの分析資料を無料で提供します。

https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLSddMSwp6zt7AfDL-v9CXFFa5cs4rUzZwMx-LESeXdwfL3NFFw/viewform?usp=sf_link

また、中国のSNSやインバウンドPRに関してお困りの方も、上記のリンクからお問い合わせいただけます。

このNoteで、日々の中国SNS運営の感想や経験を更新していますので、興味のある方はぜひフォローをお願いします。




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