見出し画像

「キャプテンになりたい」2年•野田祐成

彼女のことは1時間半かけて迎えに行き、その場で1時間半待つのに、俺のことはちょっと遅れただけで「だいぶ遅れてて草」って言ってくる、俺より彼女が大事らしい小熊 崚介くんから紹介に与りました。2年野田祐成です。
ちょっと長いですが、読んでくれると嬉しいです。

チームは現在残り3勝で昇格が決まる立ち位置にいる。
しかし、相手チームの状況などにより1ヶ月ほどリーグ戦がなくなってしまった。私はちょうど左足の脛にシンスプリントの症状が出ていたため、一旦チームを離脱し、大事を取って体を休め治療に専念することにした。

さてこの期間なにをしよう。治療はもちろんだが、チームに属している以上なにか貢献できることを探していた。そんなとき、Bチーム対Cチームの紅白戦を観た。酷かった。ほんとに酷かった。これが高校生まで本気でサッカーをしてきた人間の紅白戦なのかと。Bチームにボコスカ点を取られるCチーム。唯一聞こえるのは失点するたびにY.K.君が叫ぶ「やろう、やろう!」の声。みんな完全に意気消沈していた。決して技術的な部分が酷かったわけではないことをここで断っておく。

上智大学体育会サッカー部の強みは学生主体であることだ。チームに関わる事の全てを選手が担っている。もちろん指導もだ。ここの部分が仇となってしまっていた。Cチームに全力を注いで指揮できる人間がいなかった。そりゃあの様になる。

この期間だけでもCチームを指揮してみたい。自分の中で初めて人にサッカーを教えたいと思った瞬間だった。

しかし、なにをどうどこまで教えようか悩んだ。今の私のサッカー観、サッカーに対する捉え方は全て國學院久我山高校時代の清水監督に教えて頂いた全てだった。

「サッカーで最も大事なことは、ポジショニング、ボールコントロール、状況判断。この3つなんだ。」と。

この言葉は耳にタコができるほど言われた。

僕自身、決して身体能力が高く、観客を沸かすような観ててかっこいいようなプレーをする選手ではない。しかし高校3年間で培ったインサイドパス、ポジション取り、常に頭で考えること。これらは上智大学体育会サッカー部の誰よりも優れていると自負している。

指揮するなら誰かの真似をするのではなく、自分でしか教えられない自分の強みを、みんなに落とし込みたいと考えた。

僕はCチームの練習でひたすらインサイドパスをやらせた。

「強く蹴れ。しっかりボールを見ろ。軸足を固めるな。自分より前で触れ。」

他にも山ほどある。僕は高校時代いわゆるよく怒られる選手だった。そのため監督から多くの言葉を頂いた。全て覚えている。それをひたすらに自分の言葉で選手に投げかけ続けた。

高校時代最も嫌いだった練習である2vs2も沢山やらせた。2vs2にサッカーの全てが詰まっていると言っても過言でないと思っているからだ。サッカーの原理原則を理解し、それらを体得できる最も合理的な練習である。

4対4+2サーバーもやらせた。

全て私が高校の時やっていた練習だ。自分が監督から頂いた教えを他の選手に伝える。これを胸を張ってできるのも、清水監督から教えていただいたことの全てはそれほど価値のあるものであり、今の自分のサッカー観の礎になっていると自信を持って言えるからだ。


そして再びBチームとの紅白戦を迎えた。


「公式戦前と同じ緊張感で、全力で勝ちに行こう。」そう伝えた。
試合中私は無我夢中にひたすら声をかけ続けていた。何故かサッカーになるとびっくりするほど声が出る。

そして結果は1-0、1-0、0-2。
前回Bチームにボロカスにやられてたチームとは考えられない結果であったと思う。
確実に試合後の顔が違った。自然と笑みが溢れ、勝つことがどれほど大変でどれほど嬉しいか分かってくれたと感じた。


「初めて」チームを指揮して、「久しぶり」にチームをまとめる役をした。
というのも私は、小学生のとき地元チームのキャプテンを務めていた。しかしその後私には人をまとめる力がないと判断され、チームのキャプテンは途中から現在日テレベレーザで活躍している伊藤彩羅に変わった。彼女は女の子ながら小学生の1番めんどくさい時期の男たちをいとも簡単にまとめていた。その時から自分には人をまとめる力がないのだと思っていた。

しかし中学、高校、そして大学とサッカーを続け、多くの人と出会い、多くの言葉をもらった。それらを元に今回、実際に指揮を取ってみてチームをまとめることにとてもやりがいを感じたのは事実である。

そこで芽生えた一つの感情がある。
「もう1度キャプテンをしたい。」

もちろん小学生ですらまとめられなかった自分に務まるのかと不安はあるが、今まで出会った人間、培ったアドバイス、経験があれば必ず務まると信じている。

Cチームを教えて、教えられた。小学生からずっと避けてきたチームをまとめるということにもう一度挑戦してみろと。




小学生の時所属していた関前SCの監督から卒団の際に頂いた色紙に書いていた言葉がある。

「誠実さを忘れずにもう一度キャプテンを目指そう!」


誰からも信頼され、
真心を持って選手に寄り添える、
そんなキャプテンになりたい。

次は上智センターパートの先駆者、佐々木公瑛です。お楽しみに!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?