ベビーカーとパパ

ストックホルムの街を歩いていると、ベビーカーを押して歩くお父さんたちの姿をよく見かける。スウェーデンでは日常において、男女のあいだに壁を感じることは少ない。男性も女性も同じ期間育休をとり、子育ての負担を分かち合うのは当たり前だし、議会を見ても、閣僚の半分以上を女性が占めている。

そんな、スウェーデンにもかつて、女は家を守り、男は働くという考えがごく当たり前だった時代があった。しかし、経済発展と共に、労働者不足を補うために女性の社会進出を政府主体で推し進めたのをキッカケに、次第にそうした考えは社会から薄れていっていったそう。社会全体で男女格差をなくそうという強い意志と、声を上げた多くの女性の果たした役割は大きなものだった。フェミニズム外交を掲げるスウェーデンは、女性の権利が抑圧されている事を理由に、サウジアラビアとの軍事協定を延長しなかった事もあったほど。流石にその時ばかりは、経済界から反対の声があがり、外相は釈明に追われたが、発言を撤回することはしなかった。男女平等を掲げるスウェーデンの、芯の強さを感じるエピソードである。

国を挙げて男女平等を達成したかに見える一方で、まだまだ格差が残る分野もあった。そのひとつが、師弟制度の残る演劇や映画界。業界における女性比率は、男性に比べ低い傾向が続いていた。そんな、状況を変えようとスウェーデン映画界は、11年に国の助成金が支給される作品の監督やプロジューサー、脚本家の割合を同数に近づける目標を掲げ、女性人材の育成や労働環境の改善に努めた。結果として、そうした取り組みが功を奏し、助成を受けた長編のうち女性監督作の割合は、07年の26%から18年には65%へと大きく、向上した。スウェーデンの、男女格差是正への挑戦は、まだまだ終わらない。 

育休をとる男性が増えたためか、最近、日本でも街を歩いていて、ベビーカーを押すお父さんたちの姿を昔に比べ、よく目にするようになった。父が母親に代わって家事、子育てをしていた我が小学生時代、小学校の避難訓練の際、生徒の保護者がぞくぞくと迎えにくる中、お母さんたちの群れに1人混じり、こっちを向いて、手を振る父の姿に恥ずかしさを感じた事を今でも覚えている。今は、同じ思いを抱く小学生は、少なくなったのだろうか。当時の父の姿を、今は誇らしく感じる。

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1997年 神奈川県生まれ/社会派バックパッカー/スウェーデン留学/ビートルズと「男はつらいよ」が好き。生まれる時代を間違えたかもしれない。/https://www.huffingtonpost.jp/author/sora-kitajima/
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