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スウェーデンでの生活#11 北欧の自然が生んだ蒸留酒

こちらに来てからよく使っているスーパーの入ってすぐのところに薪が積まれているのがずっと気になっていたのだけれど、先日ついにその薪を買って帰る方を見かけて内心(おお…!)となった。季節の変わり目に差し掛かっているようで、フルーツなどの品揃えも行くたびに少しずつ変わっていて飽きない。柑橘類が特に好きなので、この間もみかんにそっくりな見た目のフルーツがあって買ってしまったのだが(クレメンタインというらしい)オレンジの爽やかな甘酸っぱさとみかんの気軽さのいいとこ取りのような味で期待以上だった。つい昨日も見たことのない柑橘が並べられていたので、そのうち試してみることにする。

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飲み比べセットを買った

さて、今日はここ北欧の人々に愛されている蒸留酒、アクアヴィットとブレンヴィーンを試したのでその感想をば。先に軽く説明すると、アクアヴィットはじゃがいもを主原料としたお酒で、クミン・ディルの少なくとも一方を含むハーブやスパイスで香りづけをしたもの。名前の由来はウイスキーやウォッカと同じ、ラテン語の 'aqua vitae' から来ていて「命の水」として大事に扱われていたらしい。もう片方のブレンヴィーンはじゃがいもや穀物から作られた蒸留酒のことだそうで、アクアヴィットやウォッカの他に、よもぎやエルダーフラワーの風味を持たせたものなどいろいろな種類があるようだ。こちらの語源はブランデーと同じ「燃えるワイン」だとか。

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説明はこれくらいにしておいて、これが今回買った飲み比べセットである。お店に置かれていたセットは2種類あって、一つはこのO.P. Anderson蒸留所のもの、もう一つは違う蒸留所が出しているものだったはず。アクアヴィット5本とブレンヴィーン5本に、セットを楽しむための小冊子も入れてあるという親切設計。冊子には蒸留所の紹介の他に「スパイスマスター」による飲み頃の温度や食事との組み合わせ、それぞれのボトルに合う料理のレシピ、カクテルの提案などが載っている。ただしスウェーデン語で。

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熟成期間の違いなのか、色がグラデーションのようになっていて少し楽しくなってしまった。まずは1本ずつ試すかということで、悩みつつ選んだのがアクアヴィット 'SKÅNE AKVAVIT' とブレンヴィーン 'ÖSTGÖTA SÄDESBRÄNNVIN' 。どちらも思った以上に個性の強い蒸留酒でした…

アクアヴィット 'SKÅNE AKVAVIT'

SKÅNE AKVAVIT は古株の O.P. ANDERSON AQUAVIT とフレーバーが同じアクアヴィットで、モノトーンのシンプルなラベルデザインが素敵。冷やし忘れたせいも割とあると思うが、だいぶきつい薬草のようなアルコールの匂いがする。ウイスキーの辛さにジンのハーブの風味を組み合わせた感じといえば伝わるだろうか…。さっぱり系なので、冊子にあるニシンの酢漬けやスシ(!)に合うという説明は納得感がある。試してはないけれど。

さすがにこれを単体で飲みきるのは厳しい気がしたので、アイリッシュコーヒーの派生カクテル・スカンジナヴィアンコーヒーを作ってみることに。生クリームの代わりにフォームミルク、量も適当だがなんちゃってにしては結構いい雰囲気に仕上がった。コーヒーの深みが引き立てられるのと、ハーブの香りが鼻へ抜けるあたりがアイリッシュコーヒーともスパイスを入れたコーヒーとも少し違っていい感じ。余った分はトロピカルフルーツのミックスジュースで割ってみたが、ハーブがほのかに香ってなんだかほっとする味になった。コペンハーゲンというマンダリンオレンジのリキュールと合わせたカクテルもあるらしいので、意外にスタンダードな組み合わせだったりするのかもしれない。

ブレンヴィーン 'ÖSTGÖTA SÄDESBRÄNNVIN'

ÖSTGÖTA SÄDESBRÄNNVIN は1864年に販売が始まったブレンヴィーンで、現在造られているのは一度は失われたレシピを5年かかってやっと再現したという逸話もある製法によるらしい。アクアヴィットの反省を生かしてきちんと冷やしてから飲んだのだが、全然個性が負けていなかった。香りは以前noteに書いたPunschに近いはちみつの優しさを感じるのだが、味の方はかなりドライで口の中までひりひりするような気がしてくる。グリルした肉との組み合わせがおすすめされていたのでベーコンブロックを贅沢にステーキにして合わせてみたが、ベーコンの香ばしさとドライな口当たりに隠れていたお酒の丸みがふわーっとのどに回っていって幸せな気分になった。

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今回紹介した他にも、香りづけに使われているハーブつながりで料理と組み合わせるという提案や、チョコレートに合うと書かれたボトルもあって期待が膨らむ。残りも北欧の空気を感じながら、ゆっくり楽しみたいと思う。

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