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プレスラボ代表就任と「DRESS」編集長卒業のお知らせ

「自分なんかが代表になっていいんでしょうか」。

先の大相撲初場所を制した徳勝龍関が、優勝力士インタビュー冒頭で発した「自分なんかが優勝していいんでしょうか」。

10月下旬、下北沢の編集プロダクション「プレスラボ」創業者の梅田カズヒコから、「プレスラボの代表をしてもらえないか」と話が来たとき、まさにそんな感覚でした。

女性向けWebメディア「DRESS」で編集長をしていた私は、2020年もDRESSでの仕事を続け、いよいよ編集長業務は5年目になるのか、と思っていました。

DRESSは新たなフェーズに入りつつあり、次の年も挑戦の機会と学びを得るのだろうと、漠然と考えていたんです。

そんな矢先に、突然の打診。12年に渡り代表を務め、会社を守ってきた梅田の、代表を退くという覚悟。1週間ほど考える時間をもらいました。

媒体そのものの方向性を整え、大きく成長させ、そこに関わるメンバーを自走させるマネジメントや仕組み化を行ってきた株式会社DRESS代表、小林航平。彼を筆頭に、メンバーのおかげで年々パワーを増し、「DRESSっていい媒体だね」と直接的にも間接的にも評価されるようになったDRESS。1年後は確実に、今とは違う景色を見ているはずでした。

だから、DRESSで編集長をやりながら、プレスラボで代表を務める——そんないいとこ取りの未来も思い浮かべてみました。でも、「二兎を追う者は一兎をも得ず」な状況が見えたのです。

ただ、やめどきや引き際を決断するのは難しい。DRESSで新たにできることもたくさんあったし、むしろこれからだと思っていました。

考えた末に選択したのは、プレスラボの代表になる道です。代表である間は「会社のため、メンバーのために、自分ができることをとことんやろう」と決めました。会社の代表者をするなんて考えたこともないですが、縁あっていただいた話です。

その立場になったからこそ、新たに勉強したいことが増えるだろうし、今までとは違うモノの見方や考え方ができるようになる。また、別の環境で培ったモノを、プレスラボという会社に還元できる。そう考えました。

DRESSにいた頃、媒体の在り方を皆で話し合う際、私はこのような発言をしました。

「読者はDRESSで知見や知恵を得てほしい。それをこの世を生き抜く武器として使ってもらいたい。そういう意味でDRESSは武器庫的な存在であってほしい」

武器庫という表現が少し物騒なので、今では考え抜かれた別の表現に言い換えられていますが、原点は「DRESSに来て、自分を守るためのモノを手にしてほしい」という願いがあったんです。

プレスラボではこの発想を活かして組織づくりに取り組みます。DRESSで4年という時を過ごして、たくさんの別れと出会いがありました。

その中で実感したのは、メンバーの多くはいずれ何かしらの理由で「卒業」していくこと。人も時も流れていく存在です。

卒業は自然なことで、他人が止めるわけにもいきません。でも、そのとき同じ場所にいて、一緒に仕事をする中で経験したこと、考えたこと、インプット/アウトプットしたことは残ります。

だからこそ、知見や知恵、強みを「次の場所でも活用できる資産」にできるような仕事やコミュニケーションができる組織を作りたいと考えています。

DRESSがそんな組織でした。自分自身がそんな場所で働けたからこそ、今度はプレスラボをそんな場所にしていきたい。できないことは山ほどありますが、今までの経験とこれから学ぶことを活かして、メンバーに助けてもらいながら、より良い場所にしていきます。

雑誌創刊者である山本由樹 元編集長の時代からカウントすると、DRESSの三代目編集長は先の小林になります。2年9カ月一緒に働き、最後の1年はDRESS代表としての在り方からたくさん学ばせてもらいました。

前職のDRESS、そしてこれから代表を務めるプレスラボをよろしくお願いいたします。


2020年2月10日

池田園子

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