ファンの支えでミュージカル「RENT」を観たら、劇もぼくらを歌ってた、そんな感じ。

※はじめに
https://polca.jp/projects/NNGMAdeyio8
改めて支援者の皆様、ありがとうございます。

Thank you for
けーすけ (xxx), あやぺー (@ayako1492), Kokokaku (@koko_kaku), きゅーちゃん (xxx), とっちー (@maliu63), パッタイ (@padthai_09 ‏), 漫画家 こしのりょう (@koshinoryou), サディ (@sadycork)

※ニックネームのリンク先はnote, カッコ内の@以下はtwitterです

さて、この素晴らしい体験について語る時に(まだ少し興奮、サントラ聴いてるから?)、まずは朝から話しはじめなきゃいけない。
厳密には、始まりの経緯からとなるけど、それはこの前書いたので割愛。(冒頭に書いた)8人の僕の最初のファンの方たち。改めて、ありがとう。

これまでの経緯はこちらをどうぞ。
https://note.mu/sonogashira/n/n96f6ce834917


朝に起きて、今日はミュージカルに行く日だと思い出した。それから、みんなに支援してもらったことも。エンタメにお金を払う方だけど、2時間半に1万円以上払うのは僕には大金だ。
会場で浮かないか、恥ずかしい格好はできない。ファンに胸を張って楽しんだと思えるように、充分に吟味してとっておきのTシャツとチノパン(ユニクロ製)を選んだ。僕にとっては、とっておきの格好だから良しとしよう。

開演は、18時だけどその前に 漫画家 こしのりょう の漫画教室に申し込んでていたので出かける。それは素晴らしい体験だったけど、別の記事に譲るとして、会場で会った とっちー と けーすけ にもお礼と今日行くと告げる。行く前にも祝福されてる感じが心地いい。行く前から、楽しめるのが約束されている!
けーすけ は、このミュージカルを見たことがあって大好きらしい。主題歌を聴くと泣くって言ってた。というか、僕が知らないだけで有名(だから何度も来日してるともいう)で行った報告をしたら熱心に魅力を語ってくれる友達が何人かいたのに後から驚いた。

さて、17時に漫画教室が終わって、少し急いで会場の渋谷ヒカリエへ。小腹が空いていたけど、遅刻して台無しの経験よりは、少し前について落ち着いて、しっかりと味わうように余裕を持ちたい。そう、ファンに後押しをもらったと思ったら一つ一つの事をちゃんとしようと思う。僕にとって、とても大事なイベントなのだから。

(チケットの写真)

席は、不慣れでどこがいいか判らなかったのもあってS席の中でお任せで申し込んだ。明らかに見やすそうな真ん前の席は、残念ながら随分前から埋まっていて他の違いがよく判らなかったのもある。
結果としては、1階席の真ん中より後ろの左のはじの方。舞台はエレキギターと鉄骨をモチーフに作られた迫力あるセットということもあり、良く見えた。椅子はふかふか(他の席と変わらないけど、気持ち的にね)、なんだか素敵なことに自分の前2列は空席らしく、目の前が開けて見やすかった。
心配していた服装は、周りを見渡す限り及第点のようだ。日中も考えると、Tシャツもいたしかたなしだね。みんな。

開始まで少し落ち着かないで、無駄にトイレに立ったりもしたけど、そろそろ開演のベル。扉が閉まって、舞台に俳優が上がってセリフを言いはじめる。買うまで気がつかなかったけど、舞台は英語で、舞台両脇に電光掲示板で日本語字幕が出る。話の筋を追うのに、若干目を行き来しつつ舞台を眺める。

まずい、役者の表情がわからない。

もともと視力が高いほうじゃないけど、日常では困らないから気にしていなかった。このままじゃ、楽しめないまま終わるのかと、せっかく支援までしてもらってイベントにしたのに、自分の準備不足を心の中で100回は罵る。まったく期待されたのに失敗しやがって、こんな残念なやつ窓をぶち破って飛び降りちまえばいい。若干、舞台に酔い気味に、のっているのか、落ちてるのか判らないながらも、心が曇る。

せめて、今見える中で舞台に集中しようと、前の席がいないのをいいことに前かがみで舞台を睨む。そう、まさに必死に睨んでた。だんだんと役者の話が判ってきた。
それから、開幕と同時に会場から拍手がされて、役者の歌のパフォーマンスが終わるたびに拍手されるのに最初はびっくりした。映画鑑賞のイメージで、音を立てるなんてもってのほかと思ってたから。だんだんと物語がすすみ、それぞれのキャラクターが自分の中でくっきりと分かれはじめた。身体の動き、声の調子、視線、心の中に彼らの想いが入ってきた。

言い出せない想いを切々と歌う、恋人未満の彼氏彼女たち。心の不安を隠して笑う、恋人たち。想いを感じるたびに、切なさが涙を誘う。
しっかりと、観客を迷わせることなく歌いあげる役者たちの演技に引き込まれる。

脚本は、驚くほど早く場面転換して、激しい音楽に彩られている。それでいて一つ一つが雑なわけでもない。作品が扱う不況の中で(性的)マイノリティで差別があり、HIVがまだ未知の死の病、そんな中でも育まれる愛と自由を見つめていく力強い世界観とマッチして素晴らしく仕上がっている。

(自分が理解した)作品のメッセージは、

「人が生きてくには愛と自由が必要で、それは人が無限に分け与え(RENT)られるもの。いまが分け与える世界じゃなくても、人は変わるのには1分あれば良い。」

人間らしく生きるために、自由を選び、支え合う。それも、誰かを攻撃するのではなく、じっと耐えるのでもなく、クリエイティビティ(人としての工夫)を最大限に発揮して、どこかユーモラスに、そして華々しく立ち上がっていく。一人一人に目を向ければ、弱く、繊細で、切ない。彼らが支え合って生きている姿は、とても輝かしい。それは、1年と持たない儚いものであったとしても。

全ての自由に立ち向かう人たちへの応援歌なんだ。幕間に、終わりに、主題歌の「Seasons of Love」が歌われる。みんなが笑顔で、観客席は手拍子をして参加する。これがミュージカルなんだなー。役者たちと、観客で世界を作り出す。自分も手拍子をして、最後にスタンディングオベーションに参加した時に腹落ちした。1階席で参加できたおかげだ。

支援をくれたみんなのおかげで、新しい世界、新しい視点に触れることができた。ミュージカルを少しより楽しめるようになって、前に進む気持ちをもらった。愛を分けてもらって、自由が少し広がった。劇で歌われていることと、今の自分がいるところが同じだなって、心が温かくなった。

とはいえ、帰る時には思ったよ。これだけ切ない愛を歌う劇なのに、なんで僕は奥さんと来なかったんだろうとか。漫画教室の会場で、とっちー に怪訝な表情で一人で行くのって聞かれた時に、少し察すればよかった?
でも、たぶんミュージカルは内容を覚えていって、何度も観に行って楽しむものだ。この素晴らしい体験が、一度だけなんて勿体無い。まあ、とりあえずDVDを買っておこう。

だって聞いちゃったんだ。帰りのエスカレーターで、たぶんヘビーユーザーの人が熱心に話すのを。最初に作った作家は、なんと初演の前日に突然亡くなってしまって、途方にくれる舞台で役者たちが歌い始めて一幕を演じてしまったところから始まったって伝説とか。そういう、ドキュメンタリーもDVDには入っているらしいよ。僕は、あっさりAmazonでポチったよ。



そして、Apple Musicでサントラをずっと聞いている。なんだか、応援されている気分になるし、応援されたことを思い出せるからね。

僕は端から端まで、これ以上ないくらい堪能できたよ。
こんな素敵な経験をさせてくれて、ありがとう。

僕もまた、君たちのように分け与えられる人になりたい。


またねー。

読んでいて幸せになれたら、僕にも教えてください。きっと、僕も飛び上がるほど幸せです。 感謝の気持ちを、あなたの居るほうへ送ります💌