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詩人 アフマド=レザー・アフマディーの紡いだ物語

詩人 アフマド=レザー・アフマディーの紡いだ物語より ー詩と音楽と共にー

2年前に開催し静かな感動を呼んだペルシャ文学の世界を、この秋に再び1日限りの特別なイベントとしてお披露目できることとなりました。

2年前のキアロスタミ監督の絵本の展示については以下の記事からご覧ください。

(アフマディーさんの絵本を読みながら)自分が子どもの頃に感じていた虚実の一体となった世界を思い出し、懐かしく、静かに心に沁みて込み上げてくるものがありました。

郷愁というのは、住んでいた場所や風景に由来するだけでなく、ひとりひとりの心のなかに拡がっていたもうひとつの世界の方にも感じるものなのかもしれないと、改めて感じさせられた出来事でした。

記念碑的なこの本の出版から15年、1985年から現在に至るまで、アフマディー氏の子どもたちへと書かれた物語は、60冊にものぼるそうです。

声高なメッセージを語るのではなく、幻想的な世界へと読者をいざなうような、あちらの方が本当の世界だよ…と穏やかにささやくような物語の数々は、イランの児童文学界においても唯一無二の存在としてやさしい光を放ちます。

美しい訳で、この度日本の私たちにも読めるように形にしてくださった愛甲恵子さんが、本年の5月に、

「あなたはなぜ子どもたちのために物語を書き続けることができたのですか?」

と質問すると、アフマディー氏は間髪をいれずに、

「愛('eshq)」

と答えられたのだそうです。

ぼくは話があるんだ、きみたち、子どもたちだけが信じる話が / いろたち 出版記念展示会(2022)noteより


1960年代のイラン現代詩壇に新しい風を吹き込んだ詩人アフマド=レザー・アフマディー。昨年、惜しまれつつ83歳で逝去されました。

前衛的な作風が愛された詩人ですが、子どもたちに向けたものがたりを数多く残したことでも知られています。

1970年『ぼくは話があるんだ、きみたち、子どもたちだけが信じる話が』(絵:アッバス・キアロスタミ)から始まった絵本の仕事は生涯にわたって続けられ、才能ある画家たちと生み出した絵本の数々は、イランの絵本の世界において独自の光を放っています。

今回は貴重な絵本の展示と、追悼として、アフマディーの絵本『春、ぼくらは鳥を呼び、鳥は応えた』の中の詩情をもとに、サントゥール奏者・岩崎和音さんをゲストに迎え、朗読と空間演出を交えたライブパフォーマンスを行います。

やさしく、どこまでも広やかなアフマディーさんのものがたりをぜひ体感しにいらしてください。

翻訳者の愛甲さんをはじめ、企画のサラーム・サラームにご縁をいただき、このようなオマージュをアフマディーさんに捧げられることを心より光栄に思います。


2024.10.13 sun.

《絵本展示》
11:00-16:00|入場料 500円(作品リスト付)
*ご予約は必要ありません

《朗読+サントゥール+空間美術によるインスタレーション・パフォーマンス》
16:30開場 17:00開演
要予約|3,000円
*展示もご覧いただけます

会場|いずるば
大田区田園調布本町38-8
東急多摩川線沼部駅より徒歩5分

ご予約|企画室・音と光
https://www.sono-lumiere.net/news-2024/




岩崎和音 Kazune Iwasaki, santoor

イラン・ペルシア古典音楽、サントゥール演奏家。1989年生まれ。大阪音楽大学作曲学科音楽学専攻卒業。イラン国立テヘラン大学院芸術学部音楽学科イラン伝統音楽演奏コース(サントゥール)修士課程修了。古典的な音楽理論を国内外で教鞭を執るDariush Talaei氏、サントゥール演奏法を西欧でも活躍するKamkar兄弟に師事。テヘラン大学より最優秀国際学生賞受賞。日・イラン国交樹立90周年記念式典にて演奏。現在まで、テヘランや日本国内各地で演奏活動を行う。サントゥールレッスン教室「パルディース Pardis」を主宰。
http://kazuneiwasaki.com


*サントゥールについて
主にクルミの木で作られる、イラン・ペルシアの打弦楽器。台形の表面には72本もの金属弦が張られ、2本の細い撥で叩く。抒情的な音色が幾重にも重なり、辺りを幻想的な音響が包む。イランにおける言説によると、紀元前7世紀の古代メソポタミア遺跡のレリーフに最古の資料が見出されるとされる。東西の各地に伝わったサントゥールは地域ごとに独自の名称で親しまれるようになり、やがて15世紀には英文学で「ダルシマー」と記述される。現地イランでは古典音楽が日常のあらゆるシーンで息づいており、ラジオやテレビのみならず、街頭演奏などでその音を楽しむことができる。サントゥールはその中でもポピュラーな楽器の一つで、日本で小学生がピアノを習いに行くように、教則本を携えて教室に向かう子どもたちの様子を見ることも少なくない。

岩崎和音 Kazune Iwasaki, santoor


愛甲恵子 Keiko Aiko,  stage reading

ペルシャ語翻訳者。イランの絵本・ペルシャ語の絵本の販売や、絵本にまつわる様々な企画をプロデュースするサラーム・サラームを運営している。
https://salamx2.wixsite.com/salamx2



美術・空間デザイン
玉城そのみ(企画室・音と光)
https://www.sono-lumiere.net/profile/

企画|salam×2
協力|企画室・音と光
いずるば


https://www.sono-lumiere.net/access/


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