切込


ほんとうは、透明になりたい

黒でも、白でも、灰色でもない
底が見えるほど純粋で、きれいな

なんにも知らなくて、知ることすら許されていなくて、無知のまま、誰よりもとうめいなまま、
知りたかった話の数々

けれど、わたしの中で渦巻いているこの感情こそが 真っ黒で、ドロドロで、グロテスクで

なのに、わたしという人間を構成するに必要不可欠な要素ばかりで

透明になんかなれない
汚れたまま死んでいくし、この先も生きていかなきゃならない

けど、諦めたくなくて

だからせめて 淡くなりたい

でも、真っ黒な自分を捨てたいわけじゃない

その汚れた部分を、包み込んで、容認して、わたしはわたしを認めてあげなくちゃならない

だからこそ、黒いお洋服がすきで。

少しずつ分かってあげられるように、自分のこと知っていけるように、唯一見えた色を身に纏って、ゆっくりと融合していく

そんな感覚で、バカげているかもしれないけど

わたしを信じてあげたい

信じることが好き
信じるって強いから

自分のこともっと知って、もっと深く溶け込んで、そうしたら信じられるかな

幻想かもしれないけど
たとえ惨めな思いでも 許したい

許せるのは自分だけで、許さないのもまた自分で、変な感覚 甘苦い

いつか白いお洋服を着られるようになりたい
透明は、信じるだけで精一杯だから

せめて 純白で、甘い砂糖菓子のような
溶けてなくなる綻びを、夢見てる

真っ白な銀世界の中に、真っ白なわたしで佇むことを憧れている

抱いたまま、潰えないように

守っていきたい

今はまだ ぐちゃぐちゃで、輪郭すら見えない
ひたすら恐ろしくて、つい背けるほど真っ黒な
そんな魂のままだけど。

いつかかならず、白くなるから
黒まで愛して、白くなるから

ここにある全てを、認めてあげられるようになる

誰もいない、なんにも無い世界で
また あの話を聞かせてね

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