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うつ病患者の心理検査結果を見ていこう

うつ病で通院中の精神科にて、心理検査を受けてきました。知能や性格の検査をおこない、自身の特徴を振り返るきっかけにすることが目的です。
今回は、筆者が受けた検査の種類や結果についてお話ししていきます。

なお、検査の具体的な内容は開示できません。これは、今後同様の検査を受ける人の検査精度を保持するためなので、ご了承ください。

検査の種類

WAIS-IV

青年・成人を対象とした知能検査。与えられた課題をこなし、IQを算出します。IQとは知能指数のことで、100を中心として正規分布しています。全体的な認知能力を示す全検査IQのほか、言語理解・知覚推理・ワーキングメモリ・処理速度という4つの分類それぞれのIQがわかります。

 言語理解…言語を理解する力、伝える力、知識
 知覚推理…見て理解し、考える力、状況や関係を理解する力
 ワーキングメモリ…聞いたことを一時的に覚える力、覚えながら考える力
 処理速度…複数の情報を処理する力、作業効率

TEG-3

東大式エゴグラム。YES/NOの質問に答える簡単なテストです。質問の回答をもとに5つの自我状態が20点満点で評価されます。この自我状態の得点バランスから、性格特性と行動パターンを把握します。

SCT

文章完成テストとも。「私の父」「私はよく」など、文章の冒頭だけが示されており、その続きを手書きで自由に記述します。知能や性格だけでなく、興味や生活史など、人間像を全体的に把握することができます。
医療だけでなく、教育や人材把握のためにも活用されています。

P-Fスタディ

絵画欲求不満テストとも。何らかの困った場面のイラストを見て、相手の発言に対し登場人物が何と言うかを答えます。欲求不満の解消方法を査定することで、パーソナリティ傾向を判断します。

その他

ほかに、絵を描いたり、口頭で質問に答えたりするものもありました。受検者から見ると、雑談なのか検査なのかわからない部分もあったため、明言することは難しいです。

検査結果

知能面

ここではWAIS-IVの結果がメインです。

合成得点(90%信頼区間)は以下の通り。
全検査…136(131-139)
言語理解…119(113-123)
知覚推理…140(131-143)
ワーキングメモリ…131(123-135)
処理速度…127(117-131)

得意なこと
・数学的知識をもとに問題解決する能力
・論理的な状況理解力
・聴覚情報の把持、操作力

苦手なこと
・新奇場面にすばやく、柔軟に対応すること
・思考の切り替え

性格面

上記検査の結果を複合した、全体的な結果です。
(実際のところ、個別の検査結果は教えてもらっていません)

性格傾向
論理的に理解し、判断しようとする
 →融通が利きにくく、内省が苦手
・目標が高く、理想を追求し、責任感が強い
 →自他ともに厳しく、達成感を感じにくい
・様々なことに対する興味関心が強く、行動力もある
 →影響を受けやすく、疲弊しやすい

対人関係の特徴
・時に状況判断を誤ることがある
・他者と密にかかわることを避け、自己完結しようとする
 →欲求不満を内面に溜め込みやすい

自分を振り返る

IQ

WAIS-IVの合成得点、すなわちIQが130を超えるのは全体の2%のようです。ということは、私の知的能力は高水準にあることになります。
謎の高知能集団、MENSAの加入条件をクリアしているらしいですね。

IQが低いと学習障害の診断につながりますが、IQが高いことは医学上ほとんど問題になりません。ただ、平均から外れていることに違いはないため、社会の中で少数派になりがちでしょう。MENSAの加入者には、高IQの人々同士での交流が目的という方もいるそうです。

また、WAIS-IVの結果を解釈する上で重要なのは、数値の大きさよりも各能力のバランスとされています。

私の場合、言語理解が低く、知覚推理が高いという結果でした。
しかし、これらを評価する検査項目の中でも、能力のばらつきがあったようです。言語面でいうと、知識はあるけど言葉が出てきにくい、知覚面でいうと、状況把握は早くても正しく状況を理解しているとは限らない、など。

そうなると、どう分析すればいいのでしょうか…
素人が数字だけ見てもこれ以上わからないため、得意と苦手を文章化してくれるのですね。ありがたいです。

頭でっかち

私の特徴といえば、これ!
論理的な思考力を持ち、なんでも頭で理解しようとします。

自分と異なる考えも理解するよう努め、納得したら自分の間違いを改めるように気を付けているつもりです。しかし、論理的に正しいと思ったことは貫き通すため、感情や習慣に基づく考えは受け入れられないことがあります。

また、効率を優先し面倒を避けるため、なんでも自分で片付けようとします。理想の高さと責任感の強さも、それに拍車をかけているのでしょう。

疲れに鈍感

感情を理解できないというのは、無論のこと自身にも適応されます。
自己完結して不満を内に溜め込む傾向が強いため、自分の本来の欲求や感情を見逃してしまいます。その結果、自分の疲れに気が付かなかったり、あるきっかけで周囲への不満が爆発したりすることがあります。

WAIS-IVの結果にある「聴覚情報の把持・操作」が得意な人は、(無意識に)頭の中で複数のタスクをこなしがちなのだそうです。この脳内マルチタスクは、多かれ少なかれ脳に疲れが溜まると考えられます。

貫きたい意思と周囲とのずれを感じながら、自分の中で我慢し続けた結果、医学生の集団が嫌いになってしまったのでしょうね。わがままを外に出さないのはオトナなのでしょうけど、それもいいことばかりではないみたいです。

着眼点ずれがち

他の人と違うところに注目してしまい、なおかつそれに固執することがあります。たとえば、異世界ファンタジー系の作品を見るとき、その世界の規則や秩序がどうなっているのかばかり気になってしまい、ストーリーに没頭できません。

論理的な性格も相まって、頭で納得できないと先に進めなくなります。そのため、いったんどこかに疑問を感じると、本来見るべき場所へ修正するのに時間がかかります。みんなが楽しんでいる間、自分だけ別のことに集中しているということが頻繁に起こります。

このことはうっすらと自覚していましたが、周りの人が日常に疑問を抱きにくいだけだと思っていました。ところがそれだけではないらしく、疑問を抱いても「まあいっか」と受け流す柔軟性がみんなには備わっているようです。

検査を受けたメリット

客観的かつ信頼性の高い方法での自己分析は有益でした。
自覚していた部分はもちろん、大したことじゃないと思っていても実際は特徴的な部分や、周りは知っていても自分では気付いていなかった部分を知ることができました。言語化されているのも、客観性の点でよいポイントでした。

余談ですが、人心掌握術として、「悩んでいるのですね」など、誰にでも心当たりのある特徴を述べるという方法があります。今回の心理検査の結果を聞いた親から、それみたいだと言われました。

しかし、世の中に私と異なる特徴を持つ人がいることは明らかです。みんなが「論理的」で「志が高く」て「他者と密にかかわることを避け」るのであれば、私はうつ病にはなっていなかったと思うのです。

そもそも医学的根拠のある検査にケチをつける我が親が、医療関係者だということが信じがたいのですが…

これから

心理検査を受けたとはいえ、自分のことが完璧に理解できるわけでも、自分が劇的に変わるわけでもありません。これからも自身の特徴に悩みながら、生活することになるでしょう。
理想なのは、得意なことを活かし、苦手なことを補っていくことです。しかしながら、長所と短所は表裏一体です。能力の高い部分が足枷となって、うまくいかないこともあります。そんな時、それを自分の悪い部分と思うのではなく、適切に能力を制御したり、別のアプローチ法を見出したりできるようになりたいです。

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