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無名人インタビュー:読書を通じて“好き”を解放する人

私は読書家ではありません、ですがお気に入りの作家さんはいます、でもあまり言いたくない。なぜなら自分の恥部を晒すような感覚に襲われるからです。この気持ち、分かってくれる人います?

そういう意味では、私とは全く正反対、好きだから読んで!読んだらみんなで意見をシェアしよう!なんて、ある意味露出狂とほぼ変わんないよ…ということで、今週も「無名人インタビュー」お楽しみだください。

本日ご参加いただいたのは、松原嘉哉さんです!
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▼イントロ

そんり:今日はどういったテーマでやっていきましょう?

松原:特にこれといったテーマはないんですけどね。僕がちょっと興味持っていることの変遷というか、みたいなのをちょっとフリーで話していけたらいいかなと思ってましたけど。

そんり:わかりました。じゃあ、話していきながら。

松原:そうですね。

そんり:現在のご職業は?

松原:今は『honto』っていう、インターネット書店の運営会社に勤めてるんですよ。そこで、サービスのプロデューサーみたいなことをやりながら、新規事業の開発みたいなことをやってて。なんで、基本、本の仕事をやってるんですけど。趣味繋がりから、読書会みたいなこともやってるっていうところがあります。

そんり:読書会で有名どころだと、『猫町倶楽部』とか。

松原:はい、知ってます。

そんり:具体的には、どういった読書会をされてるんですか。

松原:そうですね。ポイントはですね、“その場”で、30分だけ読むいうのがポイントなんですよ。

そんり:それは短編ってことですか?

松原:いや、どんなに分厚い本でも30分しか読まない。30分で本を読んで、30分で人と対話する、っていうのがワンセットなんですね。

そんり:1,000ページぐらいある本でも、好きなところを読んでいいんですか?

松原:好きなところを読んでいいんですね。

そんり:じゃあ、人によって読むところは違います?

松原:そう。

そんり:それは面白いですね。

▼本との出会いとペア読書

松原:読書会って素敵だと思うんですけど、なんか違和感持ったところがあって。それはやっぱり、読み込んでる人が強いってとこなんですよね。「いや、ヘーゲル先生はそんなこと思ってない」とかって言う人達が結構いるんですよ。それで「なるほどね」と思うところもあるんですけど。僕はどっちかっていうと、その人の人生を、本を通して見たかったんですね。その人が、その本の、どこを読んで、なぜそこでハッとしたのか、そういうことを聞くのがすごく楽しいなと思ったんですよね。

そんり:それは、その人らしさが表れそうですね。

松原:そう、本当そうなんですよ。だから、1,000ページあろうと、なぜそこを選んで、どこに刺さったのかっていうのは、すごくその人のなんだろなって。ペア読書っていうのは、もともとあった手法なんですけど。今は、日本で一番、僕がやってると思うんですけど。Twitterとかでペア読書したいなっていう人をナンパしてはですね、仲間を広げてったんですね、どんどん。で今、Slack上に170人ぐらい、それで集めた人たちがいるっていう、そういう状況です。

そんり:何人単位かで集まって開催するんですか?

松原:ペアがベースなんですけど、それをもう少し拡張してるというか。数人でもできるような形にして。もともと趣味でやってるんですけど、僕が所属している会社の新規事業にすることで、趣味と実益を兼ねて、イベントやって、興味持つ人増やして。そこからもっとディープにやりたい人を、自分のコミュニティに引っ張ってくるみたいな事をやってるところですね。

そんり:営業上手ですね。

松原:そうそう。そんな感じでやってます。

そんり:それはとても素敵ですね。その場で「この本です」って渡されて、好きな箇所を読んでっていうのは、その時のその人の気分にもよるし…って考えると、ゾクゾクしますね。

松原:そうなんですよ!ゾクゾクするんですよ。時々ジャズセッションみたいにですね、人の話が繋がって、なんか「ああ!」ってなる時があるんですよね。それ味わっちゃうとやみつきになっちゃって。色んな人とセッションを味わいたくて、やってるっていうところですね。

そんり:映画の伏線回収とか、復讐劇ラストのカタルシス的なものが得られそうな。気になりますね、それは。

松原:で、このインタビューにも、同じ匂いを感じたんですよ。インタビューを受けても、なんでしょうね…1時間後の落とし所がわかるようなインタビューしか受けてなかったので。なんか話してても、楽しくなかったんですよね。

そんり:そうですよね、目的があってインタビューするのが普通ですからね。

松原:そうですよね。なので、長南さんのインタビュー見て、そこらへんの違いを感じたので、ゾクゾクきたってところですね。

そんり:ありがとうございます。読書は昔からお好きだったんですか?

松原:えーっとね、高校ぐらいまであんまり好きじゃなかったですね。

そんり:高校生で読書をするっていう習慣に出会ったっていうことですか。

松原:そういう意味では、高校の時は村上春樹を読むぐらいの高校生で。本当に本が好きになったのって、この10年ぐらいですね。

そんり:その時は特に読書にハマらなかった?

松原:うん。もう村上春樹が好きっていうのを言ってるぐらいなんで、そこらへんによくいる奴でしたよ。よくいるって言ったら変ですけど、村上春樹読んで、ここに出てくる主人公、俺だって思っちゃう奴って、高校生の3割ぐらいいるじゃないですか。そういう感じです。

そんり:(笑)

松原:そうですね、うん(笑)

そんり:で、ここ10年ぐらいっていうことで、読書にハマるきっかけになった本はあったんですか。

松原:なんていうのかな…本ていうものの、一周回って分かったんですが、すごく非合理性というか。本の非経済性に惹かれたんですよ。もともとはコンサル業界に入って、その後に本の業界に入って、また辞めて、その後にバイオベンチャーに行ったんですけど。で、本の業界に出戻ってるんですけど。最初に本の業界選んだ時も、本は好きでしたけどね、なんで好きだかよくわからなかったんですよ。好きなものは言えるんですけど、なんていうのかな…なんで本が好きなのかってよくわかんなかったんですけど。

そんり:まあ大体そうですよね、漠然と好きっていう。ただその好きな理由は、人それぞれで全然違うので。

松原:で、僕は無駄だからっていう、無駄っていうのかな。効率的じゃないから。わざわざですよ、紙に出して書店に並んだら、あそこ間違えてたよっていうの、もう直せないっていうのも含めて。なんていうんでしょうね、なんかすごい作業だなって思うんですよ。そこまでして出すっていうことのエネルギーの強さが、惹かれたポイントなんだなあっていうのは、最近思いますけどね。

そんり:じゃあ、電子書籍はあんまり?

松原:まあ、電子書籍も嫌いじゃないですけどね。ただ、あれももともとは本なんで。だから作者の熱量としては近いものがあるんで、好きですよ。

そんり:その非合理性に惹かれるっていうのは、また不思議ですね。

松原:うーん、なんでしょうね。なんか、そこに真実がありそうだからじゃないですか?情熱っていうか、エネルギーを感じるっていうか。僕、映画とかも好きですし、コンテンツ全般好きだし。そういう人達をすごい尊敬をしているのは、そういうところにあるかもしれないですね。

そんり:情熱や意図を何かの形にしてアウトプットする作業っていうのは、大変ですよね。

松原:そうそうそう。

そんり:例えば、お金になったり、賞賛が得られたら頑張れますけど。でも、そうでない中でやり続けるのは、怨念にも似た情熱が必要な気がします。

松原:その葛藤とかあると思うんですけど。そこまでして出すっていうところに、やっぱり凄み感じるっていうのはありますかね。その中でも、本が一番身近にあったっていうところがあってですね。こんなにも身近にこんなすごいエネルギー込められたものがあるって、スゲエなと思ったっていうのがあるんですね。

そんり:なるほど。松原さんのオススメの1冊はありますか?

松原:岡本太郎の『自分の中に毒を持て』っていう本なんですけど。あの人の言ってることは、僕はいちいち痺れちゃうんです。「幸せなんてクソくらえって」彼は言うんですけどね。

そんり:あ、読みたい。

松原:幸せなんて死んでからでいいんだって、彼は言うんですよね。一瞬の歓喜のために生きろって、ノーテンキな幸せなんていらないって。ああいうの見ると、毎回ビリビリきますね。

そんり:岡本太郎さん自体が好きなのか、それともその本が好きなのか、どちらですか。

松原:たぶん岡本太郎さんも好きなんだと思うんですけど。さっきの概念とちょっと近くて、ひたすらエネルギーが籠ってたっていうところですかね。僕は本から彼を知ったので、これはエネルギーこもった文章だなあっていうの感じるんですよね。そういうのが好きです。

そんり:最近の作家さんでは、どういった方がお好きですか?

松原:最近の作家さんですか?最近だと『サピエンス全史』とかは凄く好きでしたよ。

そんり:ああ。今、ゆっくりだけど読んでる。

松原:あれも、エネルギーこもってんなあっていうのは感じましたね。

▼自分の“好き”がわからなかった

そんり:松原さんは、今お話しててもすごく明るい方なんですけど。お子さんの頃から、そんな明るかったんですか?

松原:いや、全然暗かったですよ。暗かったというか、僕、たぶん自己認識を間違ったんですよね。一人っ子で、勉強はまあまあできてたので。なんていうんでしょうね、世の中のことをちょっと俯瞰して、波長を合わせる器用なキャラだって、自分のことを思ってたんですよ、多分。ただ、多分ですけど、外からそう思われてなかったと思うんですね。例えば、昆虫とかサッカーとか、男の子好きじゃないですか。僕、全然好きになれなかったんですよ。

そんり:はいはい。

松原:ですけど、合わせてたんですよ。本当にね、器用なやつだったら、合わせてるのバレないと思うんですけど、人に。バレてたと思うんですよね。

そんり:(笑)

松原:なぜなら、虫を捕まえに行っても僕は捕まえる気がないんですよ。そうすると、そんなヤツに捕まるカブトムシなんかいないんですよね。だけど一緒に行ってたんですよ。

そんり:周りに合わせてたんですか?

松原:うーん…そこらへんの自分の出し方っていうのが、よくわかんなかったんですよね。あとは、さっき言った器用なキャラだっていう風に思い込んでたっていうのが、大きい気がするんですけど。けっこう思い込みが激しかったから。よくいるらしいんですけど、小さい頃、自分以外は全部フィクションだって思ってたんですよね。

そんり:仮想世界っていうことですか。

松原:そうです、そうです!この世には多分、10人ぐらいしかいなくって。僕が見えてないところで、みんな休んでるんだと思ってたんですよ。

そんり:面白い(笑)『トゥルーマン・ショー』みたいな?

松原:そうそう!『トゥルーマン・ショー』だと思ってたんですよ。割と本気で思ってたんですよね、幼稚園ぐらいまで。そういうのも引きずってたんだと思うんですけど。なんか、自分のキャラの手触りっていうか、納得感もあんまりなかったし。そんな感じで高校・大学ぐらいまで過ごしてましたよ、本当に。

そんり:魂と肉体が上手くフィットしてない感じですか?

松原:そうそうそうそう!で、今思い返すと、僕も好きなことあったんですよね。えっとね、僕も今考えると、ちょっとびっくりするんですけど。あのね、地学が好きだったんですよ。

そんり:地学?地層とかですか?

松原:そうそう。でね、天気図を書いてきなさいっていう、宿題が出たことがあったんですよ。ラジオ聞いて、等圧線を引くみたいな感じですかね。中学生ぐらいなんですけど。どこの天気がこれで、気圧がこれでってなったら、あとは最後に等圧線を引くんですね。で、それにメチャクチャハマっちゃって。3ヶ月間、毎日朝晩、ラジオを聞いて。どっちへ等圧線を引いていいかわかんないから、気象予報士のテストの勉強しながら「こっちへ引いた方が、多分いいんだろうな、この場合は」つって。で、低気圧と高気圧のスタンプを消しゴムで作ってですね、自分で。そんなことをやってたんですよ。だから、友達、引いてましたけど。で、その友達の反応を見てね、ああコレはあんまり出しちゃいけない部分なんだと思って。でも、そういうの好きだったんですよね。

そんり:気象予報士とか、そっちの方には行こうと思わなかったんですか?

松原:うん。

そんり:引っ込めちゃったから?

松原:引っ込めたのもあるし。それがなんていうか、好きを解放しちゃったがゆえに、よく分からなくなっちゃったんですよね。なんか混乱したっていうか。そういうのがなかったんで、体験として、今まで。夢中になった結果、ちょっと引かれちゃったし。なんか、あんまり良いことなかったな、みたいな。でも楽しかったな、みたいな。

そんり:ああ、わかります。

松原:あ、そうですか?

そんり:中学生の頃、洋楽を聴き出して夢中になってた時期があって。で、好きだと話してて熱くなっちゃうじゃないですか。そしたら、周りに引かれて。なんか、ああ、ダメなんだみたいな。

松原:そう。僕も引っ込めたんですよね、たぶん。

そんり:1回引っ込める癖がついちゃうと、自分の好きなものが分からなくなってきちゃいますね。

松原:そうですそうです。だから、自分の感情とか好きなものに対しての感度が低くなってたんですよね。ずっと低かった。そういう状況だったんですよね。だから、さっきの自己認識の歪みと、自分がうまく器用に合わせてるっていうふうに思い込むことによって、なんとか帳尻合わせてたんですよね。

そんり:心のご病気とかはされなかったんですか?大丈夫だったんですか?

松原:そうでしょう?それでどこまで行ったかっていうと、大学もそんな感じで過ごして、最初のコンサルやった時もそれで過ごして。で、最初の本の立ち上げの時も、それで過ごしたんですよね。承認欲求というか、人がこういうこと求めてんなっていうことを、上手くやりながら、みたいなことをやってたんですけど。で、その次のバイオベンチャーで、痛い目に遭ったんですよ。そういう意味だと、そこで気付いたんです。

そんり:うんうん。

松原:そこは藻のバイオベンチャーだったんですよ。「何するか決まってないから、そこ全部、事業責任者としてやれ!」って言われたんですよね。藻を何につかって、どうビジネスするかを考えてくれって。その時は、それも面白いと思ったんですよね。自分自身の事がよく分かってなかったんで、何でも出来るような気がしてて。で、やるじゃないですか。それなりに波に乗ったんです。食品にしたんですけど。

そんり:ほう。

松原:静岡県で藻を育ててたんですけど、昼は六本木とかのオシャレなジュースバーとかに売りさばいて。夜は静岡まで行って、藻を作ってる人達と一緒に、池の掃除とか一緒にやってとか。そういう生活をしてたんですよ。そんな感じで立ち上げは、結構上手く行ったんですけど、ある日、ヨガ教室の先生に売りに行った時に「アナタは何でコレをやりたいんですか?」って言われたんですよ。シンプルなんですけど。なぜ、この事業を始めたのかって聞かれたんですよね。

そんり:うんうん。

松原:そう言われて、僕、答えられなかったんですよね。僕の中から出てくるもの、何もないって思ったんですよ。

そんり:そこで気付かされちゃったってことですか。

松原:うーん…ちょっとダサいんですけど、そこでも気付けなかったんですよ。でも、なんとなく苦しさはあった。なんか苦しいな、俺は何でコレがやりたいんだろうって。食の習慣を変えたいとかなんとか、それっぽいこと考えるんですけど。でも、なんか苦しいんですよ、すごく。自己認識もゴチャゴチャの中でやってるから。もう抜けるに抜けられないっていうか。この苦しみは、起業の苦しみだって思い込もうとしてて。なんか、色々と縛られてたんですよね、すごく。

そんり:絡まりすぎてて、どう解いていいかも分からん状態みたいな。

松原:そうそう。で、そん時に、ホールディングスの社長から言われたのが、お前がもし、このビジネスを本気でこれやりたいんだったら、お前の会社を作ってやってみろって言われて。1年間分の給料をやるから、それでお前のやりたいようにやってみればいいんじゃないかって言われたんですよ。そこで1人でやってみろと。お前には芯があんのかないのか、よくわからんと言われたんですよね。で、そう言われて、あ、無理だなと思ったんです。

そんり:社長も鋭い方ですね。

松原:うん、だと思う。僕も正直、すごくこんがらがってたから、ようやく解放されたって感じでしたよ。今考えればね。

そんり:その時に会社を退職されたってことですか?

松原:そうです。そこまでようやく「違う気がする」って思ったんですよね、独立して身銭を切るイメージをしたら。それまでは、その辛さっていうのが、やっぱりわかんなかったんですよね。

▼脳汁大好き

そんり:で、本屋に出戻って、本の楽しさを知ったと。

松原:そう。でも本自体っていうよりは、本を通じた人の矛盾とか葛藤とか。そういうことに興味があったんですよね。今日のインタビューじゃないですけど、そういうところにすごく興味があるし、それだったらいつまででもやってたいなって思えるんですよね。

そんり:なるほど。人とお話されるのは好きですか?

松原:好きですねえ、Twitterでナンパするぐらいですから。

そんり:そんな過去があったことは思えないぐらい、今は生きてるの楽しいって感じしますね。

松原:そうですね。僕、脳汁っていう表現してるんですけど。わかります?なんか、脳汁出して生きてたいなって。それを出して永遠に生きてたいような気もするし、今死んでもいいって、両立してる感じなんですよ。脳汁が本当に癖なワードなんで。脳汁大好き(笑)

そんり:今、読書会を開催する側としての喜びとか楽しさっていうのは何ですか?醍醐味というか。

松原:うーん。一義的には「俺がハマったやつ見て!」っていう、中学生の頃の「天気図見て!」に近い。ねえねえ、「面白くない?」って。それで、面白がってくれる人が増えれば、それはそれでいいですし。でも時々、思ってたのと違う反応があったりするんですよ。で、それはそれで、楽しいんですよね。なんていうかな、自分の概念っていうか、常識っていうか、楽しいと思ってるものを、違う角度で違うふうに言われるのは、すごく楽しいですよ。予定調和じゃないから。

そんり:うん、わかります。

松原:それを味わうっていうとこもあります。だから、「見てみて!」って全力で言って、「こうした方がいいんじゃない?」って言われるのが、スゲエ楽しくなったっていう感じですかね。そういうのがあると飽きない。あとは、この人達にはまだ届いてないね、とか。この人達に届くまでのところに行ってないんだなって思えれば、まあ、また見てろって思うっていうか、そういう感じですかね。

そんり:今お話をお伺いしていて、先ほど、岡本太郎さんの本に衝撃を受けたって仰ってましたけど、松原さんご自身もものすごく情熱的でピュアな方なんだなって感じてます。

松原:あ!もう一つありました。好きな本。夏目漱石の『私の個人主義』が大好きです。

そんり:どういった内容なんですか?それは。

松原:夏目漱石って国文学やってるじゃないですか。でも最初は、英文学とかやってたんですよ。で、英文学の批評とかやってて。で、ある日気付くんですよ。俺ダセエって、人のモノを批評してるってダセエなって思ったらしいんですね。しかも、外国のもの。で、自分に真正面に生きようって国文学をやり出すんですよね。そこらへんの経緯とか、あとは、個人主義を貫くっていうことは、人の個人主義も尊重することだっていうのも、もう一つのポリシーとして彼は言ってて。そこも含めて、すごくキュートな人だなと思って、すごい好きですね。不完全さがすごく垣間見えてくるので。そこらへんが、すごく人間っぽくて良いなって。

そんり:なんだか松原さんと同じですね。好きなものがわかんない俺、ダサいなとか思いながら。で、好きなものに真正面から向き合おうってなった時に、同じように他人の好きなものも尊重したいって思ったっていう。

松原:そうかもしれないですね、うん。なんか惹かれるんですよね。

▼アウトロ

そんり:残り10分ほどですが。もし松原さんが、本に出会ってなかったら。

松原:おお、面白い質問ですね。ええ?なんでしょうね…うーん…それは、どういうことを。例えば映画ですねとか、そういうことなんですかね?ちょっと待ってね。どういう角度なんだろう。

そんり:どういう解釈でも構わないです。その本に出会う以前でもいいです。例えば、バイオベンチャーの会社の社長さんが、突き放してくれてなければ、今の松原さんはいないと思うんですよね。

松原:ああ、それで言うとですね。高校生の時に同級生に言われたことがすごく印象的で。僕が推薦入試を受けるかどうか悩んでた時に、「意思判断って無数にやっているから、どっちを取ろうが結局は同じで、アナタはアナタだ」っていうようなことを言われたんですよ。

そんり:なるほど。

松原:歴史に「if」はないですけど、構造というか流れからすると、やっぱり僕はもう1回人生をやったとしても、最初はやっぱり自己認識がズレたまま、そしてズレが爆発して、俺はこういうのが好きなんだなって開き直るっていうプロセスは、変わらないんじゃないかなって思ってます。そのキッカケは、変わったかもしんないですけどね。

そんり:なるほど。それでは、今後、読書会の方はどうされていきたいですか?

松原:あのですね、いろいろ進化させたくて。例えば、やっぱり性・年代とか国籍とか超えてやりたいんですよね。だから、やっぱり価値観とか偏見とか剥がすっていうのに、僕自身すごく興味があるので。あるテーマで、色んな価値観や背景を持ってる人達で、読書会をやりたいってのが1個と。その延長線上で、例えばVR空間上でボイスチェンジャーとか使って、やりたいんですよ。

そんり:面白そうですね。

松原:これ、ちょっと発見だったんですけどね。オフラインとオンラインだと、オンラインの方が、実はマウンティング取られにくいんですよ。オフラインだと、やっぱり見た目とかで人はマウントしたりされたりするんですよ、無意識に。例えば年長者とかね、そういうの。これは悪口じゃないんですよ。ただやっぱり見た目とか声とかに左右されちゃう。それが、オンラインだと、少なくなるんですよね。画面越しなんで、そういう細かいところが伝わりにくくなるんですよ。

そんり:ああ、なるほど。

松原:で、それを無くしてやったらどうなるのかなって。だから、VR上で、Vtuberみたいな形で読書会やって、この人すごい意見言ってんなあ…と思ったら、めちゃくちゃ若い人が言ってるとか、そういうことが起きた方が、非常にストレートに、その人の意見が見えたりするなと思って。

そんり:それは面白そう!例えばVtuberというか、アイコンじゃないけど、動いてるお人形さんがいて。それが女の子でも、ボイスチェンジャーも使ってるから、実は80歳のおじいちゃんだったとか。

松原:そうそうそうそう!そうすると、全然違う感覚というか、湧き上がる感情は、全然違うと思うから。

そんり:自分の先入観にも気付けそうですね。

松原:そう!まさに読書会もそういうところがあって。他者を鏡にして、自分はこう思ってたんだなっていうのが、浮き彫りになるのが面白いんですけど。それを、もっと突き詰めたいなって。

そんり:それはすごく楽しそう、本当に。

松原:でしょう?誘いますよ!そんりさん。

そんり:ぜひ誘ってください!絶対に実現していただきたいです。

松原:そんなとこです、今日は(笑)いやあ、楽しかったです。

そんり:こちらこそ楽しかったです、今日はありがとうございました。

松原:ありがとうございました。

〜終〜

編集協力:有島緋ナ

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