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村上隆さんの思い出②[Cafe Poncotan@札幌]

「村上隆さんの思い出①」にも書きましたが、札幌に村上さんのアニメーションスタジオがあったことを覚えている方は多いかと思いますが、
そのアニメーションスタジオに小さなカフェが併設されていたことをご存じの方は少ないかもしれません。

わたしはそのカフェによく通っていました。
小さいけれどとても居心地のよい白壁のカフェで、当時札幌ではまだ珍しかったスペシャリティーコーヒーを飲むことができました。

さて、「悪夢のどりかむ」展にて幸運にも村上さんのサインを頂いたわたし、その次に村上さんにばったり遭遇したのは、2013年の初夏でしたか、そのカフェ・ポンコタンで「9人の作家による『うつわとオブジェ』展」が開催されたときだったと記憶しています。

この展示はそうそうたる作家さんの作品が並び、札幌で観ることができたのは奇跡的といってもいい展示でした。
わたしは何回も足を運びました。

そんなある日、カフェ・ポンコタンさんでうつわを眺めていると、いきなり奥から村上さんが出てきてビックリしました。
わたしは何かご挨拶しようと思って、村上さんに話しかけようとしたのですが、緊張のあまり失神をおこしかけて、村上さんの前でしゃがみこんでしまいました。
かろうじて出た言葉は、「す、すみません、、緊張して、、」という情けないものだったのですが、
村上さんは「え!ってことは僕のこと知ってるんだね!」と言ってくださいました。

そして、心底心配そうなお顔で手を差し伸べてくださいました。
わたしはこのときの村上さんの顔を一生忘れないでしょうね。
立ち上がったわたしの肩をぽんぽん叩いてくださった村上さんは、
「なんか買っていってよ!」と明るい声で仰りました。
わたしが相変わらず情けない声で、
「すみません、お金なくて、、いま500円しか持ってないです」と言ったら、村上さんは、
「あはは!」と笑って、「コーヒーなら飲めるね!」と仰りました。
そして、村上さんは他のお客さんと話し始めたので、わたしはコーヒーを注文しました。

その後、村上さんとそのお客さんとわたしとで「めめめのくらげ」の話をしたのを覚えています。
村上さんは「めめめのくらげは大失敗だった!」と仰っていましたw

今は無き幻のカフェ、カフェ・ポンコタンさん。
ほんとに幻だったんじゃないかと思うくらい、今ではきれいに無くなりましたが、
あの日あのカフェで村上さんがわたしに手を差し伸べてくださったことは、わたしの記憶から永遠に消えないでしょう。

「村上隆さんの思い出」シリーズ、三回目もありますので、よかったら読んでくださいね!

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