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クール

幼い頃クールな人間に憧れていた。自分自身、クールとは程遠い人間だったからだろうか。

人の過ちに茶々を入れ、自分の過ちは見て欲しくなかった。友人の幸せは、憧れに、愚痴に対しては、同意する日々だった。
それがかつての自分だった。

そして今、周りから見た自分は、人の過ちを許し、自分の過ちを受け止めているように映っているらしい。
幸せ話は笑顔で受け止め、愚痴に対しては的確なアドバイスを貰えると思っている人間が多い。


人の過ちを心の中で許しきれず、やりきれない気持ちだけが積もる。自分の過ちを過度に気にし、思っていることを言えない人間になった。友人の幸せ話には作り笑いと羨望を、愚痴に対しては持論を展開する。

友人の前では、何事も気にしないタイプと見栄を張るが、それが私を苦しめ、クールにしている。

クールが今の苦しい私を形成し、過去の明るい私を消し去った。

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