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【シャニマス】「ing」から始まる雛菜GRAD編感想

※あくまで個人の感想です。




雛菜GRADを読み始めてすぐに気になったことがありました。


『NO!♡ing!』





なにこのタイトル!?!?!?!?!?!?







とまではなってないにしろ、雛菜GRAD編のタイトルの中でも少し不思議な印象を受けます。

雛菜のコミュタイトルは全て英数字+記号で構成されていて、言葉遊びのような要素も度々見られます。

『NO!♡ing!』
もちろん、これはコミュの中で出てくる番組タイトル『これは恋ではありません!』を表しているのは間違いないでしょう。




でも、だとしたらこうなる???

「ing」を使うことを前提としたタイトルに感じませんか。
NOが大文字なのに、ingが大文字じゃないのも少し不思議です。

ここで「ing」が使われた理由について考えてみる、というところから今回の雛菜GRAD編の感想を書いていきます。



◯『進路調査書』

まず、今回のコミュを読むにあたって、前提となっていた要素の一つとして、『進路調査書』があります。

雛菜GRAD編においては、番組『これは恋ではありません』の最終日で「追いかけてきた『夢』か『恋』に落ちた相手の名前かを書く」ものとして『進路調査書』というワードが使われていますが、変わった言葉選びですよね。
この表現をわざわざ使ったのはおそらく、あることを意図されてのものだと思います。
これってある雛菜のコミュで登場したことのあるキーワードなんですよね。





そうです。【HAPPY-!NG】。

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つまり、この雛菜GRAD編では、最初のp-アイドル【HAPPY-!NG】を引き合い(対比)に出しているわけです。




◯!NG→ing

冒頭でも言いましたが、今回『NO!♡ing!』というコミュタイトルがあります。
番組タイトル『これは恋ではありません!』を表しているのは間違いないでしょう。
ただそれだけならこのコミュタイトルにはなりませんよね、多分。
個人的に目を引いたのが「ing」。
「ing」って雛菜のコミュによくついてそうなイメージですが、実は今回が2回目。

一回目は、そう。
【HAPPY-!NG】です。

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そして、この【HAPPY-!NG】では、すべて「ing」が「!NG」表記になっています。


去年書いた感想で、

「!NG」について、!とNGで分けて、「END! NG」としている、とか以外に、
【HAPPY-!NG】の思い出演出が、ノクチルで雛菜だけ
「逆さで無抵抗のまま沈む」
こと等を根拠に、「!NG」は「現在進行系の雛菜(i)は逆さま」ということも表しているのではないか、という妄想をしました。
今思えば、「!NG」は単に「現在進行形の雛菜」(台詞より)で、今回(GRAD最初のコミュ時点)が逆さまというニュアンスを含んでいると考えることもできます。まぁこんなのこじつけなのでどちらでもいいです。(逆さまとは→後述)

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これはノクチルの他のメンバーの思い出演出も、"初期の"ノクチルメンバーを表すモーションや姿勢になっていたため、雛菜の明らかに異質な描写も意味があるだろう、という話です。


(↓ここからは!NGの意図の有無に依らない、思い出演出の話です。)

ガシャタイトル『蒲魚(かまとと→意:知らないふりをして、うぶらしく振る舞う)』と
ガチャキャッチコピー『この先に何があるか……知らないけどね────』、
また、コミュの内容から、

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「逆さで無抵抗」≒「蒲魚(知らないふり)」
という風に解釈しました。
(「沈む」は、浅倉透の「のぼる(てっぺんに登る、空に昇る、ステージに上る)」の対比だと自分は考えているのですが、割愛)



そして、その「知らないふり」の一つがキャッチコピーにもある「この先に何があるか」ではないか、と。
(実際これは【HAPPY-!NG】のテーマでもあり、GRAD編のテーマの一つになっています。)

あと、雛菜で「知らない」といえば、WING編の「知らないけどね〜?雛菜は雛菜の気持ちしか知らないよ〜」でしょう。「(unknown)」というコミュタイトルがあるくらいです。




そして、WING編をはじめ今までのコミュを読むに、
「知らないふり」をほどいてきたのは、
他人からの肯定、認知、共感────「知らないふりをしているもの」を「見つけてもらう」ことでした。

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(↑一例、WING編。ちなみに、1、2枚目はGRAD編で対比されている部分。後述。)

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(↑一例、【HAPPY-!NG】。知らないふりをしていた「この先に何があるか」。)






さて、【HAPPY-!NG】と対比されている今回は、「ing」です。


ingを強引に使っているのに、!のところがiになっている。




◯本題:『市川雛菜』

本題に入ります。

・she;sea

今回の舞台は"海"
言うまでもないですが、ノクチルの原風景です。
つまり、このGRAD編で引き合いに大きく出されているのは、
最初のp-アイドル【HAPPY-!NG】と、ノクチルの始まりというわけです。


ここで本コミュの(一応)重要人物、ユニットで活動する高校生のアイドル「トール」が出てきます。

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もちろん、浅倉透じゃありませんし、別に名前以外は似てもいなければ、特に雛菜を動かす人物でもありません。
ですが、「トール」が小説的な比喩的存在としては機能します。

・F/F

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↑ここはGRAD決勝に繋がります。


・IMyMeMine

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トールとの会話です。

雛菜の根本的な考え方自体はずっとこうだったように思います。
思い出演出とかの話をすると誤解を招きそうなんですけど、雛菜のアイデンティティとなるスタンスは変わってないんです。

ただ、雛菜が全く変わってないわけじゃない。
変わらないまま変わった、広がったという方が近いでしょうか。

雛菜とトールのこの会話は、WING編での「見つけてもらう」前の雛菜とPの会話との対比になっています(↓)。

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(↑WING編)

(↑GRAD編)

雛菜は雛菜であり続けながら、知らないふりを解いて前に進んだのです。
────だからこそ、GRAD編での雛菜は、雛菜のしあわせを前提としつつ、

「そういう雛菜を見て、誰かが楽しくなったり しあわせになったりしてくれるから
「……だから、いつも雛菜は雛菜がしあわせな方を、選ぶようにしています」

と、言葉にしているのだと思います。


・Mr.Right

「『夢』を選ぶなら、それはどんな『夢』?」というインタビューを受けて、雛菜が答えを探った時の回想です。

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そして、最後の選択肢が出てくるのですが、どれを選んでもプロデューサーと雛菜がする話があります。
それが、

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"終わっちゃう"話です。

この話題は【HAPPY-!NG】やファン感謝祭編でも二人の会話に出てきました。
(もっと言うと、雛菜のソロ曲「あおぞらサイダー」にも「弾けちゃう前に」というフレーズがあります。)


↓【HAPPY-!NG】『END!NG』

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↓ファン感謝祭編『MEMO/Re:』、今回とのニュアンスの違いに注目

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しかし、今回は明確に違うことがあります。

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「終わっちゃうことは残念だ」と。プロデューサーが雛菜にそう言ったのです。

それに対して雛菜は、

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そう言って

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嬉しそうに笑ったんです。


プロデューサーとの"終わっちゃう"ことに対する気持ちの共有、共感。

思い返せば、感情の共有自体が、WING編序盤から雛菜の言動でずっと強調されていた部分に思います。
「だって雛菜のしあわせ〜なとこ見てたらみんなもしあわせ〜って気持ちになるでしょ〜?」とか。
「〇〇はしあわせ〜?なら雛菜もしあわせ〜」とか。
しかし、そう言いつつ、WING編の雛菜はプロデューサーに「見つけてもらう」まで、「雛菜は雛菜の気持ちしか知らない」と繰り返し言っていました。

そして、今、「知らないふり」がほどけている雛菜にとって、プロデューサーが受け身でなく自分と同じ気持ちを持ってくれたことが嬉しかったんじゃないかなと思います。

(『Mr.Right』は訳すと「理想の男性」ですが、ここでは単語のまま「理解者」「正解!」というニュアンスもあるんじゃないでしょうか。)


これを以って、GRAD決勝。

・GRAD決勝

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↑『F/F』からの文脈。
そして、ここに「今(GRAD編)の雛菜」が詰まってます。
「知らないふり」をしない『市川雛菜』。


・A.H.I

Answer. Hinana Ichikawaですね。

『進路』として彼女が出した答えは、
『市川雛菜』だったわけです。

浅倉透を追いかけて283プロに入った雛菜が、アイドル活動を経て出した答え。

『夢』でも『アイドル』でも『トール(浅倉透)』でもなくて。

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市川雛菜は、他の誰でもない、

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『市川雛菜』になるという進路を決めたのです。

「『アイドル』はこういうもの!」みたいなあの日の花火のような人工的な偶像じゃない、それでいてあの日の自分よりもずっと確かさを持って輝く『市川雛菜』に。

"海"で宣言した、
知らないものは知らないけれど、知らないふりが解けた、それでも変わらない雛菜のアンサー。


さよなら、透明だった僕たち。
「花火……ばかやろー」────"海"から始まった物語の一つの指針が今、"海"を舞台に描かれたわけです。






そんな雛菜はこう言います。

『アイドル』を雛菜にしちゃえばいいのかも、と。


確かに雛菜ならできるかもしれません。

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「……雛菜も、そう思う!」




"共感"によって雛菜GRAD編は締め括られます。





もう遠慮なんていらない
誰の定義でもない
私であれ

限界なんて本当はそこにない
覆せ 塗り替えて
顕在せよ過去を超えてく光
この空を染めるほど強く
誰よりも
何よりも
昨日の私を打ち破って

未来なんて実はどこにもない
描きだせ 自分の手で
現在だけが存在の証明
刻み込め昨日より強く

限界なんて本当はそこにない
覆せ、自分さえ
顕在せよ過去を超えてく光
この空を染めるほど強く
誰よりも
何よりも
世界の全てを打ち破って
────Dye the sky./シャイニーカラーズ





◯おわりに

今回のコミュは、雛菜がどう進んできたのかが対比を軸に描かれていたと思います。透GRADも今までの集大成みたいなメタファーの詰め込み方してたし、ノクチルGRADは総じてヤバいです。

ちなみに今後「ing」はどういう表記になるかですが、おそらく『!NG』だと思います。なぜなら、ここで書いている「!NG→ing」だけはずっとこじつけだからです。というのもありますが、!は雛菜の象徴だからこそ、「!NG」は「現在進行形の雛菜」として使われていくと思います。


これからノクチルイベコミュとかは時系列的にWING〜ファン感謝祭〜GRADあたりをゆっくりと進んでいくのだと思いますが、ここまでの過程を見て解像度を上げていく感じになるんでしょうか。
新プロデュース形式も来ますし、GRAD編以降の時系列イメージのコミュも追加されていくと思うので、この後の雛菜、そしてノクチルの色の重なりがとにかく楽しみです。




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