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温泉ワーケーションで「暮らすように旅する」

「温泉ワーケーション」は、おもに温泉旅館に連泊しながら仕事をこなすことを想定している。

しかし、温泉旅館はWi-Fiなど仕事をする環境が整っていないケースが現時点ではまだ多い。山奥の鄙びた宿に滞在するのは、いくら自然環境が豊かでも、なにかと不便を伴うものだ。

滞在する温泉宿の周辺環境は、特にこれから温泉ワーケーションをしてみたいという初心者には重要なポイントととなる。

温泉ワーケーション初心者におすすめなのは、「暮らすように旅する」が実現できるような温泉地である。

日常生活の延長線上で温泉地へ旅をし、また現地の人が暮らすように温泉地に滞在する。そんなスタイルを実現できるような温泉地であれば、安心して連泊することができるだろう。

市街地に混在した温泉地

では、どんな温泉地が候補地となるだろうか。

簡潔に言うと、市街地に混在した温泉である。

温泉宿のまわりに住宅地が広がっている温泉地には、観光客向けの施設やお店だけでなく、生活者向けの施設やお店も存在する。具体的には、スーパーやコンビニ、商店街、公共施設などだ。

たとえば食事。温泉宿に1週間ほど連泊する場合、すべて1泊2食付きのプランに頼るのは現実的ではない。リーズナブルな素泊まりを選択するケースが多い。食事付と素泊まりでは、料金は2~3倍変わってくる。素泊まりにして、食事は外で調達したほうが滞在費を抑えられるし、自分好みの食事をとることができる。

旅館の料理は、豪勢で量は多いが、お客をもてなすための料理である。毎日食べていたら、カロリーを摂取しすぎるし、さすがに飽きてくる。連泊の場合、毎日メニューを変えてくれる宿も多いが、経済効率を考えればバリエーションはたいして広げられないはずだ。

それよりは、気軽に行動できる素泊まりにして、外で食事をしたほうが経済的だし、思い出に残るような経験を得られることも多い。

直感を頼りに店選び

私の場合、旅先の飲食店に飛び込みで入店するのが、旅の愉しみのひとつである。これは好みが分かれるところかもしれないが、ガイドブックなどでは見かけないような、地元の人が通う飲食店に入店する。

ネットで調べても、それほど情報が出てこないので、自分の直感に頼るしかない。店構えから判断したり、現地の人から聞いた情報を頼りにしたりするため、ハズレの場合もあるし、大当たりの結果となる場合もある。

だが、どちらに転んでも、旅の思い出として印象に残る。思いがけず地のモノにありつけることもあれば、店主や地元客との交流する機会に恵まれることもある。

逆に、飲食店にひとりで入ることに抵抗がある人は、スーパーやコンビニがあれば、とりあえず食事難民になることはない。せっかくの旅先なので少々味気ないとは思うが、「暮らすように旅する」という意味では選択肢のひとつになり得る。

また、市街地にある温泉地の場合、日用品を買いそろえることもできるし、仮に緊急事態に陥ったときも安心できる。たとえば、急病で具合が悪くなったときでも、薬局や病院が近くにあればすでに対処できる。

別府は日本一の「温泉都市」

市街地に混在した温泉の典型例といえば、大分県の別府温泉郷である。訪問したことがあるなら感覚的に理解できると思うが、別府市街は至るところに温泉が湧いている。

「犬も歩けば棒に当たる」ではないが、少し街を歩けば温泉にありつける。別府は観光地である一方で、地元の人が生活する街でもあり、多くの住民が近場の共同浴場へ通っている。まさに日本を代表する「温泉都市」なのである。

別府温泉郷なら素泊まりで、リーズナブルに連泊できる宿は数多い。あらゆるニーズに対応できる宿がそろっているので、宿選びに困ることはまずないだろう。

気軽に入れる飲食店も多いし、たいていの日用品は入手できる。バスやタクシーなど移動手段にも困らない。

もともと一大観光地でもあるので、ワーケーションの間に観光するスポットにも事欠かない。なにより魅力的な温泉がたくさんあるので、湯めぐりを愉しむのもいいだろう。

温泉ワーケーションにチャレンジしてみたいと考えているなら、別府のような市街地に混在した温泉地が有力な選択肢となる。

次回は、そのような市街地に混在する温泉地を紹介しようと思う。

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