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「湯めぐりで守りたいマナー」10選

「ソロ温泉」でも「温泉ワーケーション」でも、宿や温泉施設を湯めぐりするのは愉しみのひとつである。

「その土地の湯を知りたければまずは共同浴場へ」というのは温泉ファンの常識であるが、昔ながらの温泉地には、おもに地元の人が利用している素朴な「共同浴場」が存在する。地元の人から愛される共同浴場は源泉の質が高いケースが多く、こうした湯をいただくのも温泉旅の醍醐味である。

ただし、利用する際にはマナーを守らないと、旅人と地元の人、お互いにとって不快な思いをすることになりかねない。

ある温泉地の共同浴場で、ちょっとしたトラブルに遭遇したことがある。ある観光客が、湯が熱すぎて湯船に浸かれなかったため、水で埋めようとしたところ、地元の常連さんが「勝手なことをするな!」と叱りつけたのだ。

おもに地元の人が管理する共同浴場では、暗黙のルールやマナーが存在する。お互いに気持ちよく湯を楽しむためにも、観光で訪れる人は最低限のマナーを心得ておきたい。マナーを守れば、地元の人と打ち解けて世間話に花が咲く、といった楽しみもある。

今回は、私が共同浴場や温泉施設を湯めぐりをするときに気をつけている10のマナーを紹介しよう。

①あいさつをする

地元の常連さんにとって、共同浴場は「わが家の風呂」同然。観光客は「お湯をいただく」という気持ちを忘れてはいけない。「こんにちは」「こんばんは」などと、こちらから最初に声をかけたい。返答がない場合もあるが気にしない。相手の警戒心も解けて、会話が弾むケースも少なくない。

②湯船に浸かる前に、かけ湯をする

共同浴場にかぎらず、温泉に入るときには最低限守りたいマナー。経験則でいえば、2~3割くらいの人は、そのまま湯船に入ってくる。衛生面はもちろん、体を熱に慣らす意味もあるので、必ず実行しよう。

③湯が熱くても、無断で水を入れない

どうしても我慢できないときは断りを入れる。自分は熱く感じても、他人は適温だと思っている可能性があるからだ。湯をかき混ぜたり、多めにかけ湯をして熱に慣れたりすれば、意外とすんなり浸かれることもある。

④タオルは湯船に入れない

多くの温泉施設で注意事項として掲示されている基本中の基本。体の垢や石鹸で湯が汚れる原因となる。「新しいタオルならいいのでは?」という疑問をもつ人もいるかもしれないが、他の入浴客にとっては、タオルが新しいかどうかはわからないし、湯船にタオルを入れる必要もない。

⑤最初は湯口から遠いところ(湯尻)から入る

気にかけている人はあまりいないと思うが、これができると温泉めぐりの上級者。湯口に近いほど新鮮な湯を楽しめる特等席なので、先客がいるときは、タイミングを見計らって徐々に湯口に近づくのがマナー。九州のある共同浴場では、体を洗う前に入る湯船と、洗ったあとに入る湯船の2つに分かれているところもあった。何も知らずに後者の仕上げ用の湯船に浸かってしまった私は当然、注意を受けることとなった。

⑥桶や腰かけなど、使ったものは元に戻す

地元率が高い共同浴場ほど、整理整頓がしっかりされている。一方、ホテルや旅館、スーパー銭湯などでは、施設の人が片づけをしてくれるので、使ったものを元に戻さない人が多い。あとで使う人の立場になれば、いろいろなものが散らかっている浴室よりも、秩序のある浴室のほうが居心地もいいだろう。

⑦混んでいる時間帯は避ける

共同浴場がいちばん混雑する時間帯は、夕方から夜にかけて。共同浴場は浴室も湯船も小さいので、できるだけこの時間帯は避けたい。空いている時間のほうが、湯もキレイで、ゆっくりと湯浴みを楽しめる。もし浴室が混雑していたら、カランや湯船を譲り合うなどの心遣いが大事である。

⑧脱衣所にあがる前に、体をよく拭く

体はバスタオルで拭きたいという人もいるかもしれないが、手持ちの入浴用のタオルで、床に水滴が落ちない程度に体を拭くのがマナー。脱衣所が濡れていると、滑りやすくて危ないし、不快な気持ちにもなる。

⑨帰り際にもあいさつをする

人間関係があいさつで始まり、あいさつで終わるように、共同浴場もあいさつで締めるのが基本。私は『いい湯でした』『お先に』などとあいさつをしてから帰るようにしている。あいさつほど手軽で、効果的なコミュニケーション手段はないだろう。

⑩「黙浴」に徹する

今の時期こそ必要なニューノーマルの入浴マナー。多くの人が利用するスーパー銭湯や日帰り施設などでは、複数人が大声で話し込んでいる光景に出くわすことがある。入浴中はノーマスクで、無防備である。湯船での会話は楽しみのひとつだが、今は我慢の時期だ。

これらのルールを守れば、地元の人だけでなく、自分も気持ちよく時間を過ごせる。温泉めぐりがさらに楽しくなるだろう。


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