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思い立ったらサクッと「日帰りソロ温泉」

ひとり旅の温泉旅(=ソロ温泉)は、泊まりがけで出かけるのが理想だ。しかし、「十分に休みがとれない」「一日だけなら空いている」「さくっと旅に出たい」というケースもあるだろう。

また、今の時期はまだ長距離の移動は控えたいという人も少なくないはず。そんなときは、日帰りのプチ・ソロ温泉の旅も選択肢のひとつになり得る。

1時間圏内の日帰り温泉へ

日帰りの場合、目的地までの距離は短いほうがいい。さくっと短時間で行けて、すぐに温泉につかれる。そういう意味では、移動時間は1時間以内が目安となるだろう。

私は今、札幌市内に住んでいるが、温泉が恋しくなると、札幌近辺にある温泉地に日帰りで出かけている。お気に入りは豊平峡温泉である。

豊平峡温泉は札幌の奥座敷・定山渓温泉の近くに位置する日帰り温泉で、札幌中心部から車で約1時間の距離である(札幌駅からもバスの直行便が出ている)。

黄金色の濁り湯が源泉かけ流し。さらには湯の析出物(湯の花)が浴室の床や湯船を覆っており、まさに温泉の芸術ともいえる代物。それだけ温泉の成分が濃い証拠である。

山々を望む露天風呂は北の大地にふさわしい広々とした湯船で、開放感満点である。昼過ぎに出かけて、湯につかっては休憩室でビールを飲み、昼寝をする。目覚めたら、また湯につかる。そして、夕食はレストランで名物のインドカレーをいただく。ひたすら心身を休めるのに最高の温泉である。

スーパー銭湯で楽しむ「源泉かけ流し」

東京に住んでいたときも、日帰りのソロ温泉旅によく出かけていた。東京近郊で、日帰りでさくっと温泉に入ろうと思えば、都市型の温泉施設「スーパー銭湯」が有力な選択肢となる。

泉質にこだわりがある私は数年前まで、この手のスーパー銭湯では満足できないという立場だった。これらの施設では、温泉の質が二の次になりがちだからだ。

しかし昨今、「スーパー銭湯=湯の質が悪い」という固定観念を払拭するような温泉施設が増えてきている。小さいながらも源泉かけ流しの湯船をつくるなど、「本物の温泉」を楽しんでもらおうという施設側の意思が続々と形になっているように感じている。

市街地に湧く良質のモール泉

その筆頭が埼玉県熊谷市にある「花湯スパリゾート」である。都心からは電車で約90分。さらに送迎バスに揺られること約15分。都心からアクセスするには少々時間を要すが、非日常感を得るにはちょうどいい距離だ。

最大の魅力は、広大な敷地に点在する露天風呂である。源泉かけ流しの檜風呂には、わずかに黄色をおびた透明湯がかけ流し。体感の泉温は38℃くらいだろうか。かなりぬるめである。

わずかに硫化水素の香りも漂い、肌触りもやさしい。地中の植物成分が溶け込んだモール泉の特徴を備えている本格派だ。「まさか埼玉の市街地で、このレベルの湯に出会えるとは!」と感嘆したレベルの湯である。

ぬるめの湯につかりながら広々とした庭園をぼんやり眺めていると、自然と心もリラックスしてくる。大型の日帰り施設にしては、静かな環境であるのもポイント。約7200坪、東京ドームの約半分のスケールである広大な敷地のメリットだろう。

また、休憩スペースは、岩盤浴やマンガ(1万5000冊)、リクライニングチェア、PCスペース、電動マッサージ機(無料)など充実している。
食事処も深谷ネギなど地元食材をウリにするなど、メニューがバラエティーに富んでいて味もいい。地酒が置いてあるのも酒飲みにはうれしい。

上質の温泉につかって、施設内でゆっくり過ごし、また湯につかる。丸一日いても、まったく飽きることがない。

日帰りで海の絶景温泉へ

海の絶景を楽しみたいなら、横須賀市の横須賀温泉「湯楽の里」

東京湾を一望できる展望露天風呂(源泉かけ流し)が絶景である。心がもやもやしているときは、海を見ながら入浴すればスカッと爽快な気分になれるし、旅の雰囲気も味わえる。

泉質にこだわるなら、さいたま市にある見沼天然温泉「小春日和」がおすすめ。

約38℃のぬるめの源泉がかけ流しにされている。通常のスーパー銭湯はぬるい湯は万人受けしないため加温してしまうが、自信をもってぬる湯の源泉を提供している。ソロ温泉と相性のよいぬる湯を存分に楽しめるのはうれしい。

日帰りだからこそ、あえてスマホと距離をとる

ソロ温泉において日帰り施設を選ぶ際のポイントは、入浴後に休める休憩室やお休み処があり、何度も入浴可の施設である。入浴しかできない温泉では、かえって疲れるだけで、ソロ温泉の目的を達成できない。

また、スーパー銭湯ゆえにそれなりの混雑は覚悟しないといけない。週末や夕方から夜にかけての混みあう時間帯は避けるなどの工夫は必要となる。

もちろん、スーパー銭湯にこだわる必要はない。東京からだと日帰りでソロ温泉ができる温泉施設はかぎられてくるが、一般的に地方へ行けば行くほど、良質の温泉地にアクセスしやすくなる。

なお、日帰りのプチ・ソロ温泉であれば、人間関係のスイッチをオフにするために、スマホをあえて家に置いていってもいいだろう。「そこまではできない」ということであれば、スマホはロッカーに入れたまま館内でひとりの時間に徹するくらいなら可能だろう。

スーパー銭湯のように、まわりに人がたくさんいる温泉施設の場合は、特に温泉や自分と向き合うための環境づくりが重要になる。


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