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投資家向け資料の構成を考えてみる  #6 Sharing Innovations (4178)の場合

ども、そろもんです。

仕事で上場を目指している会社さんのサポートをしているときに「資金調達のために投資家へどうやって自社の将来性を伝えれば良いのか」と言われることがありました。

ネットを探せばベンチャー経営者向けにピッチ資料の作り方を解説したコンテンツはたくさんありますが、個人的に新規上場銘柄への投資をやっていることもあり、新しく上場する会社の「成長可能性に関する説明資料」を読んでみるのもヒントになるんじゃないかと思い、具体例をみてまとめてみようと思いました。

趣味の一環でやっているので小難しいことは書かず、感想ベースでまとめます。

今回は2021年3月に上場したSharing Innovationsです。
成長可能性に関する説明資料はこちら

事業内容

まずは事業内容から。

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事業としてはDX事業とPF事業の二つがありますが、基本的にはDX事業で成り立っています。

DX事業はシステムソリューション(システム受託開発)とクラウドインテグレーション(主にSalesforce導入コンサルティング)で構成されています。

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DX事業の中は、売上の過半はシステムソリューションですが、利益の過半はクラウドインテグレーションとなっています。成長性はクラウドインテグレーションの方が大きくなっています。


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対象マーケットは国内IT投資全体と定め、これからも成長することが示されています。

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同社の事業は外部の立場で顧客企業のDXを支援することなので、世の中のIT人材不足が追い風となります。そのため、IT人材需給ギャップも事業成長性の根拠として示されています。

別記事で紹介したヒューマンクリエイションホールディングスも同様の表現をしていましたので、IT関係の会社の定番スライドといったところでしょうか。


先ほど、クラウドインテグレーションの成長性が大きいことを紹介しました。

クラウドインテグレーションは基本的にSalesforce導入コンサルティングとなっていますので、以下のスライドでどれだけSalesforceの成長性が高いのかということを4ページにわたって強調しています。

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強み

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強みは上記スライドで3つ表現されていますが、その中でもワンストップで対応できるという点が実質的な強みではないかと思います。

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上記スライドのように、DX事業がクラウドインテグレーションとシステムソリューションの二つで構成されていることにより、クライアントから全体管理自体も引き取る可能性が出てきます。
このことは同社の立場を安定させることにもつながりますので、実際に開発の全てを内部で対応するかどうかは別として、取引上有利になることが予想できます。

また、ワンストップ対応が実質的な強みと考えられる理由は、以下のスライドで示されている同社のポジショニングにもあります。

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このように、大手SIerの有力パートナーとして案件を一手に引き受けるポジションを担っています。

狙っているポジションもワンストップ対応を強みとしていることもヒューマンクリエイションホールディングスと全く同じです。
ヒューマンクリエイションホールディングスとの違いは、Salesforce導入コンサルを大きな柱として打ち出している点です。
大枠では他社と同じ戦略と強みを持っていても、差別化できる点を明確に打ち出せている点が素晴らしいのではないかと思いました。


成長戦略

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成長戦略としては、ワンストップで対応できる領域をさらに拡大させていく、ということのようです。


まとめ

・国内IT投資額が成長することとIT人材不足の程度が拡大していくことを示して、同社事業への潜在ニーズが引き続き拡大することを示している。

・Salesforceの高い成長性を強調することで、自社が得意としているSalesforce導入コンサルティングも大きな成長が期待できることを強調。(他社の成長が追い風になるなら積極的に記載した方が良い)

・ワンストップ対応できることを伝え、広く深くクライアントと取引できることを示している。

・目指すポジションを明確にし、そのために必要な機能を自社が持っていることを表現している。

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