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CPAの計算は「重心」を求めることと等価。媒体別評価を物理で紐解く。

こんにちは。ソウルドアウトからDX支援を加速するために本年7月に新設されたアンドデジタル株式会社の尾家 道弘(オイエ ミチヒロ)と申します!

普段は、高知県四万十市にある「オペレーションセンター四万十」でSOカシカレポートの作成や問い合わせ対応をしております。

尾家_profile

▼高知県四万十市は、清流四万十川の流れる土佐の小京都と呼ばれているそうです!

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広告運用者の皆さん!媒体別の実績ってどう評価されていますか?一律にCPA(数字)のみで評価してしまってよいものか?悩まれたことはありませんか?

このnoteでは、物理を学んできた社会人1年目の私が「CPAの計算は『重心』を求めることと等価」であると考えた過程をまとめたものです。

ツッコミどころがあるかもしれませんが、優しい目で読んでいただけると嬉しいです!

なぜCPAの計算に注目したか?

私の部署ではレポート作成が中心的な業務であり、日々レポートをより良いモノにしようと取り組んでおります。その中で取り組めていなかった問題があります。

それが最初に述べたCPAの内訳(割合)の定量化です。

媒体ごとにCPAは求めることができますが、全体のCPAを見たとき、「どの媒体がどの程度影響を及ぼしているのか、媒体毎の売り上げの貢献度(寄与度)はどのくらいか」に関して、これまで定量的な評価ができていませんでした。

一方、CV・COSTは媒体ごとの内訳を簡単に計算できます。では、CPAとCV・COSTの大きな違いは何でしょうか。

*CV:コンバージョン。獲得数。
COST:費用。
CPA(=Cost Per Action):CV1件あたりの費用。成果単価。

それは、足し算ができるか否かです。

例えば、Yahoo!とGoogle の二つの媒体があります。CV数をそれぞれ10、20とし、CPAをそれぞれ10円、20円とします。このとき、全体のCV数は足して30と計算できますが、CPAは足して30円とは計算できません。

このように、CPAは足し算ができないため、各媒体の内訳が見えづらく「どの媒体が全体の何割を占めているか・貢献度はどのくらいか」を瞬時に理解することはできません。

しかし、何か数値的に判断できる指標があれば、営業や運用担当の方に役に立つと考えていました。そこで「これは使えそうだ!」と思ったものがこれからお話しする「重心」です。

力のモーメント

重心の話に入る前に、「力のモーメント」と呼ばれる、物体を回転させる力について話します。この話は、重心を考える際に必要となります。

力のモーメントは、

力のモーメント(物体を回転させる力)=力×支点からの距離(長さ)

で表せます。
*本来は支点からの距離である必要はありませんが、分かりやすいよう、このように記載しています。

いきなり数式を出しても、さっぱり分からないと思うので、例を使って説明します。

棒の片方に大きな重りが乗せテあるテコを思い浮かべてください。このとき、もう一方からエイヤッと力を加えると、大きな重りが持ち上がります。棒の長さが長くなればなるほど、支点からの距離が遠くなり、軽い力で物体を持ち上げられ、棒の長さが短くなれば、支点からの距離が短くなり、大きな力を必要とします。

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これが力のモーメントの一例です。同じ重りを回転させる力でも、棒の長さによって力の大きさ変化します。それを体現している式が、力のモーメントです。

重心

いよいよ重心についてです。

重心とは、物体の中心のことをいいます。物体の重さを一点で支えることができる点です。

例えば、ペンを指一本で支えようとしたとき、ペンの中心あたりを指の腹で支えてあげると落ちない(動かない)場所があるはずです。その場所こそが重心の位置を表しています。

そして重心は、先ほど述べた力のモーメントを使って表せます。下記画像のように、左の重りが下へ回転する力と、右の重りが下へ回転する力がつり合った場所が重心ということになります。

「力がつり合う」というのは、ペンの例で考えたように、物体は動かず静止したままです。この、力のモーメントが釣り合った場所こそ、重心となります。

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モーメントのつり合い式は、

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となります。さらに重心の位置について整理すると、

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のように表せます。これが2物体における重心の公式です。

CPAと重心の関係

お待たせしました。いよいよ、CPAと重心の関係性です。ここでは、例としてYahoo!とGoogle の2媒体で考えてみます。

そうすると全体のCPAは、

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です。またCOSTは、CPAとCVを利用すると、

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と表せます。さてこの式の形、どこかで見覚えはないでしょうか?

そうです。重心と全く同じ形をしています。重さMがCVに置き換わり、位置xがCPAに置き換わっただけです。

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つまり、全体のCPAを求めることは、各媒体のCVとCPAから求まる重心に一致するということです。また、重心が使えるということは、力のモーメント(回転する力)の考え方も利用できるということです。

複雑になってきたので、一旦整理します。

左の重りが下へ回転する力と、右の重りが下へ回転する力がつり合った場所が重心でした。そして、重さがCVに置き換わり、位置がCPAに置き換わったのでした。

以上を踏まえると、上で示したCPAに関する重心の式は、下記の画像から求めたものと同じです。

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さて、この画像から、重心である全体のCPAを支点とした力のモーメントの式を立ててみましょう。すると、

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のようになります。

今回の場合は2媒体だったので、恩恵は特に感じません。その理由として、Yahoo!とGoogle のモーメントの大きさは等しいからです。

しかしながら、3媒体、4媒体と増えればどうでしょうか?

媒体が増えれば、その分、モーメントの式も増えていきます。その結果、すべてのモーメントが等しくなることは極めて稀であり、基本的にはすべての媒体でモーメントは異なります。ただし左回りのモーメントの大きさと、右回りのモーメントの大きさの合計は等しくなります。

最後に、媒体のモーメント(回転する力)とは何なのでしょうか?それは、全体のCPA(およびCV)に対して、どれだけの影響力・影響度(ひっくり返す力)があるのかという指標です。そして指標から、どの媒体がどの程度全体に寄与・貢献しているかが分かります。次の具体例で説明します!

具体例

下の表では、各媒体ごとのCOST、CV、CPA、影響度(モーメント)が記載されており、一番下にある総計は各カラムの合計値および、全体のCPAを表しています。また影響度には正・負の値があり、モーメントの方向を表しています。具体的に、正のものを左回り、負のものを右回りとしております。

影響度テーブル_具体例

すなわち、正の影響度を持つものは上の天秤の図でいうところの左(全体のCPAより小さい)側であり、負の影響度を持つものは右(全体のCPAより大きい)側を表しています。

影響度の総計が0ということからも、左回りと右回りのモーメントが釣り合っていることが確認できます。

さて、この表から一目瞭然ですが、影響度(モーメント)の大きさ(絶対値)が最も大きいfacebookのCPAを改善すると、全体のCPAが大きく変化することが分かります。さて次にどれを皆さんなら改善しますか?

一見、次に影響度の大きなyss(Yahoo!検索広告)を触りたくなる気持ちも分かりますが、それはお勧めできません。その理由は影響度が正であるため、全体のCPAを下げる左回りのモーメントだからです。

ゆえに、符号がマイナスかつ、影響度が大である媒体に目を向けることが重要なのです。そのため次に考えるべき媒体は、gdn(Googleディスプレイ広告)およびydn(Yahoo!ディスプレイ広告)となってきます。

このように、重心とモーメントを利用すれば、「どの媒体が全体のCPAに対する寄与度・影響度が大きいか」を数値的に判別できます。

まとめ

話は長くなりましたが、「全体のCPAは各媒体のCPAの重心である」ということを説明してきました。そして、重心であることからモーメントの話へと置き換えられ、「媒体ごとの寄与度・影響度」が数値的に分かります。

今回少し難しい計算について書きましたが、「媒体ごとの寄与度・影響度」が一発でわかれば、最初に述べた営業・運用の方々をサポートできると思い、SOカシカレポートに組み込めるよう現在取り組んでおります。またそれ以外の指標に関しても、構想中です。

また、SOカシカレポート全体の動きとして、これまでにないInstagramのフォーマットや従来のフォーマット含めリニューアル予定となっています。ぜひ、一度目を通しご検討のほどよろしくお願いいたします!

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【執筆:尾家 道弘】

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