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$8 V2164 Dual VCA Rev.2 - DIY Eurorack Modular Synthesizer

V2164 VCA ICを使用してモジュラーシンセサイザー のレスポンスカーブ可変 Dual VCAを作成したので、その備忘録。

背景

自作モジュラーシンセの55作品目。
Who said you never have enough VCAS?
という言葉がある。VCAはいくあってもよいという意味だ。

私は過去に2つのVCAを作成してきている。
1つめは、V2164 Dual VCA。レスポンスカーブはexp固定だ。今回のモジュールはこのVCAのバージョンアップ版のため、タイトルが「Rev.2」となっている。
2つめは、LM13700 Dual VCA。安くて扱いやすいLM13700を使ったVCAで、レスポンスカーブはリニア固定だ。

市販のユーロラックにはMutable instruments Veilsや、Intellijel Quad VCAのように、レスポンスカーブをリニア~expに可変できるVCAがある。今回はV2164の増幅特性を利用したレスポンスカーブ可変VCAを作成することとする。

Intellijel Quad VCAと今回のモジュールを比較すると、
ミキサー機能を削除、ブースト機能を削除、VCAは1/2と劣るが、
サイズは2/3、費用は1/35に抑えることができる。

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制作物のスペック

ユーロラック規格 3U 8HPサイズ
電源:25mA 以下( +12V ) / 25mA以下 ( -12V )
±12V両電源が必要。
消費電流は正確な測定をしていないが、安定化電源が示していた消費電流から、おおよその値を推測している。

OFFSET knob:オフセット
CURVE knob:レスポンスカーブ調整(exp - lin)
ATTN knob:CV調整
CV:CVin 
IN: signal in
OUT:signal out

部品の定数は以下の設計要件を満たすように設定している。
1. 4Vp-pの音声入力を5VのCVのみで10Vp-pに増幅できる。
2. OFFSETを下げれば、出力電圧をゼロにできる。
3. 音声だけでなく、CVの増幅もできる。

CURVE knobでexpカーブにするとゲインも増加する。これはVeilsやintellijel Quad VCAと同じ特性だ。

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製作費

総額900円
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V2164 VCA IC 440円
パネル 100円
TL074オペアンプ 50円
可変抵抗 20円*6個

V2164はSSI2164、SSM2164、AS2164に置き換えることができる。(と思う、未検証)
日本ではV2164が入手しやすい。海外ではAS2164を用いることが多いようだ。

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ハードウェア

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回路構成は前回作成したV2164 VCAと似ている。
レスポンスカーブを調整するために、V2164の回路を追加している。回路はMutable instruments Veilsを参考にした。
https://mutable-instruments.net/modules/veils/open_source/

入手しやすい部品で作れることを意識している。
Veilsで使用していたLM4040B10の様な定電圧ダイオードは使用していない。代わりに半固定抵抗での調整を追加している。
また、抵抗の定数も比較的入手しやすいものを選定している。
Veilsの回路を見てみると、電子部品の約半分がLEDの点灯とmixer機能のためにあると分かる。単純なVCAの機能だけならば、部品点数を半分に減らすことができる。

CV調整回路側のオペアンプに接続されている100pFのコンデンサは重要な役割がある。このコンデンサがないと、増幅カーブが不安定になる。

回路図は1ch分の回路しか書いてない。2chも同じpinナンバー以外は同じ回路だ。

キャリブレーション
2つの半固定抵抗でキャリブレーションが必要だ。

1つめはオフセット調整用の半固定抵抗。33kオームの抵抗につながっている側。OFFSET POTを完全に閉じた状態かつ、CV入力が0Vの状態のときに、音声出力がゼロになるようにキャリブレーションをする。

2つめは増幅率調整用の半固定抵抗。22kオームの抵抗につながっている側。OFFSET POTを完全に閉じた状態かつ、CV入力が5Vのときに、増幅率が2倍になるように調整する。増幅率は任意の値でも問題ない。1倍でも問題ないし、1.5倍でも問題ない。0.1倍とか、5倍とかにすると使いにくいだけだ。

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