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【図解】なぜ、ゾゾタウンは儲かるのか?

そらっちです。

アパレル不況の中、飛ぶ鳥を落とす勢いだったZOZOTOWN(ゾゾタウン)。ECでは「試着ができない」という問題があり、アパレル業界は適さないという常識を破り、増収増益で伸び続けたZOZOはいったいどうやって儲け続けたのか。
そして、2019年に初めて減益し、ヤフーに身売りしてしまう事になったのか。

そのゾゾタウンのビジネスモデル、戦略を図解してみました。

ゾゾタウンの戦略図解

ゾゾタウン_戦略図解

1.なぜ、顧客に選ばれるのか?(上段)

設立当時、ECでは「試着ができない」という問題があり、人気ブランドが集まったサイトもなくアパレルECのビジネス化はできないと言われていました。
ネットでの商品の購入が徐々に一般化するにつれ、ファッション感度が高い男女は、ネットで人気ブランドアイテムを買う事を望みますが、ネットでは試着はできず、自分に合うか不安がありました。

そんな顧客の要望に対して、前澤氏は中堅の人気アパレルブランドを多数集める事、そして服が合わない場合は商品の返品可能である事試着イメージが分かるコーディネートアプリWEARなど「試着ができない」問題を対策し、顧客に対して顧客価値を提供する事で顧客に選ばれるようになっていきます。

そして、誰もが知る人気ブランドの多く集まるZOZOTOWNを実現させます。

2.なぜ、儲かるのか?(中段)

2018年3月期まで営業利益率が30%代という驚異的な数字で儲け続けていたゾゾタウン。
なぜこれほど儲ける事が出来たのかというと、下記二点になります。
WEARなどコーディネート、組み合わせの提案で合わせ買いが多い事
受託販売の販売手数料率が28%と高いこと

日用品と違いアパレルはコーディネート、組み合わせで購入する特徴があり、客単価を上げる事ができます。その合わせ買いを促進させたのが、おすすめの服やコーデの提案を行うWEARアプリです。

また、楽天は3%代にも関わらず、ゾゾタウンは28%もの高い手数料を取れるのかというと、洋服の原価率が2~3割だからです。(前澤さんがツイートして話題になりましたが)

その原価率でも高い利益率を上げているわけではなく、服は流行る予測が難しく在庫になりがちで、その原価率でも黒字にするのが難しい業界なのです。さらにアパレル業界自体は苦戦中であるため、在庫リスクを軽減できる可能性が高いのであれば、28%と高い手数料でも受け入れたのです。業界の市場構造を理解しているからこそできた素晴らしいアイデアです。

逆に楽天では、保存できない商品なども扱っているため3%などの手数料で、かつビジネスモデル、物流の仕組みも違うため、ゾゾタウンを真似したくても簡単にはできないのです。(そもそも楽天とはビジネスモデルが全く違うので比較対象にするのも微妙ですが)

3.なぜ、勝ち続けるのか?(全体)

ゾゾタウンが勝ち続けるためには、プラットフォーム戦略として人気アパレルブランドを集め続ける事でした。

ではどうやって人気アパレルブランド集めたのか?
当時人気アパレルブランドは、ファストファッションで業績低下、一社でのEC運用は難しい、また楽天などでは低価格ブランドと比較され、ブランドイメージが棄損するため出店できないという課題を抱えていました。

そういった背景があったため、人気ブランドのみが出店しており、かつ顧客の質が高いゾゾタウンの営業に心を動かされることになります。さらにアパレルECの保管、写真撮影などの煩雑さを軽減する仕組みがあるゾゾタウンに、従来では出店をしようと思ってもいなかった人気アパレル企業まで出店するようになります。

つまり、このビジネスの重要な要素(KSFと呼びます)として、下記に力を入れて、成長していきました。
・人気ブランドに絞った営業
・受託販売で保管、写真撮影、梱包、発送までの一連の作業を全て代行
・初回購入サポート、返品可能、WEARなどで徹底的なチューニングで購入促進

上記に力を入れることで、他社が真似できない強みが確立され、強化されればされるほど、人気ブランドが人を呼び、集まった人によりアパレルブランドが集まり、また強みを強化される好循環を築きました。
特に、プラットフォーム戦略のネットワーク外部性が強力な強みを発揮し、人気アパレルはゾゾというイメージが定着し、他社は追随ができなくなります。
そして、ゾゾスーツやPB商品などで、さらに成長を加速するように思われました。

まとめと身売りの事態に関して

なぜゾゾタウンは儲かり続けたのかというと、人気アパレルブランドを集める一点に集中し、それを成功させる成功要因(KSF)に力をいれて、強みを強化し続けたからです。

では、なぜ2019年に減益し、わずか1年で身売りの事態になってしまったのか。わずか1年でうまく行かなくなるというのは、戦略として絶対にやってはいけない事をやってしまったと言えます。

その一つ目が、人気ブランドを集めるという戦略に反する事をしてしまった事。そして二つ目が顧客が求めていなかった事をしてしまった事です。

まず一つ目として、楽天などに掲載される格安ブランドをゾゾタウンにも掲載し、PB商品を始めたことです。
これにより、格安ブランドを求める顧客が流入し、従来の人気ブランドを求めていた質の高いメイン顧客の客離れが発生します。
そして、メイン顧客を求めていた人気アパレルメーカーからは、格安ブランドを求める顧客に商品を比較され、ブランド価値の棄損に繋がる事を危惧するようになります。

プラットフォーム戦略における注意点の一つが、ネットワーク外部性が逆回転しないかを制御することです。
一部の質の悪いものが入るとネットワーク外部性が崩れ、悪貨は良貨を駆逐する状態になってしまうのです。

では、なぜこういう自体になったのか。
おそらく、人気アパレルブランドをほぼ取り込んでしまった後、どの戦略にするかを間違えてしまったのか、営業が理解せず格安ブランド獲得し制御ができなかったのかわかりませんが、
戦略の一貫性が崩れれば、どれだけ素晴らしい会社でも崩れるということです。

参考

驚異の純益8割増。楽天が真似できない「ZOZOTOWN」高成長のカラクリ
ECサイト「ゾゾタウン」、ひとり勝ちの秘密
ZOZOの栄光と失敗。カリスマ・前澤友作氏は何を見誤ったのか?
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