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ながらのすゝめ&サボりのすゝめ

何かしながらトレーニングをすることがあまり良くなかったり、、、続けることが良いと思ったり、、、
トレーニングが楽しければ良いと思いますがなかなかそうはいきません。
どうしても飽きてしまって惰性的になってしまいます。「始めた当初は良かったから続けている」という人も多いですね。その【思い込み】が体を壊していきます。

これは体の緊張感と深い関わりがあります。

ドラゴンクエストばかりやっていたら体の一部が異常に発達し人生が180度変わった人!

「激レアさんを連れてきた。」(テレビ朝日 2021/8/23放送)にて「ドラゴンクエストばかりやっていたら体の一部が異常に発達し人生が180度変わった人!」ということで溝口哲也みぞぐちてつやさんという方が出演されていました。

https://post.tv-asahi.co.jp/post-161611/からの引用

スタジオメンバーはテツヤさんの体のどこが発達したのか考え、ゲームだけに指や脳などと予想するが、答えは”足”!
~中略~
高校生の頃のテツヤさんは、登校から下校まで一言も喋らない超陰キャラ。コミュニケーションをとるのが苦手で自分から人を避け、なかよしこよしでやっている生徒を辛辣な目で見ていたと振り返る。

そんななかで出会ったのがゲーム「ドラゴンクエストX 目覚めし五つの種族 オンライン」だった。これにめちゃくちゃハマり、学校以外はゲームのレベルを上げることしかしなくなる。

モンスターと対戦すると経験値がもらえて、それが貯まると主人公がレベルアップするのだが、睡眠時間を削ってでもレベルを上げたいテツヤさんに“睡魔”という問題が降りかかる。そこで寝落ちせずにゲームが出来るよう、自転車を漕ぎながらプレイをするという驚がくの方法を編み出す。

親が寝静まった夜12時頃、リビングに持ち込んだ自転車をローラーの上にセットし、ひたすら漕ぎながら6時間もの間ゲームをしていたテツヤさん。
最初は体力的に辛かったが、2カ月を過ぎた頃、疲れを感じなくなっていることに気がつく。

足が異常に太くなり、ゲームの勇者気分になったテツヤさんは、「自転車で行けるところまで行ってみよう!」と決意。真冬にも関わらず1万円札を握りしめ、その夜に東北に行ってしまう家にこもりがちだったテツヤさんの挑戦を両親も応援。

期間をわけて、日本縦断に成功する。テツヤさんはその後、「勇者たるもの、何か称号がほしい」と考えるようになり、自転車競技の大会にエントリー。あっさり優勝してしまう。それ以降も、全国規模の自転車の大会で優勝しまくるテツヤさんは地元で一躍有名となり、あるイベントに参加。

https://post.tv-asahi.co.jp/post-161611/からの引用

レベルを上げるためにひたすらドラクエをし…一日に14時間はドラクエをしていたそうです。学校7時間、睡眠2時間、ドラクエ15時間…

ドラクエ中に寝落ちしないためにローラー台に自転車を乗せ漕ぎながらレベルを上げるということを始めます。

6時間は自転車に乗るそうです。

僕がオンゲ廃人だった頃、ドラクエ10のレベ上げ寝落ち対策のために始めたのが自転車。そしたら主人公よりも脚力の方が想像以上にレベルアップ↑して、レースで優勝したり世界中でリアルドラゴンクエストするようになった。僕はただドラクエがしたかっただけなのに...(泣)
— みぞ (@groovy722) January 19, 2018

pic.twitter.com/wCm0i8Qeiq

そして競技歴わずか半年でベテラン勢を破り初優勝をしてしまいました。ドラクエのレベルを上げるついでに自転車をしていただけなのです。
実はこの集中しないということが実はとても大事なのです。


アスリートの集中

イチローの集中

イチロー氏や室伏広治氏も集中する事に触れています。イチロー氏は「Jスポ」(TBS)番組内【ICHIRO解体新書】 2008年12月29日(月)放送の密着取材で以下のように答えています。

アナウンサー:
インタビューに答えながら練習を続けるイチロー
実はそこにも重要な意味があるという

イチロー:
これ(カゴの中のボール)、240球ぐらいあるんですけど240球投げたら大体、変な反応が出ますよね、筋肉に
この間、偶然、喋りながら投げていたんですよ、人と
そしたらこれ全部終わっちゃって1カゴ
翌日の体の反応とかも悪くないんですよ
全然(疲れが)ないんですよ
こうやって意識を違うところに持っていきながら
体を動かしていくと何かが分散されるんでしょうね

アナウンサー:
意識を集中させるのではなく分散させる
すると疲れが残らない
イチロー独自の理論

イチロー:
集中させることによって何かが分泌されなくなるんじゃないんですか
そういうことだと思うんです、何となくそう感じる
だからウェイトトレーニングなんかでもひょっとしてそうかもしれない
マシーンに集中してやるよりも
例えば極端な話、本を読みながらやるとかね
そういうことで別の効果を生み出すような
気がしましたけどね


室伏広治の集中

室伏広治氏は著書「ゾーンの入り方」(集英社新書)で同じような事を書いています。

ゾーンの入り方 (集英社新書) | 室伏広治

それでもなんとか集中していいパフォーマンスに持っていかなければいけません。
私は2004年のアテネ五輪のとき、まさにそういう状況に置かれました。
(中略)
競技場の観客席は大歓声に包まれていました。(中略)私が目の前で手を叩いてもその音が全く聞こえないほどの大歓声でした。
それでもなんとか集中して投擲に臨まなければなりません。私はウォームアップエリアの芝生の上に座り、両膝の間に顔を埋めたり、手で耳をふさいだりして、何とか音を遮ろうとしましたが、どうしても集中できませんでした。
そこで、私は大の字に寝転がって夜空を見上げました。星を見たいと思ったのです。(中略)そのうちに私の耳には何も聞こえなくなっていたことに気が付きました。

ゾーンの入り方 (集英社新書) 室伏広治著 からの引用

「ついで」に集中できるという事が実はとても大事です。


柳生宗矩やぎゅう むねのりの「兵法家伝書へいほうかでんしょ

室伏広治氏は著書の中で江戸時代の剣豪柳生宗矩やぎゅう むねのりの「兵法家伝書へいほうかでんしょ」の一節を取り上げ以下のように言っています。

「何事も心の一すじに、とどまりたるを病とする也。此様々の病、皆心にあるなれば、此等の病をさつて心を調る事也」(岩波文庫)

何事も一つのことに心がとどまりすぎるのはよくない。(中略)
まるで三日坊主のように、三日やったらまた三日別のことをやり、そしてまた三日と、次々と新しい三日間行うということも大切な方法ではないでしょうか。

ゾーンの入り方 (集英社新書) 室伏広治著 からの引用

柳生宗矩やぎゅう むねのりは戦国時代~江戸時代前期の剣豪です。『兵法家伝書へいほうかでんしょ』は同世代の剣豪・宮本武蔵の著した『五輪書』と並ぶ武道書です。

室伏広治著の『ゾーンの入り方』では柳生宗矩やぎゅう むねのりの「兵法家伝書へいほうかでんしょ」を一節を取り上げていましたがもう少し長い文章が以下のようになります。

かたんと一筋におもふも病也。
兵法つかはむと一筋におもふも病也。
習のたけを出さんと一筋におもふも病、かからんと一筋におもふも病也。
またんとばかりおもふも病也。
病をさらんと一筋に、おもひかたまりたるも病也。
何事も心の一すじに、とどまりたるを病とする也。
此様々の病、皆心にあるなれば、此等の病をさつて心を調る事也。

「訳」

勝とう、勝とうと一途に思うのは病気である。
技を使おうと一途に思うのも病気、
鍛錬の成果をあらわそうと一途に思うのも病気である。積極的にかかっていこうとばかり思うのも病気、
待ちかまえていようとばかり思うのも病気である。
こうした病気をなくそうと一途に思いつめるのもまた病気である。
いずれにせよ、心が一途に固定してしまった状態を病気というのである。
このような、さまざまの病気は、すべて心のうちにあるものなのだから、これらの病気をなくすためには心のコントロールが必要となってくるのだ。

http://kikanhoh.web.fc2.com/new_page_37.htm

何かに執着すること自体が病=悪癖だと述べています。特に昔の戦いは常に臨機応変に対応をしなければならなかったでしょう。どこから襲われるか、どのように攻撃されるか、誰が襲来するのか等、未知数です。なので何かに囚われることは非常に危険で死に直結します。

周囲が見えなくなることは執着です。
周囲の事が全て見えるのは集中です。

スポーツでは「良いプレイをしよう」「かっこよく決めよう」と執着すればするほど周囲が見えなくなります。
自然と集中すれば周囲も見えて常に臨機応変に様々な角度から対応できるようになります。

トレーニングも同じで執着してしまうと体が対応できなくなります。そういう姿勢になってくるのです。簡単に言うとバランスが悪くなるんです。


塩田剛三の集中力

集中としてはちょっと違う意味あいかもしれませんが合気道の塩田剛三氏の集中を見てみましょう。

 https://www.youtube.com/watch?v=H6At0RIfM2s&t=91s

1:20頃の映像ですが塩田剛三氏は足の指だけで相手の動きを封じ込めています。

指一本、脚一本が全部あれ(技)になります。
これで(足の指)キュッとこう押さえます。
こうやってこの脚がですね…(笑)

これは笑っているけれど本当は集中力なんです。
皆さんに話していますから愛嬌を振りまいていますがね。

昭和53年度 第23回総合演武大会での塩田剛三氏の発言

この「技」をかけながらも塩田剛三氏本人は全くブレる気配がありません。喋りながら、笑ながら技をかけています。

一つの事に固執せずに周りが見えています。しかし技の精度は落ちないんです。



継続すること、集中すること

一つのことに執着することは体にあまりいい影響を与えません。好きで楽しければまだ体に良い緊張感が走っています。

そして「トレーニングを続けることは良い事だ」という考えがあります。確かに継続から得られる何かがあるかもしれません。しかしそれは非常にリスクが大きいものです。下手したらただの根性論になってしまう恐れもあります。何度も言いますが本当に楽しければいいのですが‥

「頑張って続けたこと」に焦点が当たり「続けた結果パフォーマンスがどう変化したか」ということに焦点が当たり難くなってしまうんです。

晴れの日に花に水を上げて花が元気になったからと言って、雨の日に同じように水を上げていたら花はダメになってしまいます。むしろ花に雨が当たらないように避ける必要すらあります。

天気と同じように体も日々変化します。昨日と同じ効果が得られるとは限りません。体が怠けないように常に刺激=緊張感が大事です。
新しいトレーニングを取り入れて慣れないうちは全身でバランスを取るので面白いのです。しかしほとんどの場合2,3日もすればその動きに慣れてしまうので全身の楽しい緊張から局所的な無理な緊張に移行してしまいます。

全身緊張→局所緊張
これが体を壊してしまう原因になります。全身で受け止めていた緊張感が腕や脚の部分だけの力に執着してしまうからです。

なので如何いかに体が飽きないようにトレーニングするかというのが大事です。体は飽きたら緊張感がなくなり、ワクワクやドキドキがなくなります。

人間は一つの事に執着してしまうと体がうまく機能しなくなりもろくなる傾向があります。

本当は「ながら」ぐらいが体には良いんです。そして集中することが目的となってしまうと集中はできません。結果として集中できるから良いんです。

楽しくないことは集中が出来ません。頭も体も飽きたら集中できません。

「意識をずらす」ことをしたり「他の事をしながら」というのはとても体には良いんです。



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