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梅雨のうみのこたち

逗子の海と森を園庭に毎日外遊びする保育園、うみのこ。毎朝、「今日は何しようか」と子どもたちが話し合う「朝の集い」から1日が始まる。

その日の天気や気持ち、いま夢中になっていること、これまで積み重ねてきた楽しい時間などなどを考えながら、子どもたちそれぞれがその日の過ごしかたを提案し、話し合う。いつも不思議と、10分も話すと、海へ、森へ、大工仕事へ... と、ちょうどいい規模感のグループに分かれて活動開始。

「外遊びがまんなかにある園。雨になったら何してるの...?」

そんな質問に答えるために、今日は写真で、梅雨時期のうみのこたちの様子を紹介したい。

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そう。

子どもが話して子どもが決めると、雨でも、いや、雨だからこそ、外遊びを選び続ける人たちがいる。

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最近流行っているのは、裏山での「どろんこ滑り台」。

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「すっげ、すっげ、すっげ、はっえーーーー!」

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何度も何度ものぼっては滑るお友達の様子をじーっと見て、自分は滑らない人もいる。自分の中の「やりたい」がむくむく膨らんでいるのを待つこんな時間も、だいじ。(*この写真を撮影した1週間後、彼も「見ててね」と堂々の泥滑りをお友達に披露!)

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そして、海のじどうかんに戻ったら、大好きなドラム缶風呂。これがやりたくて、雨を楽しみにしている人も少なくないね。

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いま、泥んこ滑り台ともうひとつ流行っているのが、蟹とり、エビとり、手作り仕掛けでの魚釣り。そしてそれらを「とって食う」こと!

小雨くらいはなんのその、「どうせ濡れるからレインコートもいらない」と元気に出かけていく。

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枝+糸+釣り針の簡単な仕掛けで、必ず小さなハゼやスジエビを釣り上げる名人は、みんなの憧れ。

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今日の釣果。さあ、食べようか。

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さくっ。「うまっ!」「めちゃくちゃうまーっ!」

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とった蟹でお出汁を。横顔からは「ワクワク」しか聞こえない。お椀を出すの、早いから。笑

「とって食う」の流行と、上手につかまえる年長の仲間への憧れは、まだしばらく続きそう。


さて、そんなワイルドな外遊び時間の傍ら、自然の色で遊ぶ人たちも。

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みんな大好きな造形の先生よしみちゃんと一緒に、ベンガラ染めで和紙を染める。好きな色に染めた和紙は、ここから何日か、少しずつ時間をかけて、うちわになったり、七夕飾りになったり。

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造形、料理、泥遊び、海遊びなどすべて、保育士の仕事は環境を整えること。場は設定するけれど、無理にその活動に引き込むことはしない。

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うみのこ代表保育士のレオッチは、言う。

「大人だって、"今日は素晴らしい先生が来るから絵を描こうよ" なんて突然言われても、気乗りしない時、あるでしょう。その日、どんな場があるか紹介はしつつ、子どものタイミングがその日でなければ無理強いはしません。

 面白いのが、その日は造形を選ばず海に遊びに行ったとしても、じどうかんに戻ってきてお友達が制作したベンガラ染めや七夕飾りを見ると "これ、明日もできる?" と聞く子が必ずいること。もちろん、翌日も続きができるように場を用意します。

 どんなに素晴らしいカリキュラムでも、大人の意図でやらせるとササっと適当にやって "はい、できたよー" で終わり。子どもが自分で考えて、自分で決めて、取り組んだときの集中力は、いいものですよ」

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自分たちの給食を自分たちで作ることができる日も。これも、全員ではなく、「やりたい!」と手をあげる人たちと行う。

お友達が作ってくれた給食はとくべつ美味しい。お友達に食べてもらうと、嬉しい。1年経つころには、自然とみんなが料理をするようになっている。

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毎月1度の「パンの日」は、さわちゃん先生と一緒に自分のパン作り。みんなが大好きな活動で、これは不思議と「やらない」と言う人が出ない。

3年間うみのこにいれば、在園中に少なくても36回、自分のパンを作っていることになるね。

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雨降りの谷間の晴天日は、「海に行きたい!」と言う人が増える。楽しい遊びには自ずと人が集まるから、「並べ」なんて誰も言わないのにこの秩序感。

待っている横顔からはやっぱり、「ワクワク」しか聞こえない。笑

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「うおりゃー!」

一人ひとりの「身の丈+数センチ」をしっかり把握して、ちょっとだけドキドキできる挑戦を全力で応援するレオッチ。海遊びのボードの角度も、それぞれに合わせて少しずつ変えている。

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「ぐわははははは!」

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足下の自然で作って、食べて、遊びまくるうみのこたち。そんな彼らの毎日を豊かにしているのは、「教える」というより、自分の「好き」を全力で共有する地域の大人たちだ。

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大人も本気で楽しむことを奨励されるここでは、先生と親たちの垣根も低い。ほら昨日も「もうすぐ七夕だから」と、家の裏山からこんな大物を持ってきてくれたお母さん。

先週は、週末に釣り上げた大物のマゴチを持参して、解体ショーをしてくれたお父さんもいた。

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自ら楽しむ大人の背中を身近にたくさん見ながら、うみのこたちは今日も、食べる、つくる、遊ぶ。遊ぶ。遊ぶ。

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みんなで育てているカイコさんもまゆを作りはじめ、そろそろ夏も本格化かな。

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なにもないけど全部ある、そんな暮らしの中で育つ子どもたち。

その寝顔からは「僕らは逗子でできている」、そんな声が聞こえてきそう。

明日もたくさん、遊ぼうね。

Text by Ai Ito

認可外保育施設うみのこ  *現在、2020年9月〜の入園枠で1名のみ募集中です。2021年4月の入園募集案内は、9月に公開予定です。https://sokka.life/blog/2020uminoko




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