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10点【感想】売上を減らそう。たどりついたのは業績至上主義からの解放(中村朱美)

オススメ度 10/10(資本主義への反逆を実行している本のため)

(うりあげをへらそう。たどりついたのはぎょうせきしじょうしゅぎからのかいほう)

出版社HP

各メディアで話題沸騰中の「佰食屋」店主、初の書き下ろし著書。

・ランチのみ、の国産牛ステーキ丼専門店
・どんなに売れても、1日100食限定
・営業、わずか3時間半
・インセンティブは、早く売り切れば早く帰れる
・飲食店なのに、残業ゼロ
・なのに従業員の給料は、百貨店並み

社員を犠牲にしてまで 「追うべき数字」 なんてない 。
「働きやすい会社」と「経営」が両立するビジネスモデルとは?

京都の小さな定食屋が起こした、奇跡の経営革命!

<なぜこの本を書くのか>

この本のはじめに、なぜ本を書くのか、お伝えします。

堀江貴文さん監修のもと出版されている『まんがでわかる 絶対成功!ホリエモン式飲食店経営』(講談社)で、
佰食屋はこんなふうに紹介されています。

・サービスを極限まで絞ることで売上を上げているお店
・飲食店の形は自分の人生に照らし合わせて決めることができる

この2行の冒頭、「サービス」と「飲食店」を「働き方」に変えるとこうなります。

・働き方を極限まで絞ることで売上を上げているお店
・働き方の形は自分の人生に照らし合わせて決めることができる

つまり、どれだけ儲かったとしても、「これ以上は売らない」「これ以上は働かない」。
あらかじめ決めた業務量を、時間内でしっかりこなし、最大限の成果を挙げる。
そして残りの時間(人生)を自分の好きなように使う、ということ。

飲食店関係者だけでなく、すべての働く人たちに、
この2行に集約された佰食屋のビジネスモデル、働き方のすべてを共有したい。
そう思い、この本を書きました。

<著者からのメッセージ>

「100食以上売ったら?」
「昼だけじゃなくて、夜も売ったほうが儲かるのでは?」

たしかに売上は上がるでしょう。
でも、働く時間は増えるのに、給料はあまり変わらない。
会社が儲かっても社員が報われないのはおかしい。

「営業時間を伸ばせば伸ばすほど売上は上がる。だから頑張れ」
売上が落ち込んでいると「頑張れ」、
元気がないと「頑張れ」、連休前も、連休中も、連休明けも、いつも「頑張れ」。

もう「頑張れ」なんて言いたくない。
わたしは「仕組み」で人を幸せにしたい。

「残業ゼロなんて、うちは業種も規模も違うから無理」
「佰食屋だからできるんでしょ?」
「同じだけテナント料を払うなら、なるべく長い時間できるかぎり商売しよう」

ちょっと待ってください。
そもそも就業時間内に 利益を出せない商品とか企画ってダメじゃないですか?

「会社を存続させるためには、ビジネスをスケールさせ、 利益を追求することが重要だ」
「多店舗展開をしよう。今年も前年比を更新して売上を増やそう。」

みんなが売上を追いかけてうまくいっていないのなら、
もうそれを追いかける必要なんてない。

【著者等】
 中村朱美
(なかむらあけみ)

【出版社・レーベル】
 ライツ社

【読む前の独断と偏見によるジャンル】
 ある意味ソーシャルビジネス本

【その本を選んだ理由】
 市役所時代の後輩がここの飯が美味いけど絶対並ぶとか確か言ってて、こうやって本にもなったってニュースになったから気になっててん。これもお金主義への反発やろうと思って楽しみに予約して数週間して借りた本やね。

【貸出日・購入日・もらった日】
 2020/10/30貸出

【感想】
みんな頑張って働いてる~?
頑張るのってしんどいやんな?
でも、どうやら世の中には無理して頑張らんでもええ会社があるらしいで!


この本やねんけど、出版社の紹介文のとおり、京都の小さな飲食店で実際に起きた働き方改革です。

著者の中村さんは、飲食店勤務すらまともにしたことなかったらしいねん。
せやけど、夫の作るステーキ丼があまりにも絶品やったから、これを軸に起業したいとのことで、7年位前にお店をオープンしたらしいねんな。

ほんで、最初は閑古鳥やったらしいけど、SNSとかの口コミをきっかけに、爆発的な人気を得て、毎日100食が完売するようになったらしい。
まあ、表紙を開いたらそのステーキ丼の写真が掲載されてて、確かにこれなら絶対に旨い!とわかるやつやったわ。

せやけど、夜に営業してても、いつお客さんが来るかわからへんし、仕込の時間とかで、結局、店を閉めた後もしばらく残らんとあかんとかで、しんどいから、開店数年後には従業員第一を考えて、お昼のみにしたらしいわ。

ほんなら、お客さんもみんなレア度を感じて、ちゃんと昼に完売するようになってんてさ。
ほんで従業員も18時までには帰れるようになったらしいわ。
いや~、ほんまに凄いお店よね。

「自分がしたくないと感じる仕事は従業員にさせない」ってのが、判断軸にあるって素晴らしい。

売上至上主義でない企業やから、分類的にはソーシャルビジネスになるんやろうけど、「従業員が働きやすくなること」が、目的化してるって、ほかにあるんやろうかって感じ。

シフトに入っている従業員が多すぎて、逆にこんなに多くていいのかと心配されるほどらしいわ。

採用面接は、1回あたり1時間ぐらいかけてじっくりやるらしいねんけど、
◎決まった仕事をコツコツまじめにやれそうか
◎売上よりも最優先するほかの企業でも十分に活躍できる人でないか
◎他の従業員とウマは合いそうか
とかを判断するらしい。

そんで、集まった従業員は、結果的には、口下手な人、高齢者、難聴者、何十社受けても正社員になれなかったロストジェネレーション世代の人、外国人留学生、短時間だけ働きたい人とか様々らしいねんけど、メニューが少ないから誰でもすぐに仕事を覚えられて、戦力になってくれるねんて。
ほんで、先輩も余裕があるから、後輩にしっかり教えられるらしいわ。

こういった労働市場では生産性が無いとかで排除されがちな人々は、すごく優しい人が多いらしくて佰食屋では、是非とも欲しい人材になるらしいねん。

なんべんも言うけど、ほんまに凄いわ。
こういった人は経済的な弱者になって、社会からも不要と見なされて、最悪の場合、自殺やら他殺に向かうことがあるから、それを防いでいると思う。

そんで、従業員の自然な成長をきっかけに、新しい活躍の場を作りたいということで、新店舗を2つ(すき焼きと肉寿司)も出したそうです。

あと、お店で出している絶品お肉を社割で300円/100gで買えるのは正直、うらやましい(笑)

でも、決してお客さんをないがしろにしているわけではなくて、

◎売価に対する食材の原価率が驚異の50%越えのお値打ちの食事を提供
◎従業員の精神的な余裕が、お客さんをお金ではなく人として見れるようになり、個々に合わせたサービスを提供できるように
◎整理券方式で、ずっと並ばなくて良い

などなど、お客さんへも還元があるらしいねん。

ほんで、仕入れ先にも販売量が安定するっていうメリットがあるらしくて、時には値段以上の良いお肉を余った時に回してくれたりするらしいねんな。

それから、食材の廃棄も自然と少なくなるから、フードロスの削減で、環境負荷の軽減にもつながるというのまであるらしいねん。

いや、ほんまに、経済が回ってる感じします。
何かを捨てないと何かを得られないと言うけども、売上という大きな物を捨てることで、従業員・顧客・取引先全員を幸せにできたってのが素晴らしい。

一方、中村さん本人も、広報、人事、経理といった現場外の仕事を一手に引き受けているらしいねんけど、2児を育てながら、18時には自宅にいられる働き方とのことで、経営者も無理はしていないそうです。

とは言え、ピンチは訪れます
この本の第5章で大阪府北部地震と西日本豪雨の天災の影響で、50人しかお客さんが来なくなって毎月数百万円の赤字が出るようになったらしいねんな。

せやけど、逆に50食限定にして、損を減らして乗り切るってのが、売上にとらわれない柔軟な発想で素晴らしいと感じた。

そんで、50食限定なら京都よりも小さい街でもできそうやから、これを世に広めていきたいっていうことで、逆境をバネに新たな目標にしはったんが、また素晴らしい。

ほんで、この本以後の話やねんけど、新型コロナウイルスの感染症拡大の影響により、残念ながら、家賃が高い2店舗を苦渋の決断ながらも閉店されたそうです。

せやけど、この投稿でも仰られているとおり、コロナに負けない業態を作るという新しい目標に向けて、反撃をかけていくらしいから、ワイも応援していきたいわ。

とりあえず、こんど、ステーキ丼食べに行こ!!

ほなまた!

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