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ソーセージ4thアルバム『智』ライナーノーツ「03.TVブルース」

僕の所属するソーセージが新譜「智」を2021年9月11日に発表しました!


こちらで番外編コラムとして、自分が制作時に担当した曲についてのライナーノーツというか、思い入れや、エピソード、補足などを書いていこうということになりました♬

文:平野 壮


この記事はソーセージHPの特設ページにも掲載されます。「TVブルース」の歌詞はこちらから見れます♡

https://www.souseizi.com/songswisdom

今回は3曲目の「TVブルース」

この曲は僕が作詞と作曲両方を担当。

この曲を作り始める時にまず思ったのが、このコロナ禍で色々なことが世界中で吹き出してる状況の中、この混沌とした人の心に寄り添う、共感できるような一曲が作りたいと思い、そうなるとやっぱりキーワードは「ブルース」だろうなということになった。

もともと僕はブルースからギターを本格的に始めたんだけど、シンプルなブルースソングってのは楽曲としては安易に作ったように捉えられやすい側面もあって、意外に僕のオリジナルソングには少なかったりする。しかし今回は敢えて超シンプルなブルースソングを作ろうと決めた。

このステイホーム中に、電通が本社ビルを売ったという話や、NHKが映らないTVをこれからメーカーが売り出すかもしれないという話、視聴率の大幅な低迷、大手メディアの経営状態の悪化、大物芸能人やTVスタッフの不祥事や不倫、犯罪などの話がアチコチで吹き出しているのをインターネットで知った。

今、TVの中の世界はやたら混沌としている。

ザ・ベストテンやら夜のヒットスタジオやら、僕らが子供の頃憧れたTVという華々しいステージが、最近はどんどん陳腐なものになっていき、音楽番組と呼べるような番組ももうほとんどない。
人々がインターネットを見ている時間とTVを見ている時間の総数も、いまや完全に逆転されてしまっているのではないか。

これこそTVっ子だった僕らにとっては、まさに最大の「ブルース」なんじゃないかと思い、タイトルを「TVブルース」とした。

ちょうど知り合いから最近TVが壊れて、TVをまた新しく買うかどうか悩んでいるという話を聞いた。
確かに、今はまだほとんどの家にTVがあるけど、みんなが今あるTVが壊れたときに、また新しいTVを買うかどうかと想像すると、特に若い人ほど買わないという選択肢を取る人がたくさんいそうな気がする。

昔では考えられなかった話だ。

音楽で人気者になることが夢だった僕らにとって、あの大舞台だったTVというステージがどんどん廃れていくということは、自分の夢の世界がどんどん壊れていくことにも等しい。

ここには個人的にTVの中の人たちに向けての「叱咤激励」という意味も込めている。

この曲は「素晴らしいTVに戻って欲しい」という気持ちと「きっとそうはならないんだろうなぁ…」という諦めの気持ちの混じった、TV世代のブルースなのだ。




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