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風景のレシピ #59 “Watch”| nakaban

「旅と記憶」を主題に絵を描いている画家のnakabanさんが、風景画の制作過程をレシピ化するこころみです。序文はこちら



風景のレシピ #59 “Watch”

調理時間:1時間

材料:
薄暗い街角の空気:ひとつ
手:一本
スーツとシャツ:一揃え
腕時計:一本


1.職人となって腕時計をデザインし、組み立てる。
  文字盤、針、りゅうず、覆い、金属部分、ベルト…。


2.一晩寝かせておいた街角の空気を静かにひろげる。


3.時計を手首に巻き、その街角の雑踏に佇み、時を確かめる。


調理のコツ
*その時計をたずさえ旅をするように。


サファイアガラスに覆われた青い文字盤
曲がり角の向こうの気配
血のめぐりは内なる川
できあがり。クリックすると拡大して見られます。


◎プロフィール
nakaban (なかばん)
画家。絵画、書籍の装画、文章、映像作品、絵本を発表している。
新潮社『とんぼの本』や本屋「Title」のロゴマークを制作。
著作に『ダーラナのひ』(偕成社)『ことばの生まれる景色』(辻山良雄との共著、ナナロク社)『窓から見える世界の風』(福島あずさ著、創元社)など。
好きなことは果樹栽培、ポストカード収集、そしてもちろん絵を描くこと。
本を読むのが遅い。
広島市在住。www.nakaban.com

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