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風景のレシピ #57 “歩道橋”| nakaban

「旅と記憶」を主題に絵を描いている画家のnakabanさんが、風景画の制作過程をレシピ化するこころみです。序文はこちら



風景のレシピ #57 “歩道橋”

調理時間:5時間
 
材料:
歩道橋:ひとつ
古びた鉄の仕切り:一枚
線路:数本
電車:1、2編成
ビル街:適宜
樹木、雑草:適宜


1.季節や時間帯がよくわからない不思議な空間をひろげる。


2.空間の奥の方に歩道橋を渡す。
  歩道橋の下に線路を敷き、列車を並べる。
  鉄道の敷地の境界には古びた鉄の仕切りを立てる。
  工事の際に用いた仕切りをそのまま…という風に。


3.歩道橋の側面には何かの標識のようなものを掲示する。
  橋の上に実際に立ち、周囲の音に耳を澄ます。


4.向こう側には栄えたビル街をつくり、木を少々植える。
  できあがり。


調理のコツ
*歩道橋の上からでないと得られない都市の風景を思い浮かべる。


歩道橋に取り付けられた何かの標識
鉄の仕切りに伸びる蔓草
昼のような夜のようなビル街


できあがり。クリックすると拡大して見られます。


◎プロフィール
nakaban (なかばん)
画家。絵画、書籍の装画、文章、映像作品、絵本を発表している。
新潮社『とんぼの本』や本屋「Title」のロゴマークを制作。
著作に『ダーラナのひ』(偕成社)『ことばの生まれる景色』(辻山良雄との共著、ナナロク社)『窓から見える世界の風』(福島あずさ著、創元社)など。
好きなことは果樹栽培、ポストカード収集、そしてもちろん絵を描くこと。
本を読むのが遅い。
広島市在住。www.nakaban.com

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