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風景のレシピ #15 “捨てられたモノ”| nakaban

「旅と記憶」を主題に絵を描いている画家のnakabanさんが、風景画の制作過程をレシピ化するこころみです。序文はこちら



風景のレシピ #15 “捨てられたモノ”

調理時間:9時間

材料:
捨てられたもの(メイン):ひとつ
捨てられたもの(小惑星):適宜
建物の角:一角
弱い光:適宜
標識:ひとつ
鳩:1、2羽


1.建物の一角を切り取り、弱い光をふりかける。
  傷だらけの壁と地面に よく年月を染み込ませる。


2.捨てられたモノを置く。
  それは絵画、椅子、金管楽器等。
  誰かが再び拾い上げ、持ち帰ることもある。


3.小惑星のように小さなゴミもばら撒く。
  タバコの吸い殻、空き缶、ボタン、切符、トランプのカード等。


4.鳩を歩かせて、できあがり。


調理のコツ
*捨てられモノの発する不思議な存在感は、誰かの人生から切り離された時間の大きさに起因する。

散らばるごみが何かを主張する
これが最後の展覧会か
鳩は知っている
できあがり。クリックすると拡大して見られます。


◎プロフィール
nakaban (なかばん)
画家。絵画、書籍の装画、文章、映像作品、絵本を発表している。
新潮社『とんぼの本』や本屋「Title」のロゴマークを制作。
著作に『ダーラナのひ』(偕成社)『ことばの生まれる景色』(辻山良雄との共著、ナナロク社)『窓から見える世界の風』(福島あずさ著、創元社)など。
好きなことは果樹栽培、ポストカード収集、そしてもちろん絵を描くこと。
本を読むのが遅い。
広島市在住。www.nakaban.com

★「風景のレシピ」マガジンページはこちら
#1 “眠たい海辺の町”
#2 “石と流木のある部屋”
#3 “松林の散歩者”
#4 “夕景・手・オブジェ”
#5 “通り”
#6 “木立と川と蜃気楼の町”
#7 “Symmetria”
#8 “やさしい夕暮れ”
#9 “大きな駅”
#10  “夜想の海”
#11  “橋と暗い渓谷”
#12  “階段”
#13 ”霧深き日”
#14 ”忘れる広場”