中之島公園の蝉時雨

◆阪神梅田駅から近畿大学まで12キロ歩いて出勤した。御堂筋で淀屋橋へ。中之島公園を通り、天満橋から大阪城公園、長堀通りに出ると、あとはひたすら東に歩く。夏休みの週末なのに、人通りは少なく、中之島公園は閑散としていた。だが、暑い。クマゼミの大合唱があちこちから聞こえる。
◆<日陰を求めて木々の下に入ると、たちまち激しいセミしぐれが降ってきた。東京・九段の靖国神社。「あの日」を語るとき、必ずといっていいほど登場する炎暑とセミの声。57年が過ぎたきのうの靖国神社もそれだけは同じだった> 2002年の「終戦の日」翌日の毎日新聞1面コラム「余録」の書き出しだ。
◆あすから8月。この夏、クマゼミの鳴き声は昨年より激しく感じる。コロナ禍が続き、笑い合ったり、はしゃぎあったりがしにくくなった。人の話し声が消えた静けさの中、蝉時雨の記憶は強く残りそうだ。(2021/07/31記)