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カンボジアの『本』事情

カンボジア人は、本を読まない。
....とはいえ、仕方がない気もする。

なぜなら、カンボジアには本が”ない”からだ。

本が”ない”というのは、ちょっと大袈裟かもしれない。
とはいえ、日本と比べると、圧倒的に本が少ない。

何よりも、本屋がない。

「本屋」と名乗っているIBC(IBC Book Store)PBC(Peace Book Center)などの「本屋」もあるのだが、店に入っても本が売っていない。

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入ってすぐに並んでいるのは、文房具だけ。
上の方の階上がると、申し訳程度に本が並んでいる感じだ。

それ以外にも『Monument Books』や『紀伊國屋(AEON2号店内)』のような本屋もあるが、基本的には英語の本ばかり。

カンボジアの言語・クメール語の本はないのだ。

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カンボジア人にとって、『読書』は『勉強』とニアリーイコールだ。

学校の周りには、青空タイプの本屋が並び立っている。
本屋というより、教科書屋と言った方が正しいかもしれない。

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つまり、教科書以外の本が圧倒的に少ない。本を娯楽として読んだことがないカンボジア人も多いかもしれない。

「自国言語の本が少ないということは、アジア特有のことなのだろうか?」
そう思って、タイやベトナム、マレーシアやバングラディッシュなどを見て回っても、もう少しはある。

比べてみても、カンボジアは圧倒的に本が少ない。

確かにカンボジアはポルポト時代、知識人を虐殺しただけではなく、多くの書籍や資料の類も燃やしている。

カンボジアの悲惨の歴史が本を、カンボジアの文化から消しているのだろうか。

プノンペンのラッフルズホテルの横に、そんな悲劇から逃れた書籍や、クメール語で発行されている書籍など、基本的に全ての本が保管されている場所がある。

国立図書館だ。

そんなカンボジアの国立図書館に行ってきた。

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外観はかなり立派。
威厳ある風格に圧倒される。

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しかし、中に入ると思ったよりも広くはない。

私の地元の春日井市の図書館と比べると、ずっと狭い。
これが、一国の国立図書館だと思うと、ちょっと切なく感じる。

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しかし、その限られた空間の中でも、特に面積を閉めていたのが子供向けの絵本のコーナーだ。

カンボジアの絵本を発行しているのは、日本のような営利型の出版会社ではない。

フランス系のSiparや日系のシャンティボランティア会などの、国際NGOだ。共に、内戦が落ち着いていない40年近く昔から活動を行っている。

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非営利で、カンボジアの子どもたちに読書を通じて、『たくさんの物語』『言葉を知る喜び』『知らない世界』など、色々なことを知って貰うために絵本を発行しているのだ。

しかし、カンボジアも平和になってきて、NGOの活動も縮小傾向にある。

私はそんなカンボジアで、出版しようと思い国立図書館へやってきた!
どうやら、カンボジアの国立図書館でISBNコード(国際標準図書番号)が取得することができるらしい。

せっかく、今年6月息子のために作ったSDGsと世界遺産のキャラクターを使った『ありがとう絵本』。

以前Dinanさんにクメール語も翻訳してもらったので、ついでに英語にも翻訳して3カ国表記にしてレイアウトをし直している。

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自分で印刷して、ISBNコードを取得して、出版会見もカンボジアでやって、売るんじゃなくてカンボジアの教育機関に寄付しようと考えている。

「日本で絵本を出版しようかなー」、と思っても同じようにコストはかかりそうな上、読んでもらえる見込みもない。

なにせ、知名度もコネクションもないのだ。

どうせ絵本を作るのであれば、多くの人に読んで欲しいのがクリエーターの性。日本語で日本人に向けて絵本を作っても、ライバルが多すぎる。まさに、レッドオーシャンだ。

しかし、クメール語の本が多くないカンボジアにおいては、そのチャンスも広がるかもしれない。

僕はカンボジアで、絵本作家になろうと思う。

つづく。


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