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ゲームプロデューサーの仕事を2年やったので振り返りメモ

ゲームプロデューサーの仕事に就いて2年経過したのでまとめてみる。

※プロデューサーという仕事の定義も会社やプロジェクトによって異なると思うので、あくまでいちプロデューサー新兵の実体験まとめです。

ゲームプロデューサーになるまでの経歴

ゲームセンター店員(1社目、大企業)

ゲームプランナー(2社目、ベンチャー)

ゲームディレクター(2社目、ベンチャー)

ゲームディレクター(3社目、大企業子会社)

ゲームプロデューサー(4社目、ベンチャー)

我ながら小気味の良い転職テンポである。
いずれもプロジェクト一区切りのタイミングで転職しているため、いずれも円満退職…のはず(自分の中では)。

ゲームセンターではヤクザ紛いのモンスタークレーマーと週1ペースで対峙したり、未経験ゲームプランナー募集の誘い文句で入社したベンチャーでは2か月でチームリーダー兼ディレクター兼プランナーにさせられたり、プロデューサー業初となる現職では前任者が半年で飛んだりと、色々…本当に色々ありましたが、ずっとゲーム関連の仕事をしています。

ちなみにコンシューマー経験はありません。

ゲームプロデューサーになろうと思った経緯

理由は以下の2点。

①自分がクリエイティブよりもビジネスタイプの人間だと思ったから

②ゲーム内容に関する職域では「ゲームを売る」ことに直接コミットできないと思ったから

①については、プランナーやディレクターとして幾つかモバイルゲームの運営業務に携わる中で、一番面白いと思ったポイントが「面白いゲーム作り」よりも「売れるゲーム作り」だったからだ。

もちろんクリエイティブ、ビジネス問わず幅広く担当した(させられた)結果である(バランス調整、新規コンテンツ企画~設計、カードイラスト企画~発注、数値分析、運営スケジュール構築、チームマネジメントなど…, etc.)。

もっとも運営ゲームでユーザーに最適な状態を提供しようとすると、如何なるポジションであっても売上をはじめ各種数値を追いかけることになるのではあるが…。

何はともあれ、僕は「面白い」よりも「売れる」を突き詰める方が自分の性に合っていると思っている。

②については、ディレクターとしてゲーム運営をする中で、どれだけゲーム内容を改善しても、しっかり予算をかけて、広告宣伝を行い、ユーザーを流入させなければ、売上に繋がらないことに気づいたからだ。

要は「売れるゲーム作り」をするために、お金を管理する人、つまりプロデューサーなる必要があると考えた(とはいえプロデューサーになった今も、変わらず予算で頭を悩ませている…。それでも自分の権限内で、前向きな行動を選択できるというのは精神的に健全である)。

他にも、僕なんか比べ物にならないレベルで「面白いゲームを作る!」熱意に溢れている人が沢山いることに気づいたのも大きいかもしれない。

誤解なきように言っておくと、僕だって実際に手を動かすゲーム作り自体も楽しいし好きだ。ただ企画をするにしても、まず第一に「どうやったら売れるか?」思考な僕は、真の意味でのクリエイターにはなりきれないなと思ったのだ。

ゲームプロデューサーという仕事の振り返り

上述の背景を踏まえて、なんやかんや転職してパブリッシャーのプロデューサーになった

ざっくり会社単位の役務は、IP(版権)管理とプロモーションである(この辺りは身バレ防止のためにあえてぼかしている)。

で、端的にプロデューサー業務のポイントを挙げると、以下の3点である。

・ビジネスプランの構築(予算、売上、利益)
・組織構築(スタッフアサイン、役務整理)
・プロジェクトの円滑進行(自らの決定権によるコンフリクトの解消)

これより個別に説明していく。

【ビジネスプランの構築(予算、売上、利益)】
これは読んで字のごとく、儲かるプランを作ること。

会社から「来期はこれくらいの売上・利益が欲しい!」というミッションが与えられるので、達成に向けた年間計画を作成する。

アプリが運営フェーズに入っていれば、直近のデータを元にある程度の売上やユーザー数の予測はできるので、目標との乖離を埋めるための具体的なアクションプランを検討し、それを組み込むことでスケジュールが完成する。

年間>月間>週間>日間の粒度でも見れるように細かく分解し、それに合わせて都度進捗を確認、上手くいかなければプランを修整…ということを日夜繰り返す。

あえてお金の話ばかりを例に出したが、ゲームとしての面白さは当然重要である。売上向上を一つとっても、客単価上げたいのであれば、ユーザーがもっとお金を払っても良いと思うことをやらなければいけないからだ。

こんな感じで、目標売上を達成するために、ゲームの課題を洗い出し、課題解決のために何をするのかを決め、解決策実行のためのコストとそれに伴う売上と利益を見定め、会社から予算をもらう、という一連の流れが「ビジネスプランの構築」である。

当然一人ではできないので、開発運営会社のディレクターやマーケターなどスペシャリストと協力してプランをまとめる。

【組織構築(スタッフアサイン、役務整理)】
ビジネスプランを立てて会社から予算をゲットしたら次は人を集める。

何を、誰に、幾らで、いつまでに制作して欲しいかを整理し、依頼することで制作体制を構築する

ゲームはその性質上、システム、音楽、イラスト、シナリオなど複数の制作物で構成されるため、各パートの連動が不可欠かつ複雑である。だからこそ、各作業のゴールと意思決定機能の所在を明確にするなど、座組の調整が超重要

ここを「まぁ、なんとかなるだろ…」で疎かにすると、あとで地獄をみる。人の数だけ想いや思惑があるのだ。

余談になるが、人的リソースが有限である以上、スペシャリストに任せるべきではない雑用は自分でやってることが多い。例えば、生放送をする時の僕は完全にテレビADである。面倒なことは自分で処理することになる率高し。人欲しい。

【プロジェクトの円滑進行(自らの決定権によるコンフリクトの解消)】
上記2つの仕事でビジネスプランと制作体制が整った訳だが、このままスムーズに進むことはまずあり得ない。色々な人、会社が集まって制作するのだから、必ず衝突(コンフリクト)が発生する。

コンフリクトが発生したらプロデューサーの出番だ。なぜなら、プロデューサーは決定権を持っているからだ(=お金を出している人が一番偉いという理論)。

コンフリクト発生の主な理由だが、上下関係が明確ではない所で意見が食い違うためだと思っている。だからこそ、誰よりも決定権を持つプロデューサーが意思決定を行い、コンフリクトを解決し、プロジェクトの停滞を解消するのである。

僕は原則、ロジックありきでコンフリクトの解決に臨むが、人間は感情的だし、ロジックで割り切れる生物ではない。つまりプロデューサーは恨まれ、嫌われる。どれだけ強固な決定権を持っていたとしても、常に誰かの板挟みになるのがプロデューサーだ。本当に胃が痛い。

また決定権が自分にあるということは、「意思決定を止める=皆の仕事が止まる」という図式になるので、24時間365日いつでも即レスが仕事の最適解となる(辛い)。

まとめ

2年間プロデューサーを経験して何より思うのは、人間関係第一な仕事であるということ。

上述の通り、プロジェクトは人に依存しているので、プロジェクトを統括するプロデューサーも然りである。

結局のところ、プロデューサーにとって最も大事なことは、常に礼儀正しく、筋を通し、嘘をつかず、誠実な行動をすることだと思う。
精神論になってしまうが、これが最も難しく、最もプロジェクト進行に効果があるという結論に僕は行き着いている。

あと、人と仲良くなることも超重要
業務中の雑談とか、ランチとか、飲み会とか。僕はプロデューサーになって、飲み会絶対無駄派から飲み会絶対必要派に生まれ変わってしまった(飲み会自体はそこまで好きじゃないのに)。

結論、今のところ僕はプロデューサーの仕事が好きだ。
先述の通りビジネス思考が僕の性に合っているというのも大きいが、尊敬するクリエイターやスペシャリストが存分に力を発揮するための環境作りという仕事にやりがいを感じる。
特にみんなで儲けられた時は最高の気分だ。

僕の売上重視な思考に変わりはないが、この2年の経験を通じて組織作りが楽しくなってきたかもしれない。プロデューサーはもう少し腰を据えてやってみようと思う。

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