見出し画像

Vol.46:コミュニケーションが持つ3つの性質

※こちらの記事はニュースレターからの転記です。興味のある方はぜひ下記リンクから登録をお願いします!

『チームを整えるあれこれ』は、チーム作りに関する情報やノウハウを発信するニュースレターです。月曜の朝は、筆者が先週のチーム作りの現場で重要なポイントだと感じたことと、チームを整えるあれこれな観点で気になった記事を紹介します。


✨ 先週のチーム支援トピック

無人島で、自給自足で生きるのではないかぎり、ぼくたちには必要なものがあります。人と人とのコミュニケーションです。チーム活動で(もっと言うと、仕事全般でそうなのですが)、うまくいかないことの多くは、このコミュニケーションの問題から起こっていると感じています。

たとえば、発注側の尊大で支配的な態度。反対に受注側の卑屈で消極的な態度。ぎくしゃくしてしまい、健全な仕事の組み立てができないケース。あるいは、自分が良いと思うやり方以外は認めないが、そのやり方は部下が考えるべきという態度の上司。それに対し、自分の考えがなく、ムダにやり直しをし続ける部下。こうした、価値を生まないコミュニケーションは、何の役にも立たない仕事をうみだし続けます。

こうした問題を変えていく第一歩として、コミュニケーションが持つ3つの性質を知る必要があると考えています。

コミュニケーションの勾配

ひとつめ、コミュニケーションには勾配があるということ。上記の例のように、会社的・社会的な地位の差によって、上下関係ができてしまうことがあります。プロセス指向心理学の提唱者である、アーノルド・ミンデルが定義した「ランク」という概念です(もう少し詳しく過去のポストで説明しています)。

また、自己表現のスタイルによっても似たような状況がうまれます。「アサーション」というコミュニケーションの考え方では、自分を尊重し、相手のことはどうでもよいという言動を攻撃的自己表現といいます。反対に、相手を尊重し、自分のことを後回しにする言動を非主張的自己表現といいます。攻撃的な自己主張をする人は、非主張的な自己表現をする人に命令ばかりしてしまう。非主張的な人は、自分や家族を含めたまわりの人をないがしろにしてまでその命令を優先してしまう。そんな悪循環を見たり聞いたことのある方が多いのではないでしょうか。

どちらにせよ、自分の立場からだけ見ていると、コミュニケーションの全体像は見えてはきません。自分は上位の立場を利用して要望を相手に押し込んでいないか。自分は相手だけでなく、自分を大切にした主張ができているのか。もう少し広い視点が必要なのです。

ポジティブさでうまくいく

ふたつめは、ポジティブなコミュニケーションのほうがうまくいくということ。これは、夫婦の関係性でもそうですし、仕事のパフォーマンスにおいてもそうです。おおよそ、ネガティブさよりポジティブさが5倍ほどあると成功する確率があがる。そんな研究結果があります。「部下は叱らなければならない」という上司の方はたくさんいるでしょうが、それだけではダメということです。

これは、ぼくの解釈なのですが、このような結果になるのは、仕事が基本的にポジティブなものであることが理由ではないでしょうか。何かを作る、誰かを助ける、そのために仕事をする。仕事はポジティブなもののはずなのに、言葉や態度でネガティブさを伝えてしまうと、仕事が本来持つポジティブさが伝わらない。なので、ポジティブさをたくさん出すと、上手く伝わる。そういう、メラビアンの法則のようなことだと思います。

■ プロセス作りが必要

いろいろな視点が仕事には必要です。現代の仕事は複雑なものが多いです。多様性が大事とよく言われるようになりましたが、それは、複雑な問題に対応するためです。考え方や背景の違う人が集まり、それぞれの持つ情報や視点を合わせていくことで、問題解決の可能性を上げていきます。

ここで大事になってくるのが、みっつめ、みんなの意見がしっかりと出るプロセス作り必要ということです。多様性のある集団でも、話し合いに一部の人しか関与しないのであれば、それは多様性があるとはいえません。関与とは、話し合いへの出席だけでなく、自分の意見が言えるかどうかも含まれます。支配的なリーダーのもと、反論が許されない雰囲気では、多様な視点は得られないでしょう。

誰もが意見を出しやすいプロセス作りが大切です。ワークショップでよく見かける、付箋に意見を書くのもひとつの手です。古典的なファシリテーションの技法では、「悪魔の代弁者」という、反対意見を言う役を立てる方法、「シックスハット」という、6つの視点からテーマを考える方法がそれにあたるでしょう。リーダーが席を外す、無記名で意見を募るなど、様々な方法が考えられますね。

コミュニケーションの問題は、もっとも表面化しやすく、もっとも解決が難しい問題のひとつです。それゆえ、良いコミュニケーションは良いチームへの近道です。まずは、こうした話をチームでしてみるとよいかもしれません。

📝 気になった記事紹介

生産性上がっていますか(3) メルカリ、在宅でチーム力 https://www.nikkei.com/article/DGKKZO80269660Y2A210C2FFV000/

リモートワークが増えているからこそ、生産性が上がる時間帯や家庭や体調で知らせたいことなどを共有する「チームコミュニケーションワーク」がチーム作りの大切な要素になる。

GitLabで学んだ最高の働き方 https://learn.gitlab.com/c/gitlab-presentation-developers-summit?x=JBqxmQ

世界最大のAll-remote企業での働き方を紹介した資料。同期と非同期のコミュニケーションがしっかりとされており、すごい。

【JSA規格】「JSA-S1013 スマートワーク-テレワークを含む働き方改革のための指針」を開発・発行 https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000114.000004052.html

テレワークなどの新しい働き方を導入する際に、組織が実施することが望ましい事項を標準化したものとのこと(中身が気になるが5000円か…)。

意思決定を正確に行なうために意識すべき2つのポイント https://www.lifehacker.jp/article/2202-how-to-make-tough-decisions-when-things-feel-especially-uncertain/

意思決定を「活用」と「模索」に分けて考えるアプローチは良さそうだ。プレッシャー下では、今まで通りの「活用」の意思決定をしがちなので、余裕のあるときに他の選択肢を試す、情報を集めることをしていきたい。

ストレスを生まないSlackのコツ https://tech.pepabo.com/2022/02/22/friendly-slack-world/

メールも然り、テキストでのコミュニケーションでよくある、いまいちなコミュニケーションの例と、その対処法が紹介されている。どう書けば相手が動きやすく、気持ちよいコミュニケーションできるかを意識するべし。

🍵 編集後記

最近、今回のトピック内で触れた「アサーション」を知りました(もしかして有名な考え方?)。この考え方を誰もが持てれば、いろいろな仕事がスムーズにいくのではと感じています。コミュニケーションにからめ、人の感情も大事です。このあたりも探求をしていくと、よりチーム作りに役立つのではと思っています。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?