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「訪問診療」と「往診」の違い

家庭医ギータです。

今日は在宅医療の話題です。

1週間後に「在宅医療専門医」という資格を取るための筆記試験があります。このご時世なので、web開催です。

という訳で、資格と在宅の話題を取り上げてみます。

1) ギータ持っている資格は?

私たち、医師は何らかの専門医を取得して学会などからお墨付きをもらった上で診療を行っています。

後期研修の同期だった、超優秀なY君は「俺には資格なんて必要ない」と言って実際、資格は何も持っていませんでしたが、超レアケースです
(彼は実際、優秀だったので、資格なくても生きていけるはず)。

ギータは「家庭医療専門医」という資格を持っています。日本プライマリ・ケア連合学会が運営する制度に基づいた資格です。

紆余曲折があり、現在は「新・家庭医療専門医」となっており、ギータのは「旧・家庭医療専門医」です。

2) なぜ在宅医療専門医をとるのか?

「家庭医療専門医をもっていて、在宅医療専門医をとる意味があるの❓」

というツッコミが同期や自らの内側からもしょっちゅう入ります。

在宅医療は専門医がなくてもできるし、実際に在宅医療に従事する医師の半分以上はこの資格はもっていないはずです。

ギータがこの資格をとる理由は以下の3つ挙げられます。

①枠組みがあった方が勉強のモチベーションになる
②後輩たちが専門医をとる際に必要(専門医と指導医資格が)
③とれるものはとっておく

①枠組み

自学自習には限界があり、枠組みがあった方が怠惰な自分は勉強できます。

「自分が経験した症例を振り返り、反省点があれば次につなげる」というのがいい医師になるために必須です。これを後押ししてくれるのが、専門医制度をとる過程で提出する「ポートフォリオ」という症例報告です。

これは家庭医療専門医を取得する際に18作品、在宅医療専門医は15作品を提出しました。作る際には経験した症例を振り返って、文献を調べて考察を加えます。これがとても勉強になりました。

②後輩たちが専門医をとる際に必要(専門医と指導医資格が)

これは言い訳めいていますが、今後、沖縄で家庭医・総合診療医を育てる時に、指導医である自分が資格をもっていないと、後輩たちに資格をとらせてあげることができません。……自分で言っていて、これは建前のような気もいたします。

③とれるものはとっておく

③は理由になってないとお叱りを受けそうです。

実際、前の職場のボスに勧められて、1年間で取得できるということが魅力的でした。

ちなみに、医師の業界では博士号が「足の裏の米粒」に例えられます。

ギータはこれらの資格に加えて、「緩和ケア専門医」まで取得を考えて目下、修業中です。北海道で働く同期のA先生には「資格ハンターだねwww」と皮肉を言われました。

たしかに、資格があっても、実際の仕事ぶりがお粗末だと、かっこ悪いですよね……。このnoteを書いているのも、毎日、勉強して、「ヤブ医者・ギータ」とならないためなのです。

3) 本題:「訪問診療」と「往診」の違いは?

前置きが長すぎました。

医師が患者さんの家や施設に行くことを、皆さんはなんと呼ぶでしょうか?

「訪問診療」「在宅医療」「往診」など呼び方は色々です。

一般的には、医師が自宅にきて診察することを「往診」と呼ぶ方がなじみがあるのでないでしょうか。

しかし、保険診療では「訪問診療」と「往診」は明確に区別されています。

訪問診療
 「2週に1回」など、患者の状態を計画的に管理するために定期的に診療することです。
往診
 急な病状変化があり、患者さんや家族が医師に依頼して、医師が必要だと判断して患者宅を訪問すること

とはいえ、話が通じればよいので、現場では患者さんやご家族に説明する時には「ギータが往診に行きますから安心してくださいね!」と満面の笑顔でお伝えすることもあります。

こちらに訪問診療と往診の呼称の変遷が書かれています。

自分もそうでしたが、医学生や初期研修医だと上記を理解せずに話をしていて、混乱することがあります。この際、サラリと上記を説明しています。

4) まとめ

在宅医療専門医の試験勉強内容をシェアする予定が、小ネタで終わってしまいました……。

また明日から1週間、頑張っていきましょう❗

闘いはつづく。

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