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キックのすゝめ

『キック考察部屋』と題しまして過去7回にわたって、僕を含む4名でキック全般について討論してきました。

この記事の製作期間はなんと2か月…

Instagramにてメンバーを募集してはや2か月が経過しました。

毎週のように集まり討論していきましたが、当初は僕自身のアウトプットの場かなと感じていました。
ですが、回を深めるごとに皆の意見が活発になってきました。
それにより僕自身も本当に多くのことをインプットすることができました。


〇はじめに

「キックとは」を調べると、もちろん

球を蹴(け)ること

と出てきます。

僕自身これまで疑問に思うことがありました。

ラグビー = Rugby Football ≒ フットボール

ラグビーとフットボールがニアリーイコールだということが言えると思います。
にもかかわらずラグビーの試合の中で『キック』が使われる割合から考えると、フットボール的要素は?と思うことがあります。

これまでのラグビーの歴史からもキックは大切だ!という方は多くいますが、本当にそうなのでしょうか?

みなさまはどれほどキックを重要視することができているのでしょうか。

ということで、本記事はキックについて興味・関心を持っていただくだけでなく、キックを使うメリットやデメリットについて一緒に考えいただきたいと思っています。

最終的にはラグビーにはキックが必要不可欠だ!
と言い切ってほしいなとおもいます。



その前にまたしても疑問があります。

小中学生や高校生、大学生にも多くみられる現象ですが、

「僕キックが苦手なんです…」

「どうすればキックがうまくなりますか?」

という質問が本当に多く僕のもとに届きます。

果たしてキックを蹴ることができるとはいったいどういう事なのでしょうか。
まずそこから考えていきたいと思います。


現在日本ではキックの専門コーチとして全国的に活動されている君島良夫さん(@Yosh_10)からの教えなども織り込みながら考えていきます!



〇キックが蹴れるとは?

まずそれぞれにキックが蹴れることの定義を問いかけてみました。

◯岸岡
・飛距離に依存することなく意図した場所に意図した種類のキックを蹴ることができること。
→人の能力を指す
◯津田さん
・ラン、パスと同じようにプレー選択の1つであること。
・ゲーム支配をするための1つの手段。心理戦でも優位に立つことができる。
→キックを蹴ることとはを指す
◯なおやくん
・キックの概念を理解し、使い分けができ、明確な意図を持って蹴れる。
・キック時において、周りの選手との意思疎通ができる←自分の勝手な思いつきの範囲でしか蹴れないのは蹴れているとは言えないのか?
→キックを蹴れる人とは?を指す

ここで面白い意見があることがわかりました。
また、キックが蹴れる人に対する定義が曖昧過ぎることも見えてきました。


〇プロキックコーチ君島さんから学ぶキックが使える(蹴れる)とは

~現状~
飛距離が出せる人が蹴れる人
飛ばない人が蹴れない人

では飛距離を出せるとは何メートル飛ばせばよいのでしょうか。。。

50m飛ぶ必要あるの?
と素朴な疑問が僕にはありました。

22mからの脱出なら28m(30m)蹴れればハーフウェイまで戻せるし、18m(20m)蹴れれば自陣10mまで戻せるよなぁ…

これがキッカー目線の心の声です。

以前にこんなアンケートしてみました。
これからわかることはおそらくキッカーとその他の選手で感じ方や考え方は異なるということ。

これに対してプロキックコーチの君島さんが詳しく説明してくれました。

いかがですか?

皆さまが思っていることや感じていることとおなじだったでしょうか?
もちろんチームによって戦術が異なるので考え方は変わってくるとは思いますが、あくまで一般的な回答として参考にしてみてください。

また、こう見れば自分がキックを蹴るのにどのくらいの飛距離が求められているのかがわかってくるはずです。



〇キックの常識を変えよう!!

まず上述した内容にもでてきますが、キックを蹴るにあたっては飛距離よりも大切なことがあります。

それは

飛距離 < コントロール

ということです。

これは本当に大切なことなので絶対に覚えておいてください。



ここでなぜこの考えに至ったのかを考えてみました。

その答えは、「普及しやすい&実践的」だからでした。

30mしか蹴れなくても精度を高めれば武器になる。
→みんな蹴れるけど使えないという事実に直面

Q. どうすれば使えるの? なぜ使えないの?
A. 練習で使えていない。
そのシチュエーションがない。
キックを使えないシチュエーションの練習が多い。
~改善策~
・練習で使える場面を増やす(指導者側の責任)
・キックに対するネガティブワードを減らす
・キックのメリット、デメリット、概念を理解する(大前提)


●次にキックを蹴ることができるためのプロセスを考えてみた!

1.みんな蹴れるというマインドへ変化(仮定)
2.一定の人しか使えていない現実
3.この現実(蹴れると気づいた人が実際のプレー中にキックを使うようになる)には何が必要?

以上の3stepの中の3番に着目。
どのようにすればよいのかそれぞれの意見を出してみました。


○岸岡
・戦術の1つにしてしまうこと
○津田さん
・練習内容の変化:ポジションに関係なく全員がキックの練習をする
(パスやタックルは全員でやっている)
・マインド変化を認める環境づくり
○なおやくん
・指導者がキックに関してのある程度扱えるようにする。
・チームの全体練習に取り入れる→ポジション・種類ごとに優先度がある
・ゲームライクな練習の中でのキックに寛容になる。
○教仙さん
・日々の練習やトレーニングの一つとして取り入れていく。個人練習やユニット時にしか行われていない。もしくは特定の人物のみ練習(自主的)に行っているので。
・キックをは一つのスキル。コーチもレクチャーできるようになる。学ぶ場を増やすまたは提供する。
・試合のreviewのなかで「キック」に関した取り上げの充実。
→一つの戦術として「ここはキックでも、この場面のキックは、、」など取り入れる


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〇プチまとめ

○マインド面の変化
マインド変化を起こし、個人単位でキックについての認識の変化を促すと同時にチーム単位でキックに寛容な環境づくりことが大切である。
〇練習・試合的な取り入れ
普段行うことの少ないキックの練習をポジション単位だけではなくチーム単位で行うことを取り入れてみる。

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〇なぜキックを蹴っていますか?
~みんなが考えるメリット・デメリット~

●メリット
・タイムマネジメントができる(意図的にゲームを切れる)
・相手を下げることができる(前に進める、さらに再獲得を狙うことができる、相手を背走させることができる←エリアマネジメント、精神的な部分)
・得点チャンスを作り出しやすい、裏のスペースを奪うことができる(裏に出ることができる)
・意図的なアンストラクチャーを作り出せる。相手の陣形を崩すことができる
・試合を優位に組み立てることができる。ゲームコントロールができる
・DFに選択肢を絞らせないことができる、DFの圧力を弱めることができる。ディフェンスの出足を止める。DFの出だしを緩めることができる
→現代のラグビーにあっているのか?指導者側のエゴ?

ラグビーは陣取り合戦 → キックが必要!!

1年前に書いた記事の中にこの陣取り合戦の話がでてくるので合わせ的になる方はみてみてください!


●デメリット
・ボール保持権を放棄する
・反則が起きやすい(High ball関係)
・ギャンブル性の要素もある(プレーに意図がないとギャンブル性が強くなる)
・ピンチとチャンスが紙一重
・苦手意識が付きやすい(取得したという自覚が持ちにくいスキル、成功基準が可視化できない)
・スキル不足に陥りやすい(その規準ってなに?)

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先日Twitter、Instagramを用いて「キックのデメリットとは?」と質問をしたところ驚くべき回答が見受けられた。

それはメリットでは考えられないほどの共通認識でした。

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このコメント一覧を見ていただければお分かりだと思いますが、ほとんどの方が
・ボールを手放してしまう→攻撃権の放棄
・その後カウンターをお見舞いされる

の2択でした。

これは本当に奇妙なことです。

日本ラグビー界は良くも悪くも自分自身が所属するチームの指導者の色が濃くなってしまいます。
なので、ラグビー本来のセオリーは各チームには関係なくそれぞれの文化にちなんだ指導がなされているため全国的にみると、考えが一致する可能性は極めて低いと言えます。

にもかかわらず、この「キックのデメリット」という分野に関しては全国のラガーマン、ラガールが共通認識を持っていたのです。
正直に僕はこの回答を見た瞬間びっくりしました。
メリット&デメリットは対になるはずのものですが、メリットとデメリットの数がこの場合は比例していません。
この興味深い現象をもっと深堀したいですが、少し脱線してしまうのでこの辺にしておきます…



ということで話を戻しますと、、、

メリット&デメリットをそれぞれ箇条書きにさせていただきましたが、その中で「ん?」と感じるところはありませんでしたか?

以下の項目がそれにあたるはずです。

・DFに選択肢を絞らせないことができる、DFの圧力を弱めることができる。ディフェンスの出足を止める。DFの出だしを緩めることができる
→現代のラグビーにあっているのか?指導者側のエゴ?

→これもメリットの中でよく聞くフレーズです。
ですが、少し疑問があります。
この話は理想論というべきなのか、言わるれと「確かに、、」と思う事ではありますが、DF側の立場になってみると思うことがあります。
「本当に一度蹴られたからといって出足を緩めますか?」
という疑問です。
この疑問に対し、我々が導き出した答えは「現代ラグビーにはあてはまらない少し前のラグビーのために指導者が作った指導要領なのでは?」という事でした。
この論争も脱線してしまうのでこのあたりにしますがとても興味深い話なので是非考えてみていただければと思います。

次にデメリットの中にでてきた一文。

・苦手意識が付きやすい(取得したという自覚が持ちにくいスキル、成功基準が可視化できない)
・スキル不足に陥りやすい(その規準ってなに?)

→キックに対して苦手意識を持っている人は本当に多くいます。
なぜかというと、うまい人とへたくそな人の可視化が難しからだと考えました。
その他のスキルにも同じことが言えますが、15人全員が必要不可欠なスキルではない中だからこそ、その基準値(ハードル)が高くなってしまったのではないでしょうか?
誰もが必要なスキルではなく、チームで一番うまい選手が蹴ればよいという状況が生まれやすいこともこの背因だと思います。

余談にはなりますが、チームで一番うまい選手が蹴ればよいというだけを考えると、タッチキックの選手を増やすチームがでてきても面白いなと思ったりします。
ゴールキックを短長に分けて蹴るチームをみたことはありますが、ペナルティ後のタッチキックをエリアや、短長、精度に分けて蹴り分けるチームがあっても良いなと思ったりします。  



ということで、キックにおけるメリット&デメリットをぼくたちが考えた項目として取り上げさせていただきました。
いかがでしたか?

本当はもっと多くのメリット&デメリットがあるのかもしれません。
このほかに思い付く方は是非コメント欄にて教えていただきたいなと思います!


ということでここからが本題です。
このメリット&デメリットを考えていただいたところでキックの種類とその特徴、実際にどういった場面で使えばよいのかなどご紹介します!



〇キックの種類とその特徴

・ロング(スクリュー、パント)
・ハイパント
・グラバー
・チップ
・ドロップ

ゴールキックを除くオンプレー中に使われるキックを分類すると上記のようになります。

ここでそれぞれの特徴とそのメリット、デメリットについて考えていきます。


●ロングキック(スクリュー、パント)

ロングキックとは…長く蹴るキックのことです
その蹴り方は2種類あり、スクリューキックと呼ばれるキックはボールの腹に力を加えパス同様の回転を加えたものと、パントキックと呼ばれる縦回転のキック(現代の主流のキック)があります。

この2種類を様々な面から比較してきます。
・飛距離 ⇨ スクリュー > パント
・精度 ⇨ パント > スクリュー
・キャッチのしづらさ ⇨ スクリュー > パント (落下点の予測のしやすさ)
・習得の難易度 ⇨ スクリュー > パント
・風の影響の受けやすさ

キックにおいて風の影響はかなり大切なので考えてみてください!

まとめ
ハイリスクハイリターンはスクリュー
ローリスクローリターンのパント
→ローリスクハイリターンにちかいのはどっち?
 ローリスクハイリターンにするためにはどうすればよいのか?
→使い分けとしては個人、チームによりけりのため自分の判断が必要



●ハイパント

ハイパントとは…高く蹴るキックのことです。

・最も再獲得率の高いキック
⇨競るorカウンターラックを蹴った側の選択権利として与えられる
・100%エリア獲得に繋がる(20~25、3~4秒)→下記note記事参考
⇨基本的にハイパントの落下地点=ラック形成場所となるので、その分前に進んだ距離がエリア獲得に成功した距離といえます。
・ペナルティ
⇨空中戦がおこなわれるので反則が起こりやすし&イェローカードなどの重い罰則に繋がるかねない
・意図的にアンストラクチャーを作り出せる
⇨蹴られる側の方が不利となるシチュエーションを作り出せる

以前こんな記事を書いたので是非参考にしてみてください!

ということでハイパントは2019ラグビーワールドカップ日本大会で数多くみられたキックの一つです。
これを使いこなせるチームは強いと断言できると思います。

そんなキックについてもっともメリットと僕が感じるのは再獲得率の高さです。
上述したキックはボールの保持権を手放す行為にも関わらず唯一といってよいほど、再獲得できる手段になります。
これは絶対に忘れてはいけないことですね!



●グラバーキック

グラバーキックとは…通称ゴロキックと呼ばれるもので、英語では「grabber」と表記します。

メリット
・ダイレクトタッチにならない
・風の影響を受けない
・パスモーションから行える(チャージされにくい、上<下)
・予測されにくい(アタックのオプションとして)→Attacking kick
・種類が多い(右、真ん中、左、)
・利き足でない方も練習しやすい
・意図的にバウンドをコントロールできる
・DFがいても蹴ることができる
・長短あり
デメリット
・雨の影響を受ける
・グラウンドの影響を受ける
⇨バウンドすることを大前提に行うキックなので、グラウンドの凸凹度合いであったり、雨で滑ってしまうなどによりコントロールできない場合がある。

このメリット・デメリットを見ていただければわかりますが、このキックは練習をして損することは絶対にありません。
これはキックを蹴るべきポジションだけでなく15人全員に共通して言えることになります。
このあとでてきますが、今のラグビーの中でトライチャンスに最も繋がりやすいキックなので本当におススメなキックの種類です!

また、こちらは今回一緒に考えていただいた津田さんがyoutubeにこのグラバーキックについて動画を載せてくださっているので是非みてみてください!

とにかくコントロールしやすい!



・チップキック

チップキックとは…相手の頭上を越えるために使うショートパントのことです

メリット
・相手の出足が早いDFに対しての仕掛けることができる
⇨DFラインがシャロー、2列目のDFが薄い、FBが深い/外めな時に使えるオプション
・再獲得を狙っているもの
・自分自身がボールにエントリーするもの
⇨自分本意で蹴ることができる
・得点or失点につながるプレー
・グラバーは、もしかすると相手の足に当たる可能性があるけど、チップは、間合いさえ間違わなければ裏を取れるという利点もある
・走りながら、動きの中でのプレーとして使える
デメリット
・ミスした時、士気はdown
⇨そのかわり、成功しても特になし
・日本人には向かない?(練習でミスした時はとんでもなく怒られる)
・0/100(50)のプレー→問題提起(国民性)

ここで問題提起と書かせていただきましたが、0か100のがこのチップキックかなと感じています。
成功してもその個人がほめたたえられますが、チームとしてよかったかというと必ずしもそうではありません。
なので、「ナイス」と一言だけの声掛けで終わる部分がほとんどです。
それにかわりミスをした場合はとんでもなく怒られます。
その雰囲気もよくないことではあるのかもしれませんが、日本人としては団体競技のラグビーの中で個人プレーをすることを良しとしない傾向があるのでは?と僕は感じています。
だからこそ、14人でつないだボールを軽く手放してしまうように見えるこのチップキックを個人の判断によって使うとその他の14人は納得できないことが多いのだと思います。
ということもあり国民性を考えて日本人に向かないスキルなのでは?と感じます。
ですが、これも個人のスキルに依存しますし、形勢逆転を可能にすることができるオプションであることに違いはありません!

・チャンスでありピンチである
⇨ハイリスクハイリターン

ということを理解した上で実践してみてください!



・ドロップキック(K.O.ver)

これは試合の中で必ず1回以上行われるプレーです。

ドロップキックとは
1度地面にバウンドさせてから蹴るキックのこと
⇨主に試合の前後半の開始に用いられる

キックオフで使われるこのキックは本当に使い道が多いものになってきます。

メリット
・右・左・真ん中の使い方(浅い、深い)
・100%敵陣でプレーを開始できるプレー

グラウンド中央から敵陣めがけて蹴ることを除けば、左右だちらでもよいですし、ボールの高さ、軌道は自由になります。
こんなにも自由な選択しがあることに気づいていない人が多いなと感じます。

また、唯一100%が起こるプレーです。
その100%とは、必ず敵陣の入ることができるという点です。
ラグビーの中でエリア(陣地)はとても大切になってきます。
そのエリアを考えると、必ず敵陣に入ることができるというプレーはこれ以外にありません。
ということはこのプレーが試合の中で非常に重要だということを表しています。

キックオフに関してはこの記事を参考にしてみてください!

キックオフについて考えていると少し疑問が浮かびました。
Q. 試合の最後ビハインドのKOでなぜ真ん中転がすのか?
A. 一番相手のプレッシャーを受けない場所だから

というのが僕の考えです。
ボールを獲得するために割く人員も最小限でいいですし、なによりグラウンド中央でボールを再獲得することができる可能性があるので、その後の展開を優位に運びやすくなるということも関連していると考えることができます。



 
・ドロップゴール

唯一の得点になるプレー中のキック

こう書くとなかなかなんのことかイメージすることが難しいですが、ラグビーには得点方法が複数個存在します。
その中で唯一といえるプレーだと僕は考えています。

メリット
・英雄になれる
・外しても、ほぼ敵陣でマイボールで再開できる(ルール的に)

正直英雄になるためにこのスキルを磨く必要はありません。
ですが、このスキルを磨けば結果的に英雄になることができます。
2つ目のルール的な理解がとても必要になります。

記事にもなっていますが、なぜルール的にメリットになるのかを考えるとラグビーIQは格段に高まると思います!

デメリット
・むずかしい
・判断が難しい
・練習ではするのに試合では使えない(使わない)
・試合と練習がリンクしていない
・オプションの1つになりきれていない

やはりキックのオプションの一つになりきれていないという現状はどの年代に行っても感じます。
パス、キック、ランという選択肢は持てていても「ドロップゴールはさすがに…」という意見は多いのではないでしょうか。
それは単に練習不足にほかなりません。
しっかりと練習を行いスキルを高めることができれば、試合使うことが出来ます。
試合で使えるスキルを修得するために試合を想定してキックを練習する必要がありますね。



〇BetterからBestに
~キックに磨きをかけよう~

ここまで読み進めていただき本当にありがとうございます。
かなりキックに対する印象と考え方が変わったのではないでしょうか。

最後に実際にキックが用いられている映像をもとに話を進めていきたいと思います。

5つの映像からの評価を書きの軸に沿って行っていきます。

映像の評価軸
・good or bad (best optionは?)
・なぜgoodなのか?
・optionの背景を踏まえてbest optionになるには?


●1つ目

・No.8のキック(トンガ代表、朝日大学)

投稿の3つ目です!

これはグラバーキックですね!
FWからのキックという事でDF側も想定していなかったでしょう。
そういった駆け引きがこのトライを生んでいます。

・good(WTBからのコミュニケーションがあって蹴ることができればbest)
なぜ→FBが孤立しコーナーにスペースがあったため
なぜ→たとえFBが確保しても、チェイスに人数をかけており、ターンオーバーをするための整備ができているため
背景→⑧がキックをすることが好きだったのかもしれない
背景→LOに自信があった?タッチに出るor蹴り出された後のことまで考えることができていた?
スクラムを組んだ時点でオプションとしてキックがあった

応用としては1331、1322のエッジポッドで使える
⇨現代のラグビーの中でタッチから15mエリア内にBack Row(FL,No.8)がこの位置でボールを持った際に同様の現象が起こる可能性が高い)


●2つ目

・第96回花園 決勝 東福岡 vs 東海大仰星

前半3:58~のシーン

・good
ATが継続していたが、横の動きが多くなっていた際に、前に出す(裏のスペースを獲得する)為にキックを選択
・もう少しコンテストできる位置に落とせるとよかった
試合開始直後だった為、エリアの獲得やリセットの意味も含まれている可能性あり
・外とのコミュニケーションが取れて入れれば・・best option

bestオプションになるにはキッカーの判断ではなく、キッカーに外側の選手が「蹴らせる」ということができることことを是非求めたい。
その延長線として裏のスペースの獲得・攻略を考えるのであればこのphase以外に選択肢はなかったのでしょうか?
そういった点でも試合を観ていただきたいです!


●3つ目

・Blues vs Chiefs

動画内2:37~50

・good(bestはわかりません…)
・ハーフタイムのフォーンが聞こえたのはラインアウトが開始されてからのため、リスク(ケガや失点)を解消できている。
・おそらく前半が終わるまでのラストワンプレーということが頭にあったはず。その中で蹴り出した本人はボール確保のためにポイント作り要因だったはずだが、試合を中断させるためのオプションを持っていた。

少し無理やりbest optionを考えるのであれば、裏のSOから蹴る方が確実ではないのだろうか?
おそらくラインアウトのオーバーボールやこぼれ球をケアしているポジションに立っているのでその選手に預ければもっと確実に前半を終えることができたはず。
もっともっとを言えばSHから蹴り出すことも可能なはず。
これ以上は控えておきます。


●4つ目

・第95回 花園 準決勝 東海大仰星 vs 京都成章

〇scene1(前半25:05~)
・good(bestはポイントを作らずに展開したかった)
・大外にボールを運びたかったが、センター12番で捕まってしまったため、DFのWTBがキックケアで下がり始めたところ、13番から蹴ることによってDF(特にWTB)の足を前のめりにすることができ、DF15番を孤立させることに成功した。
・ターンオーバー後なので、スペースにボールを運ぼうとしていたが、できず…
この場合リカバリーする意味でキックを選択しており、その点に関してはBest!だが、チームとしてはチャンスのあったスペースにボールを運びたかった。
〇scene2(前半28:50~)
・best
・利き足と反対の足でキックを選択できていること
 グラバーキックという種類の選択
 キックの精度
・DFが流しているので右足で蹴るとチャージに合う可能性が高い中、左足を選択している。
DFのWTBが少し上がろうと姿勢が前傾になっていることを鑑みて、外側に転がるような回転をかけたキックをけることができている。そのためノックオンを誘うことに繋がっている。

このシーンは申し分のない100点のキックです。
これをスタンダードにし、利き足でない方の足でもキックが蹴られるようになる人が増えてほしいです。
ちなみにこのシーンで、利き足の右足で同種のキックを選択した場合100%チャージにあっています。


●5つ目

・第99回 花園 朝明 vs 御所実業

動画内5:41~

・good
落とす場所が良い!
・キックカウンターからの二次攻撃(一次攻撃でゲインし内側に人が集まっている)で外に人が余っていて、尚且つ裏が空いている+一応10シェイプのフロントドアからのキック
・同じ場所にグラバーで蹴れたらベスト
+αとして
蹴った後の下がり方みても蹴ることが適材適所の人間が臨機応変に判断している。

このキックは意図して蹴っているがキックの種類までコントロールしているとはまだ言えません。
キックの種類の話だと、浮いてしまっているので風の影響を受けたり、ダイレクトタッチになる可能性があります。
そのため、グラバーキックを使うまたは直接キャッチのできるキックパスを選択することがbestだと考えます。



〇さいごに

こんなにも長い記事を最後まで読んでいただき本当にありがとうございます。
ぼくたち4人は見ず知らずの状態で集まり、回を重ねていく中でお互いを知っていきました。
唯一の共通点はラグビーが大好きだということ。
ただそれだけで集まった4人が知恵を寄せ合い、たまには討論をして書き上げた1つの作品です。

この記事を多くの方に届け、「キック」というこれまでの固定概念を壊しあなたの手で新たな「キック像」を作ってほしいと思っています。

キックを蹴ることはゴールではありません。
自分の成長、そしてチームの勝利への貢献のためのツールでしかありません。

ですが、このキックを武器にすることができれば本当に可能性は広がります。

キックを蹴ることも大切ですが、なんのためにキックを使っているのか。
について深く考えてみてください。
そうすれば今後自分自身がキックをどのように使っていけばよいのかが見えてくるはずです!!

全部修得して練習し、試合で実践あるのみ!!





今回この記事を一緒に作成してくれたメンバー紹介をさせていただきます。
また、1人1人のメッセージ付き画像を作成させていただきましたので是非みてください!

〇津田翔太さん
twitter / https://twitter.com/tsuda0927shota
Instagram / https://www.instagram.com/shotatsuda_10/
note / https://note.com/datts15

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〇教仙純司さん
twitter / https://twitter.com/KyosenJunji
Instagram / https://www.instagram.com/juuuuunn52/

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〇安岡直哉くん
twitter / https://twitter.com/naoya05032
Instagram / https://www.instagram.com/naoya3701/

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以上の3名には本当にお世話になりました。

今後のこのように半クローズコミュニティを開催していきますので、是非ご興味のある方がいらっしゃいましたらご応募の方宜しくお願い致します。

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◇twitter◇
https://twitter.com/Rug10cham
◇Instagram◇
https://www.instagram.com/tomoki.10rug/
◇note◇
https://note.com/so_kishi10
◇Facebook◇
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https://stand.fm/channels/5e7ecb4b4afcd35104add3b7









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