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transparencies create the depth of existence

自分が小学生の頃の話をしながらチビに絵画教室をしていた。

ある時、自分の絵と、クラスの周りの子供たちの描く絵がぜんぜん
ちがってるのに気付いた。
自分のは、絵具のノリが淡くて、
皆みたいにポスカラっぽいペッタリした感じにならなかった。どれだけ塗り重ねても。
ある時、頑張って塗り重ねた淡い色彩の、
その重なりの中に、自分で溶いた記憶がない色が
発色しているのに気付いた。しかもその発色は、
周りの友達よりもすごく鮮やかで華やかだった。
友達の絵は、顔料の存在感コッテリで充実してるが
混色により必ずくすんだ色合いだった。
それ以来、淡い色彩の重なりで様々な表情を描く
自分流の画が好きになって、前より工夫して
色彩を重ねて描く様になった。
ある時、母親にその事を話したら、
なぜ自分の絵具が皆の様にペッタリしないのか、が判明した。
自分の絵具は「透明水彩絵具」だったのだ。
美大出身の母親は、何も考えず家にあった
自分ストックの透明水彩絵具を
小学校入学時に僕の絵の具セットに入れたらしい。
結果的に、母親がテキトーにセット入れたこの絵具が、それ以降の僕のスタイルを作ったし、表現の幅を拡げてくれたと思っている。

はじめは周りとちがってることを心配したけど、
自分が生み出したものを「自分自身で好きになる」、
自分自身で「良いと信じる感覚」を養ういい機会となったと感じてる。

そんな経験の重なりが、今の僕のセンスを作ってきたと改めて感じる。
って、チビに話しながら絵の具の使い方を解説していた。

親父「ちょっとー、聴いてる?お父さんの話。」
チビ「とにかく描かないとねー。聴いてもわからないもん。」
親父「そうやなー、ごめん、黙って見てるわ。」

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