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背徳というプログラム、道徳というバグ

レジ袋が有料化されてから、マイバッグを利用した万引きが横行しているというニュースを見ました。

こんなニュースを見て、怒りを覚えたり、愕然とするフェーズはもうとっくにすぎたのと同時に、なんだまたか、と感度が鈍った自分に気付きます。
たくさんの感情を取り込みすぎたせいで、私の心の周りには分厚くしつこい脂肪がついてしまいました。

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このニュース、神様による人間の知能実験というか社会実験というか、所詮人間は単純なプログラムで構築されていて、シミュレーション通りに行動する機械にすぎないんだなぁと痛感しました。

実験するまでもない結果を出力してしまった人間側としては、「ほらね、やっぱりこんなもんだよ」と、予想通りの結果に半ば期待外れな表情を浮かべる神様にも申し訳が立ちません。

学部4年の頃、人間の行動モデルを用いた研究を行ったとき、"人間の行動を数学的なモデルに置き換えるなんてなめたことを..."と疑惑の目をもっていた自分へ言いたい。
人間であることに自惚れるな。

倫理とか道徳とか良心とかいう古典的な幻想は、昨今の個人主義の前ではすでに崩壊し、謀り、だし抜き、奪うことが成功のカギとして流通しています。
小学校のカリキュラムに、背徳という科目が追加されるのも時間の問題か。

不真面目な欲望の呪縛は強力で、理性や道徳心さえも蝕むコンピュータウイルスのようです。
いや、所詮人間は欲望に従う合理的なプログラムのまま動くものなのであれば、愛や情けの方がむしろバグに値するのでしょうね。


私は電脳世界のアバターでもなければ、人形劇の傀儡でもないので、欲望を燃料として世界をまわす歯車に成り下がるつもりもありません。

見てろよ、おれは台本通りにはいかないぞと、孤高な俳優を気取って、今日もバカ正直にお会計をすませた298円の鶏肉をマイバッグに放り込むのです。

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